11月2日の日経新聞に「古着高値」「輸入価格3割上昇」というタイトルの記事が掲載されていました。
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ここで言う古着はいわゆる「欧米古着」と言われるもので、
国内リユース古着のことではありません。
記事によれば、
ファストファッションブームで古着として耐えうるものの供給が先細りし、
一方、世界的な古着ブームで原価は上がるも
2022年の日本の欧米からの古着輸入量は1万トンを越え、
過去最高の輸入量だったそうです。
枚数にすると3,000万枚くらいでしょうか?
アパレルの国内供給量は37億点くらいということなので
1%弱くらいになるでしょうか?
コロナ以前くらいから
下北沢に古着店が増えている、という話があったので
しばらく気になっていました。
今年になって、久しぶりに当地を見て歩きましたが、
東も西も古着店と飲食店しかないのでは?
と思うほどたくさんの古着店がありました。
記事によれば
コロナ禍前から4-50店増え、
現在下北の街には200店舗ほど古着店があるそうです。
店を覗いて、気が付くのは販売価格が高いこと
ですので、宝物探しをしているお客さんはいるものの
レジで買っているシーンを見ることは少なかった印象です。
以前は、1900円、2900円・・・5000円も出せば、
コーディネートのアクセントに使える品がいろいろ買えた印象でしたが、
そういった低価格帯の店は少なく、セレクトショップのセカンドラインくらいからそれ以上の価格のお店が沢山増え、
若い世代は、そうやすやすと手が出せないのでは?
と思ったものでした。
このような状況では
輸入古着は輸入量が増えても、
必ずしもマーケットにインパクトをもたらすほど販売数量がそこまで増えるものではないと感じます。
以前、古着やリユースを扱う方々から伺った話ですと、
古着の販売価格に対する仕入原価率は10%以下、
ところが、販売着地のPL上の粗利率は70%程度、
つまり、輸入しても販売できない商品のロスや換金のための値下げなどで
元販売価格に対して2/3くらいはロスがある計算になります。
しかも、古着は新品に比べて明らかに在庫回転が悪いので、
販売チャンスに粗利額をたっぷり稼がなければならないビジネス。
記事のように輸入原価が3割上がっても
そもそも原価率が低いので
販売価格に対するインパクトはそれほど大きくなく
むしろ、競争が激しくなり、
価値のある商品の供給が減ったこともあり
各店が単価を稼ぐために
価格を高めに振った結果ではないかと
古着ビジネスは参入障壁は低いですが
より目利きが求められ、
家賃は下がっているとは思えないので、
ますます生き残りも厳しくなっているという印象です。
今の下北のお店の顔ぶれが
3年後にどう変わっているか?というところです。
ところで、古着の客層には
・ビンテージマニア、・個性のある1点ものを探すファッション好き、
そして、
・価格が安いから買うという客層
があったと思います。
しかし、今や
最後の価格が安いから買うという世代は
ファストファッションチェーンやオンライン
あるいは国内流通のセカンドストリートのような店に
買いに行っているのでしょうね。
実際、下北沢でも、
欧米古着の古着店の客層とセカンドストリートの客層は
求めるものも違い、明らかに違っていました。
店は増えても、価格が上がれば、
買上客数は減るのは小売りの需要供給の原則
特にティーンズや20歳前後の学生には
古着はハードルが高くなった印象です。
原価や物価の高騰はどうであれ、
学生の小遣いが増えているとは思えないので・・・
低価格のアパレルチェーンでも
以前よりも、親同伴が増えているような印象を受けます。
原価が上がったので企業が値上げする理屈はわかるのですが、
収入の限られた層には払えなくなる
その一方で、海外から、円安に目をつけて
古着の買い付けに日本にやって来るバイヤーも少なくないとか。
オークションサイトやフリマアプリもそうですが、
昨今の古着マーケットは
ファッションに関心を持ち始める世代のためのお店ではなく
そこそこお金を持っている方々や
仕入れて売る、プロ向けのマーケットにもなっているのかも知れません。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
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