西武池袋本店が、2024年も元日から初売りをスタートした。開店前から各出入口に行列ができ、通常の営業開始時間の10時から30分前倒しし、予定通り9時30分にオープンした。今年の元日は「一粒万倍日」「天赦日」「天恩日」が重なる“最強開運日”。首都圏の百貨店で元日から営業するのはそごう・西武のみということもあり、食品売り場に加えて、財布をはじめとする革小物売り場などでも賑わいを見せている。
西武池袋本店を含むそごう・西武では今年の初売りで、昨年と同様に福袋の販売やクリアランスセールを実施している。福袋は食品が中心で、西武池袋本店は1万6000個を用意。食品は“縁起の良い買い物”として人気が高く、2021年から昨年までは混雑緩和のため別会場に専用の売り場を設けていたが、今年はデパ地下での販売を復活させた。開店前には「ベルン(Berne)」や「ガトーフェスタ ハラダ(GATEAU FESTA HARADA)」などで長蛇の列ができた。
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なお、アパレルの福袋はほとんどのブランドが昨年に引き続きネット販売に移行。店頭のクリアランスセールでは「ジェラート ピケ(gelato pique)」や「セルフォード(CELFORD)」といったマッシュホールディングスのブランドや、「アナイ(ANAYI)」の売り場が賑わっている。
また、“最強開運日”に合わせて、吉日に使い始めると運気がアップすると言われている財布やバッグの提案を強化。2階の革小物を集積した売り場では面積を拡大して品揃えを充実させており、3階のハンドバッグ売り場でも打ち出しを強化している。
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元日の営業では、毎年恒例となっている社員が扮する七福神と同社のマスコットキャラクターおかいものクマによる新年を祝う挨拶を行ったほか、鎌倉銭洗弁財天の銭洗水で清めた5円玉が入った「開運招福銭」を振る舞うイベントを実施。七福神による挨拶では昨年、感染症対策としてマウスシールドを着用していたが、新型コロナウイルスが5類感染症に移行後初の初売りとなったことから、七福神がマスクを取って笑顔を見せた。
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開店前の行列に並んだ人数については非公表としているが、同店販売促進部の銭丸敬雄(ぜにまる・たかお)氏は「想定以上に列に並んでくださったお客様が多かった」とコメントした。売り上げは前年並みを想定。コロナ前までは元日に売り上げが集中していたが、コロナ以降は店頭販売分をネットに分散するなどの施策をとっているため「若干控えめな予測」としながら、1月度の月間売上高はコロナ前の2019年度の水準を目指すとし、インバウンド特需による売上伸長をプラスアルファで期待する。インバウンド対策として、免税カウンターで手続きを行った来店客に先着で開運招福銭を配付しており、元日の免税客数と売り上げは前年比2.5倍と予想している。
そごう・西武は、2度の延期を経て昨年9月に米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに買収された。正式に買収が完了する前には、そごう・西武労働組合が国内百貨店としては約60年ぶりとなるストライキを敢行するなど、買収劇が波紋を集めた。
先月には、西武池袋本店にヨドバシカメラが出店し、そごう・西武をテナント化して従来のアパレルや服飾雑貨売場を大幅に縮小する改装案が報じられた。改装案ではリニューアルに向けて、そごう・西武は2024年8月末までにヨドバシHDに西武池袋店の建物を引き渡して改装をスタートし、2025年にリニューアルオープンすることが含まれている。正式に決まっていることはないとしているが、同店が現在の規模で初売りを行うのは改装前最後と見られる。
銭丸氏は報道陣の囲み取材で「昨年は各方面、ご心配をおかけした。そういう状態でも励ましの言葉であったり応援の言葉をいただいた。まず御礼を申し上げたい」と感謝の気持ちを述べ、「我々もこれからお店の改装を控えているが、新たな時代にあった姿に変わり続けることでニーズと期待に応えていきたい」と続けた。
手土産の購入を目的に来店したという50代と20代の親娘は同店に時々訪れているといい、ヨドバシカメラの出店を含む改装案について母親は「単純になぜ電気屋ばかりが増えるんだろうと思う。アパレルもしょっちゅうは買わないけれど、いつも見ているお店がないとなると来店しなくなるかもしれない」と思いを述べた。娘は「たまにアパレルの売り場に行くが、なくなったとしても新宿に買い物に行ける」と話し、意見は様々だった。
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