デザイン会社を経営していて定期的に思うことがある。
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「デザイナーってマネージしにくい」
おそらく共感する人もいると思う。というのも、似たような立場の友人も同じ感想を言っていたから。
でもこれ、必ずしもデザイナー自身だけの問題ではない。その職種の特性上の課題もあったりして、なかなか難易度の高い仕組みが求められたりするのもその理由。
デザイナーをマネージするのが難しい3つの理由
デザイナーのマネージって難しいな?って感じる理由はおそらく3つある気がする。
その3つを紹介し、それぞれの解説もする。
1. 結果測定の難しさ
2. エゴイスティックな性格
3. 評価制度の難しさ
1. 結果測定の難しさ
まず最初の理由は、その特性上、仕事の結果を測るのが難しいから。
マネージャーの仕事の一つは、スタッフの仕事の内容を測定して評価すること。
これが営業だったら売り上げだったり、マーケティングだったらPVだったりコンバージョン率だったりと、何かと数字で結果を測定することができる。
しかし、デザイナーの仕事の結果がよかったのか、それとも微妙だったのかを客観的に誰もが納得する形で行うのはかなり難しい。
というのも「何が正しいデザインなのか?」の問いはその時々でかなり変化するから。
そして厄介なことに、デザイナーは自己評価と会社からの評価、クライアントからの評価、そしてそのデザインが生み出す最終的な結果が乖離することも多い職種である。
そうなってくるとかなりギクシャクしてしまう。
例えば、デザイナー自身が良いと思って作ったデザインに対して上司がダメ出しをする。
それに合わせて作り直したデザインをクライアントに提出。でも、クライアントは気に入らず、変更を依頼。その内容が元々デザインしたものだった。
この場合、そのデザイナーは良い結果を出したことになるのか?実はそこで終わらない。
そのデザインを世の中にリリースして、そこから生まれた結果こそがデザインの本当の結果となるだろう。
ということは、デザインの本当の結果を測定するにはかなりの時間がかかるし、これがブランティング系のプロジェクトだった場合は、より結果測定の難易度が上がる。
2. エゴイスティックな性格
次は「デザイナー」と呼ばれる人たちの気質が原因。
全員が全員そうであると断言するつもりはない。しかし自分の経験則からしても、デザイナーは他職種の人達と比べても、相対的にエゴが強い人が多い傾向にあると思っている。
もちろんその仕事上、個性が強くなければいけないし、ある程度は自己主張をしていかなければ自分のアイディアを通すことができないことも事実だ。
よくあるパターンは、上司やクライアントがデザイナーにダメ出しをした際に、デザイナーが「いや、これは俺のこだわりなので変えたくないです」というようなことを言い出すこと。
そうなってくると、どちらが正しいかの証明は難しく、言い合いになったり、その場の空気が悪くなることも。
そしてそれが拗れると人間関係にも影響が出たり、現場の雰囲気が険悪になってしまったりするリスクがある。
では、自己主張がなければよいのかというとそうではない。自分の頭で考えずに、言ったことしかやらないオペレーターに成り下がってしまう。
言われた通りにデザインをするのは簡単だが、それでは良いデザインは生み出されない。
このように考えていくと、正とされる答えがないなかなか難しい問題だ。
優れたデザイナーは自分で主張すべき局面と、相手のリクエストに柔軟に対応すべきタイミングを見分けるのが上手い。
3. 評価制度の複雑さ
そして最後は、デザイナーの評価制度の設計の難しさである。
デザイナーの役割が多種多様になっている現代において、全てを網羅して、誰が見てもフェアな人事評価制度を作るのはかなり至難の業なのだ。
そう、「デザイナー」と言っても、デザインリサーチャーから、UIデザイナー、UXデザイナー、サービスデザイナー、インタラクションデザイナーなどなど、多岐にわたるデザイン領域があるため、一つの評価制度だけを全ての職種に当てはめることはできない。
では、どのような評価基準で人事システムを設計すればよいのだろうか?
恐らく全デザイナーに求められる「必須科目」とそれぞれの職種ごとに異なる「オプション科目」の混合で評価できる仕組みが必要になると考えている。
例えば、プレゼンスキルとコミュニケーションスキルと、ユーザー理解は全てのデザイナーに必要な能力。
それに加え、職種に応じてビジュアルのデザインやモーショングラフィック、ペルソナ設計やインタラクション設計などの個別スキルを基準に入れていくとよいだろう。
例えば、このようなスキルマトリックスを用いてそれぞれの項目におけるレベルを測る方法も効果的だ。
UXデザイナーのスキルマトリックス例
そして実はデザイナーにとって重要なスキルの多くが「非デザインスキル」だったりもする。
「良いデザイナー」と「優れたデザイナー」を分けるのは、デザインスキル自体だけでなく、それ以外のソフトスキルなのだ。
その辺りもデザイナーの評価システムに入れると、より死角の少ないシステムになるだろう。
この続きは12月6日に開催されるイベントで
こんな感じで、やっぱデザイナーをマネージするのは難しい。
実際の現場で実際にどんな感じでマネージしたり、されたりしているかの実例は、来月12月6日に東京で開催されれるイベント「Btrax Design Day」で登壇するChris Otaによって説明してもらう予定だ。
Chrisはサンフランシスコのライドシェアスタートアップ、Lyftで働くデザイナー。
LyftはUberのライバル的存在であるが、そのデザイン性の高さと、デザイナーを中心とした企業カルチャーで差別化を図っている。
【主催イベント情報】12/6(水) Btrax Design Day 開催!
btraxが開催するデザインカンファレンス「Btrax Design Day」。
実に4年ぶりとなる今回は、「AI」「インクルーシブデザイン」といった昨今話題のキーワードから、「デジタル活用への課題」「若者層/潜在ユーザー層への理解不足」「グローバルブランディング」など、多くの企業にとって共通のビジネス課題まで、幅広いテーマを設定。ビジネスにおけるデザインの価値に迫ります。セッション詳細、チケット情報はこちらより。https://btrax-design-day-2023.peatix.com/
イベント開催概要
⚫️ 日時:2023年12月6日(水)13:00〜20:00(ネットワーキングパーティーを含む)
⚫️ 会場:CARATO71(東京都渋谷区鉢山町13-7)
⚫️ 定員:限定150名
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