みなさまこんにちは。
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USです。
今日は少しマニアック話です。
最近立て続けに業界の長い方から質問された染色堅牢度の『液汚染(えきおせん)』について書きたいと思います。
業界が長い方でも質問されるということは「あまり馴染みがない言葉なのではないのか?」と思ったからです。
さて、『液汚染』とは染色堅ろう度の『洗濯』や『ドライクリーニング』に記載される項目の一つです。
『液汚染』とは文字通り『液』の『汚染=汚れ』のことを指し、洗濯やドライクリーニング処理したあとの洗濯液やドライクリーニング溶液の汚れを判定する項目です。
皆さんにもわかっていただけやすいと思う例は、インディゴ製品を手洗いをした時や縦型洗濯機が作動中に洗濯の水(=よく洗液と言われてます)を見ると、色がインディゴの青になっているのを見たことがある方がいらっしゃると思います。その青く色がついている水の色の濃さを判定するのが『液汚染』です。
SDGsやサステナブルへ関心が高まるにつれ、そのうち「そんなに汚れた水を流すなんてけしからん!液汚染の悪い生地は川や海の水が汚れるから使ったらアカン!」ということにもなるかもしれません。。。
それはさておき、この『液汚染』が悪いと水が汚れる以外でどの様な実害があるかというと、洗濯やドライクリーニング堅牢度の汚染が問題なくても、処理した溶液が汚れている(=色がついている)ということは他の物に色がついてしまう可能性がある、ということです。
汚染を見る添付白布は、綿とナイロンもしくはシルクと決められておりこの2種類の色移りしか判定してません。他のポリエステルや毛、レーヨン、アセテート、再生繊維等々ほかの繊維に対してはどうなのかはわからないのです。
偉大な先人の経験値や研究の成果で大体は綿とナイロンもしくはシルク色が移っていなければ大丈夫、という事で2種類の添付白布を使用するのが一般的です。しかし、それだけでは不十分な場合があるのでアパレルメーカーによっては『液汚染』も判定必須になっていることもあるのです。
またドライクリーニングの場合、液汚染が著しく悪い場合にはクリーニング業者の方にも迷惑をかけてしまうことがあります。というのも、ドライクリーニングの溶剤は1度で廃棄してしまわず、ドライ溶液をろ過して何度か使用するのが一般的です。液汚染が悪いと溶剤再利用できなくなくなるのはもちろん、最悪の場合はドライ溶液が汚れている事で他の物を汚染してしまうこともあります。最近は減ったみたいですが昔は液汚染が悪いとクリーニング業者からアパレルメーカーに対してクレームが入った、という話も聞いたことがあります。
では『液汚染』が悪かった場合はどうすればよいのか?ということですが、ドライクリーニング液汚染が悪い場合は迷惑を掛けないためにもドライ処理を✕にするのも一案かもしれません。また普通家庭洗濯においては洗濯の付記用語に『単独洗いしてください』と付け加える事で他の物への汚染を防ぐ事ができます。あと重要なのは服の中で異色濃淡組み合わせがないようにするのがこと、また異色濃淡組み合わせの服にする場合は量産する前に洗濯試験を実施し色が淡色部分に移らないか確認しておいた方が良いと思います。
最後に、ポリウレタンが組成に含まれる生地は液汚染が悪い場合が多いです。ポリウレタンの繊維は染色できません。ポリウレタンの繊維についている染料は繊維に固着せずに乗っているだけの状態なので落ちやすいのです。落ちやすいが故に洗濯液に溶け出しやすいのです。
ポリウレタンが入っている生地の服を洗濯する際は付記用語に記載がなくても単独洗いをしたり、同色の色とまとめ洗いする、などしたほうが無難かもしれません!
それでは今回はこの辺で。
以上、USでした!
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