今年のお買い物を振り返る「2023年ベストバイ」。5人目は、2年連続の出演となる渋谷・松濤のセレクトショップ「シスター(Sister)」のオーナー 長尾悠美さん。国際女性デーの取り組みや展覧会の開催・グッズ制作、映画の連載など、ファッションの領域に留まらない幅広い活動で支持を集めています。「自分が心地良いものを取捨選択して選ぶようになった」と一年を振り返る長尾さんの、2023年に買ってよかったモノ6点は?
目次
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Grande Herboristerie Médicale de la Place de Clichy ハーブティー
FASHIONSNAP(以下、F):1点目は、パリで買ったという「グランデ・エルボリステリア・メディケール・ドゥ・ラ・プラス・ド・クリシー(Grande Herboristerie Médicale de la Place de Clichy)」のハーブティーですね。
長尾悠美(以下、長尾):1880年創業のパリの老舗ハーブ薬局のものなんですけど、このお店では薬剤師のような店員さんに自分が悩んでいる症状を伝えると、何百種類もある中から、それに合わせた薬草を調合したお茶とかエッセンシャルオイルを選んで出してくれるんです。海外出張などに行くと時差ボケであまり眠れないことがあるんですけど、なるべく自然療法で身体の調子を整えたいなという思いがあって。元々漢方が好きで普段から飲んでいることもあって、パリはハーブ専門店が結構多いので、何か買いたいなと思って事前に調べて行きました。これは睡眠に効く薬草が4種類くらい入ってるんですけど、実際この前アメリカの東海岸に旅行に行った時も、時差ボケがひどくて毎日眠れなかったのが、現地の友達の家でお土産に買っていったこのお茶を飲ませてもらったら、その日はすんなり眠れたんです。本当にめちゃくちゃ効くし、飲む日と飲まない日だと全然違いますね。
F:薬草ということですが、どんな味や香りがするんですか?
長尾:とても美味しいですよ。トケイソウとマジョラム、メリロート、ハナビシソウが入ってるんですけど、香りもすごく良くて私は美味しいなって思います。でも、一緒に買った睡眠に効くハーブのエッセンスはかなり癖があって、たぶんいろんな飲み方ができると思うけど、ちょっと私の口には合いませんでした(笑)。
F:ちなみにお値段は?
長尾:このお店はピンキリで本当にいろいろあるんですけど、でも全体的にそんなに高くないです。このお茶は9.90ユーロなので、1500〜1600円くらいですね。結構日持ちするし、お土産にもすごくおすすめです。
F:普段から漢方なども飲んでいるとのことでしたが、どんなものを飲まれてるんでしょうか?
長尾:沢山飲んでいます(笑)。元々持病があって普通の西洋医学的な薬を飲まなきゃいけないんですけど、それだと対処療法的で、本当の健康を考えるとあまり良くないしすごく嫌だなと思って。ここ5年くらいでだんだん疲れや不調を感じるようになってきたけど、仕事でも旅行でもとにかく身体のパフォーマンスを下げたくないと思った時に、漢方を飲み始めました。専門の先生のところにも2〜3ヶ月に一度くらい通ってるんですが、いろんな不調や悩みには睡眠が一番大事だということで、睡眠に効く漢方を処方してもらったり、あとは仕事でプレッシャーを感じる日には、交感神経の働きを抑えて落ち着く効能がある漢方を飲んだりしています。
Sister×DEYROLLE スカーフ
F:2点目は、シスターと「デロール(DEYROLLE)」とのコラボレーションスカーフですが、そもそもデロールとは?
長尾:デロールは、1831年設立の自然科学や教育に特化したパリの歴史ある企業で。元々昆虫の標本や動物の剥製などの製作や収集を行って、生物学研究の発展に貢献してきた会社なんですけど、今はユネスコなどと取り組みをしていたり、映画「ミッドナイト・イン・パリ」にお店が登場したり、映画監督のウェス・アンダーソンがお気に入りのお店として挙げていたりと、パリのランドマーク的な場所でもあるんです。何年か前にこのお店が火事で焼失してしまった時は、「エルメス(HERMÈS)」をはじめとしたパリの老舗ブランドや企業などが、コラボグッズを作って再建をサポートしたりもしていて。私もそのお店が元々すごく好きで、パリに行ったらよくチェックしてグッズを買ったり、シスターでも商品を輸入して販売したことがあったんですが、今年の夏にコラボさせていただいて、トートバッグやTシャツとともに、デロールの要望でこのスカーフを作りました。
F:デロール側のリクエストだったんですね。
長尾:はい。でも、コンセプトはシスターから提案させてもらいました。シスターとデロールだからこそできることをやりたいなと考えた時に、昔自然科学に貢献したにもかかわらず、歴史にあまり残っていない女性の自然科学者たちのことをテーマにしたいなと思って。それで、17世紀のドイツの画家・昆虫学者のマリア・シビラ・メーリアン(Maria Sibylla Merian)や、19世紀のイギリスの古生物学者 メアリー・アニング(Mary Anning)などの女性自然科学者にスポットを当てたコレクションにしました。たとえば、メアリーは当時古生物学者としてイクチオサウルスの全骨格を世界で初めて発見したり、マリアは40〜50代の頃に、研究のために夫と離婚して、子どもを連れてドイツからスリナムという南米の小さな国に渡って現地の昆虫を研究したりしていたようなパワフルかつ革新的な人たちなんですけど、「女性だから」という理由で出版や寄贈が実現しにくかったという歴史があったんです。
F:スカーフにデザインされている蝶の絵は、それぞれ3人の女性たちをモチーフにしてるんでしょうか?
長尾:そうですね。3匹の蝶の特性と、3人の女性たちが自分の努力や存在が認められない時代にどう奮闘していたのかというところをリンクさせて考えた、「冒険家になろう(Be an Adventurer)」「開拓者になる(Be a Pioneer)」「革新者であれ(Be an Innovator)」というキーワードを基に、デロールと話し合いながらセレクトしました。実はこのプロジェクトはコロナ前から始まっていたのですが、何度もやり取りしたので、実際に完成するまでに3年くらいかかってしまったんです(笑)。
F:このアイテムは、普段どんなふうに使ってらっしゃるんですか?
長尾:私はちょっと肌寒い時に首に巻いて暖かくしたり、旅行中は顔に巻いて日除けにしたりして使っています。スカーフって意外と用途が多くて活躍するので、自分でも買ってよかったなと思っています。
F:そういえば、今年ニューヨークに旅行した際に、元バイト先で蝶標本を買ったとインスタグラムに投稿されていたのを拝見しました。デロールも然り、昔から昆虫がお好きなんですか?
長尾:元々そういうわけではなかったんですが、20歳くらいの頃に海外に行くようになった時に、特に私が留学していたニューヨークでは、標本や化石を扱うお店が街中に普通にあって、地元の親子が一緒に買いに来たり、観光客が訪れたりする光景が日常的にあったんです。日本ではあまり見たことがなかったので、「こんなふうに近くで生物を見たり手に取ったりできるお店があるんだ」と衝撃を受けて、それが興味を持ったきっかけの一つでした。それでニューヨーク留学中に、標本や化石を扱っているThe Evolution Storeというお店でアルバイトをして初めてそういうものにきちんと向き合ったんですけど、「こんな世界があるんだ」というのがすごく新鮮で。自分の中では「何にも変えられない美しさ」の一つみたいになったので、それからはどこかを訪れる度に、それぞれの土地にあるお店や博物館によく行くようになりましたね。
ONOMICHIYA baja sur 瞑想着 泥染
F:続いては、「オノミチヤ バハ スール(ONOMICHIYA baja sur)」の泥染めの瞑想着です。
長尾:これは、広島出身のミノリ・ムラカミ(MINORI MURAKAMI)さんと、ドイツ出身のゾレン・ゴールド(ZOREN GOLD)さんがコンセプターを務めるブランドのもので。この2人はメキシコのバハ・カリフォルニア・スル州のトドス・サントスという街で、「カサ 間(Casa MA)」という長期滞在できるヒーリング施設みたいなものを運営していて。元々2人は、ずっとアートディレクターとしてアメリカで広告の仕事をしてたんですけど、自分たちが心身ともにリラックスできる、次のインスピレーションに繋がるような場所としてその施設をオープンして、そこを訪れたゲストが着るための瞑想着を提供したいと思って作ったのがこのアイテムなんです。実は私も製作に少し協力させてもらったのですが、実際にその施設に行った時に着させてもらって、すごく良かったので自分でも買っちゃいました。
F:とても趣のある風合いですが、何の素材ですか?
長尾:100%の大麻生地ですね。大麻って日本では昔から日常着として使われていたり、神事などにも使われる歴史的にも重要な素材なんですけど、今は国内だと神社奉納用とかの本当に限られたものしか栽培できないので、中国から輸入したものを日本で紡績した国産大麻生地を使っていて。ヘンプ(大麻)は少し厚地でゴワゴワしているからか、素材としてはリネンやラミーの方が一般的に流通してるみたいなんですが、大麻という素材自体に癒し効果があるらしいんですよね。それで私が買ったこれは、大麻布を奄美大島の金井工芸さんというところで泥染めしたものなんですけど、泥染めって「着る漢方」と言われたりもしていて。
F:また漢方が出てきましたね(笑)。
長尾:泥染めは奄美大島に古くから伝わる伝統工芸ですが、昔から病気の人とかが素肌に着ると癒す効果があるとされてきたみたいです。この瞑想着も「心身ともに癒される服」というコンセプトで作られているんですけど、パジャマや肌着、それこそナプキンなども含めて、直接肌に身に着けるものに天然素材や天然染めのものを選ぶと、心地良くてリラックス効果があるし、やっぱり身体に優しいように感じます。
F:肌触りがしっとりしていて、確かに着心地もすごく良さそうですね。ちなみに、どうやって着ているんですか?
長尾:素肌に着るのがおすすめなんですが、普段はトレンチコートやオーバーコートみたいな感覚で、アウターとして着ています。ブーツと合わせたり、デニムジャケットの上から羽織ったりしてもいいですし。
F:ちょっとヴィンテージライクというか、泥染めの絶妙な色合いや風合いが素敵ですね。
FETICO ドレス&ボディスーツ
F:次は「フェティコ(FETICO)」のドレスとボディスーツです。
長尾:フェティコの服は好きでたくさん持っているんですけど、特によく着ているのが今年買ったこの2着ですね。私も本当にいろんな服やブランドを着てきましたが、フェティコはコンセプト的にも「女性性」みたいなものを全面に打ち出していて、日常着として自分が着たいスタイルにすごくフィットするというのもあるし、シスターをずっとやってきた中で、同じように「女性性」をキーワードとしてきた部分もあるので、そういう意味でもしっくりくるのかなと思ってます。
F:確かに、フェティコのような形で「女性性」というものをキーワードとして明確に打ち出しているブランドは、あまり見当たらないかもしれないですね。
長尾:私が思うのは、アイテムやデザインとしての「フェミニンさ」が前に来るブランドが多い印象がある中で、フェティコはコンセプトやスタイル、自分がどうありたいかという方向性みたいな部分にフォーカスしている気がしていて。社会に忖度していない、スタイルをしっかり持っている服だと思うので、そういうところが今の時代的にも共感する方が多いと思いますし、私自身も共感する部分があるので、着ていてすごく心地良いですね。
F:自分が着ている服の背景にあるコンセプトや考え方に共感出来るかどうかって、結構重要ですよね。
長尾:そうですね。共感出来る服を着ていると、やっぱり自信が持てますし。
Image by: FASHIONSNAP
F:ちなみに、着る時はどんなアイテムと合わせますか?フェミニンさを全面に出して着るのか、それとも敢えて違うテイストを合わせるのか。
長尾:私はあまり工夫を凝らした着方ができない人間なので、シンプルにコーディネートします。この2着を合わせて着る時もありますし、ボディスーツだったらハイウエストのデニムパンツを合わせたりとか。あとは去年もお話したんですが、私はお直しするのが好きで。実はこのドレスもデザイン的にサイドがすごく長いので、両サイドのパターンの部分を取り除いて、内側に入れるというやり方で丈を直してもらいました。1枚でビシッと着たいからこそ、丈は絶対に直しますね。
JIL SANDER スクエアトゥレザーパンプス
F:最後は「ジル サンダー(JIL SANDER)」のスクエアトゥレザーパンプスです。先程までの5点とは少し方向性が違うようですが。
長尾:これは深く考えて買ったものというよりは、私は黒い服が多いから、何か印象を変えられる小物が欲しいなと思って買いました。あまり深い理由がなくてすみません(笑)。
F:色々考えて買う時もあれば、ただ「可愛い」「欲しい」と思って買う時もありますよね(笑)
長尾:あとは、個人的にジル サンダーの靴が好きなんですよね。
F:どんなところが好きなポイントなんですか?
長尾:靴って、買っても結局履かなくなるパターンもよくあると思うんですが、ジル サンダーはシンプルに形が自分の足に合うというのと、あとはヒールの高さがそこまで高くなくて安定したものが多いので、買うと沢山履くんですよね。昔はハイヒールを履きたいと思うこともあったんですけど、今はもうそういう気持ちは無くなったので。
F:時とともに、ご自身の中で靴の選び方に変化があったんでしょうか?
長尾:もう全然変わりましたね。昔は履けない靴も買っていましたけど、それだともったいないし、やっぱり物って使ってなんぼだと思うんですよ。シルバーは元々好きでバッグとかも持っていたりするので、これなら絶対履くだろうなと。私はさっきのフェティコみたいな洋服も大好きなんですけど、基本はゆったりしたメンズっぽい服がすごく好きで、でもそれだと本当に無骨なスタイルになるから、足元だけ靴で印象を変えたり、カラーソックスを合わせたりして工夫しています。
今年を振り返って
F:今年の買い物を振り返ってみていかがでしたか?
長尾:やっぱり服はインスピレーションというか、「可愛いな」と思って衝動的に買っちゃう部分もあるんですけど、今年は「本当に使うものを」とか「心地良いものを」と、昔よりもしっかり考えて選ぶようになってきた気がします。お店も15年を迎えたので、あらゆる意味で節目というか、もう少し自分の中で色々なことを整理していきたいなと思った1年でもありました。私はいろんなことに興味がありすぎて、手を広げすぎてしまうところがあるので(笑)。
F:それが長尾さんの良いところだと思いますが(笑)。
長尾:でも、そうすると無茶苦茶なことになるじゃないですか(笑)。時間も限られてますし、ファッションだけじゃなく本や映画なども含めて、たとえば自分が心地良いものを選んだり、シスターを運営する立場として女性アーティストのものを積極的に読んだり観たりするとか、そうやって取捨選択しながらやっていきたいですね。自分で自分をキュレーションするような感じで。
F:長尾さんは映画や本もお好きで、昨年は「ゲリラ・ガールズ(Guerrilla Girls)」の本をベストバイの1つとして紹介してくださっていましたが、今年も何か良い出会いはありましたか?
長尾:菅野優香先生の「クィア・シネマ 世界と時間に別の仕方で存在するために」です。今年4月に京都の出町座という映画館でシャンタル・アケルマンの映画特集をやっていた時にたまたま先行販売していて買ったんですけど、読んでみたらすごく面白くて。
F:どんな内容の本なんでしょうか?
長尾:菅野先生はクィア・スタディーズや映画/視覚文化研究が専門の方なんですが、この本は歴史的な大作や有名な監督たちが手掛けてきた映画作品を、クィア的な視点でもう一度読み解いていくという内容になっていて。例えば、グザヴィエ・ドラン監督の作品やオードリー・ヘップバーンが出演する作品について、「この部分にはこういう意図があったんじゃないか」「映画史の中でこの作品を起点として潮目が変わっていった」「ショートカットになったのは女性性からの逸脱を意味しているんじゃないか」みたいな感じで、いろんな視点を与えてくれるのがすごく面白いし、作品をもう一度見直すきっかけにもなるなと思いました。
F:よく見るとたくさんドッグイアされていますね。
長尾:そうなんです(笑)「ここは大事すぎる」とか「こんなシーンあったんだ」「この映画後で観返さなきゃ」とか思いながらどんどん折ってしまっていて。私は地方出身でシネコンで映画を観て育ってきた人間なので、元々ハリウッド映画みたいな王道の商業映画ばかりを観ていたんです。でも、20代で東京に出てきてミニシアター系の作品に初めて触れた時に、「私が今まで見てきたのは本当に世界の一部分でしかなかったんだ」とものすごい衝撃を受けて。異性愛だけではないマイノリティの恋愛なども含めて、映画は世界をとても多角的に捉えているし、これまでは接することのなかった世界を見せてくれるという感動がありました。それで映画ってすごく楽しいなと思っていたのですが、そこにさらに新たな視点や面白さを与えてくれるような本でしたね。
F:シスターは、以前から国際女性デーに合わせたイベントなどを開催されてきましたが、今年はゲリラ・ガールズの展覧会開催や、先日の上智大学の「服装と性暴力」について考えるアートインスタレーションへの協力など、活動の幅を広げていますよね。その点で今年はいかがでしたか?
長尾:国際女性デーの取り組みは今年で5回目だったのですが、ゲリラ・ガールズの展示は、たくさんの方にシスターを知っていただくきっかけにもなりました。かつ、今まではファッションだけのフィールドだったのが、アートや大学関係など専門的な方にも声を掛けていただけるようになって、自分としてもより一層学びの多い1年だったなと思います。私自身元々ファッションがベースの人間ではありつつも、アートや映画、本などから影響を受けてきた部分も大きいので、ファッションと両軸で追求できたのは良かったですね。
F:そもそも5年前に、国際女性デーに合わせた企画を始めようと思ったきっかけは何だったんですか?
長尾:起業して独立した時に、初めて自分が代表として表に立ってみたら、本当にびっくりするくらいセクハラが多かったんですよ。正直なことを言うと、服とか売ってる場合じゃないのではと思うくらいに、おかしいなと思う瞬間がたくさんあって。15年前、シスターというお店を始めた時は「フェミニズム」という言葉もよく知らなかったけど、女性だけで何かをやり遂げたいという気持ちでオープンしたし、その当時から「フェミニズム的な視点でお店をやりたいな」という漠然とした思いがあったのかもしれません。
F:そんな過去があったんですね。
長尾:自分が会社から独立して代表になった5年前にふと、女性だけのチームで10年ほどお店をやってきてはいたけど、「シスターとしてこれまで女性の方に対していったい何を貢献できてたんだろう」と考えたんですよね。それで、「私はこう思っているんですけど、皆さんはどう思いますか?」という感じで、フェミニズム的な企画を始めようと思ったんです。
F:5年間続けてきた中で、現状をどう捉えていますか?
長尾:そういう思想的なものと、ファッションというビジネス的なものを両立しながらやっていくのはすごく難しいなと感じながらやっています。やっぱり支持してくれる方がいないとやっていけない部分もあるんですけど、「フェミニズム的な活動をしているからシスターにまた行きたい」と思ってくださる方がいると、私はビジネス的にはグッドじゃなかったとしても精神的にはグッドだなと思っていて。今年はプロジェクトばかりをやっていてお店に注力しきれなかった部分があったので、比重ややり方も含め、そういう部分を来年は整理していきたいですね。
F:フェミニズム的なものに関して、ファッションだからこそできるアプローチって何だと思いますか?
長尾:難しい質問ですね。でも、私はファッションやアートには拡声器的な特性があると感じていて。言葉だと強すぎたり、一方向的にしか投げかけられないところを、ファッションやアートはヴィジュアル的な側面が強いので、展示やお店、ものなどを通して、思いを包括的に伝えられる部分があるのかなと思います。私は時々ファッションというものがすごく嫌になる瞬間もあるんですけど、「いいな」と思う時もやっぱりあって。ファッションをやっているからこそできることもあるはずなので、自分なりのバランスを見ながら、私自身やシスターという場所が色々なジャンルの架け橋になっていけたらいいなと思っています。
■長尾悠美
渋谷・松濤のセレクトショップ「シスター(Sister)」オーナー。国内外のデザイナーズブランドやヴィンテージアイテムのバイイング、展覧会グッズやオリジナルアイテムの企画を手掛ける。
■シスター 長尾悠美のベストバイ
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