メンズカジュアルは特にそうだがレディースカジュアルでさえ、今秋冬物と昨年秋冬物の衣料品はほとんど見分けができない。
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当方のようなジジババ世代よりも若い層はトレンドに敏感だと言われるが、若いマスブランドの店頭を眺めていても昨年とほとんど変わらないと感じる。
まず、ジーユーだが、メンズカジュアルでいうと継続品番が少なくない。
当方が記憶している範囲内でいくつか挙げてみる。
まず、モックネック長袖Tシャツ(定価990円)である。
実は昨年12月にも当方は買った。これが今秋冬も継続で店頭に並んでいるので、先日890円に期間限定値下がりした際に黒を1枚買った。
また、中綿入りMA-1ブルゾンである。
これも当方は昨年にオリーブグリーンを買ったが、今期は裏地をオリジナル品に近いオレンジに変えた以外はシルエットもサイズ感も同じで店頭に並んでいる。
以前にも書いたがバギースラックスも今春、今秋と継続中で、990円に値下がりしたのでまた1枚買い足そうと思っている。
中綿無しの秋用バルマカーンコートも同様だ。昨年のベージュは色が薄く今秋物はかなり黄土色に近いが、素材感もシルエットも同じである。要は色変えをしただけでそれ以外は同じである。
アダストリアの各ブランドも同様でほとんど昨年秋冬物と今秋冬物は変化していない。
レイジブルーのオーバーサイズダッフルコートは今秋冬もある。ネイビーは全く同じだが、昨年秋冬物のグリーンに対して、今秋冬物はブラウンに変わった程度である。
さすがにジーユーほど全く同じ品番が継続してはいないが、昨年物と少し変えた程度の物はアダストリアのメンズブランドには数多く見受けられ、昨年買い逃した人には再挑戦しやすい状況にある。
この両者を見てもわかるように昨年買った物を今年着ていたとしても、他社から奇異の目で見られることはない。誰も今年物か昨年物かなんて見分けがつかない状態にある。
これはある意味で本来のサステナビリティな衣料の在り方だといえるのだが。(笑)
他方で、トレンド変化が少ないため製造面ではこのような不利益も起きている。
どういうことかというと、もう少し整理して箇条書きにする。
ODM企業からデザイン提案を受ける
⇓
そのODM企業に対して初回生産分を発注する
⇓
次年度以降の追加生産分は、デザインそのままで自社が生産を手配する
(要するにODM企業には発注しない)
というサイクルが出来上がっている。
これが成り立つ原因の1つに「マストレンドの変化の無さ」がある。今年と来年とほとんど変わらず、継続品番が並べられるので、今年物ODM企業からの提案デザイン物をODM企業を通して生産させるが、次年度はデザインは同じなので、生産はODM企業を外して自社で手配するという形をとることができる。
これによって、このブランドは理論上はODM企業へ支払う手数料をカットすることができて粗利益率が高まるということになる。
一方、通常のODM企業、OEM企業は初回発注は数量控えめにされ、追加生産分の発注で利益を確保するという形態になっているのだが、このやり方をされると見込んでいた追加生産分の利益が確保できなくなってしまう。そし企業体力がない場合はそのODM企業・OEM企業は倒産に追い込まれるというわけである。
これまでから同様のことは業界内で珍しくなく、多々あったのだが、それでも大々的にやりづらかったのはトレンド変化が毎年それなりにあったためである。
今年物が来年も継続できる可能性が少なかったため、ODM企業には毎シーズンのデザイン提案という仕事が確保できていた。
しかし、継続品番が多くなればデザイン提案は必要なくなるし、大手の資本力と情報網をもってすれば生産ルートを独自に確保することも可能になる。
また、継続品番が可能ということになれば少々多めに作ったとしても売れ残りを来季に持ち越すこともできる。そうなると生産数量を多めに発注すれば、生産コストを引き下げることも可能になる。
トレンド変化が無いというのはサステナビリティなのかもしれないが、ODM企業・OEM企業にとってはメリットがほとんどない。逆に大手資本にとってはメリットとなる要素が少なからずあるので、大手には優しい状態いえる。
トレンド変化がほとんど無い状態が続くと大手ブランドのアパレル寡占化がさらに進む可能性の方が高い。まさに寄らば大樹の陰である。当方も大樹に寄りたいものである。心の底からそう思う(笑)。
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