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デニムで作るアート展「SETO INLAND LINK」が倉敷市美観地区で開催 ベルベルジン藤原も出展

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デニムで作るアート展「SETO INLAND LINK」が倉敷市美観地区で開催 ベルベルジン藤原も出展

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 岡山県・児島のデニム加工工場「癒toRi18」が、デニムにまつわるアート作品を展示した展覧会「SETO INLAND LINK(セト インランド リンク)」を岡山県倉敷市美観地区で開催する。会期は10月7日から9日まで。前日の6日には、関係者向けに展示内容が公開された。

 同展は、デニム産業全体の価値を高め、地域を活性化させたいという思いから始動。児島は世界的なデニム産業の中心地として知られるが、日本各地の産地と同様に職人の高齢化と後継者不足を喫緊の課題として持つ。癒toRi18の畝尾賢一代表は「児島のデニム加工の魅力は、技術力が取り上げられることが多いが、その本質は職人達の多様な個性が生み出すアイデアと表現力」とコメント。児島デニムが持つクリエイティブな魅力に焦点を当て、その価値に共感するクリエイティブマインドを持った次世代の担い手にデニム産業に興味を持ってもらうことを目指す。

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 展覧会の舞台は、国の重要伝統的建造物群保存地区にも指定されている美観地区。銀行建築を再生した「児島虎次郎記念館」、伝統建築の静かな佇まいを持つ「旅館くらしき」、江戸時代の名家を改装した長屋門のある「倉敷物語館」の3つの伝統的な建築とアート作品を融合させ、街全体の魅力を表現する。

 展示は大きく4つのカテゴリーに分けて展開。児島虎次郎記念館では、原宿の老舗古着屋「ベルベルジン(BerBerJin)」のディレクター藤原裕の総額1500万円を超える私物の「リーバイス(Levi’s®)」のヴィンテージデニムのコレクションと、そのヴィンテージの風合いを癒toRi18の職人が忠実に再現したリプロダクト品を紹介するほか、ヴィンテージデニム好きとしても知られる三代目J SOUL BROTHERSの今市隆二のコレクションも並ぶ。

 リプロダクト制作に際しては、本物のヴィンテージアイテムを直接観察してディテールを研究することができず厳密な再現が難しいという加工場の課題に対し、藤原が実際に私物コレクションの現物を貸し出すことで高い再現性を実現。藤原は「児島のデニムが優れているというイメージは勿論知っていましたが、実際に足を運んでみると、そのものづくりの素晴らしさを実感できます。この職人の技術はしっかりと残していってほしいです」と話した。

会場の様子

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 倉敷物語館では、「社会課題×アートの力」をテーマに2人の若手デザイナーと学生が児島のデニム加工会社の廃材を使用して制作した作品を発表。精神科病院の看護師として働きながら作品を制作し、2018年にファッションコンテストITSで日本人唯一のファイナリストに選出された津野青嵐は、畝尾氏が代表を務める、発達に遅れや不安のある子どもたちを対象とした放課後等デイサービス「パントーン・フューチャー・スクール」の子どもたちとワークショップを実施。デイサービスの子どもたちが社会に合わせて自分を抑え込むのではなくクリエイティビティを開放する場を目指したという。子どもたちは「大切な人のためにつくる服」をテーマに、家族や友人、好きなアイドルなど思い思いの相手を考えながらドローイングと服作りを行った。制作の際に床に敷いていたデニムの敷物も含めて、制作時の様子がそのまま再現されている。

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津野青嵐

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 2019年にITSファッション部門のファイナリストに最年少19歳で選出され、現在はアーティストの衣装なども手掛けるデザイナーで美術家の八木華は、デニムと白無垢などの晴れ着の廃材を掛け合わせた「襤褸の晴れ着」を披露。デニム素材を用いた作品制作は、襤褸(ぼろ)を着想源に「ディーゼル(DIESEL)」のデニムを使って制作したITSの課題作品以来、4年ぶりだという。今回は様々な固定概念を壊していくことをテーマに、貧しさの中で生まれた襤褸と正反対存在である晴れ着の素材を使用し、デニムのイメージである青と対照的な赤色にデニムを染め直した。赤色には、白無垢に込められた「花嫁が結婚相手の家に染まる」といった意味に対するアンチテーゼも含まれている。

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八木華

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 このほか倉敷物語館では、児島に拠点を構えるデニム加工会社3社と岡山県内の学校3校をマッチングし、学生が加工会社の技術を活かして制作した作品を展示。作品制作を経てデニム加工の魅力を知った学生の中には、実際に癒toRi18への就職を決めた学生もいたという。岡山の学校ではデニムについて学ぶカリキュラムが組み込まれていながら、デニム産業への就職率がとても低いという現状がある中でも、「魅力を次世代に伝えていくことへの手応えを感じた」と畝尾氏は話す。

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 旅館くらしきでは、韓国出身の男性ダンスヴォーカルグループ「SUPERNOVA(超新星)」のゴニルが新作を発表。「普通の衣類よりも洗濯の頻度が少ないデニムは人間との距離が近いと感じる」というゴニルは、「デニムと自分との距離感」をイメージし制作に臨んだという。「色の使い方も、デニムを選ぶとき、私服を選ぶときに合わせる色のを選ぶようにバランスにこだわりました」とコメントした。ゴニルは同展の開催に合わせて来日し、8、9日の2日間は在廊する予定だ。

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 畝尾氏は、「ひとつひとつの素晴らしい作品はもちろん、倉敷の歴史と価値のある場所に、アートやデニムの価値が重なり、会場を回ることで美観地区を巡ることができます。作品とともに倉敷の良さを楽しんでもらえたら嬉しいです」と語った。

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