前回の「起業家が知っておくべき31のビジネスモデル(Part 1)」に引き続き、こちらの記事を参考に、31個にビジネスモデルを類型化し、それぞれについて解説していく、「起業家が知っておくべき31のビジネスモデル」シリーズ。今回はその第2回目だ。今回も10個のビジネスモデルを見ていく。
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ビジネスモデルをブラッシュアップしたい起業家にとって参考になれば幸いだ。
それでは11から20までのビジネスモデルを見ていこう。
目次
11. データ提供型ビジネスモデル
アプリを通してユーザーからデータを集め、システムの精度を上げたり、そのデータを欲している他の会社にデータを提供することでマネタイズするビジネスモデル。
例:OpenAI。ユーザーがデータを打ち込めば打ち込むほど、システムの精度が高まる
データ提供型ビジネスモデルの図解(参照)
有名なチェックインアプリである、Foursquareはユーザーの位置情報とチェックイン情報を集めている。Foursquareに貯まった膨大なユーザーデータは新規店開拓の際に利用される。
12. ブロックチェーンビジネスモデル
ブロックチェーンは、AWS などの中央機関を必要とせずに、企業がスマートコントラクトを展開できるようにする分散型台帳テクノロジーだ。
例:Ethereum, Solana
ブロックチェーンビジネスモデルの図解(参照)
ブロックチェーンのビジネスモデルの種類
- トークンエコノミービジネスモデル
企業がトークンマイナーまたはトークン保有者に報酬を与えるメカニズムの1つとしてトークンを発行するモデル。例: Ethereum, Solana - P2Pブロックチェーンビジネスモデル
ピアツーピア (P2P) ブロックチェーンにより、エンドユーザーは相互に直接対話できるモデル。不特定多数の端末がサーバを介さずに、端末同士で直接データファイルを共有することができる通信技術、またはソフトウェアのことを指す。例: IPFS - Blockchain as a Service (BaaS)ビジネスモデル
ブロックチェーン技術を基盤にアプリケーションを開発することを指す。例: Bitcoin, Ethereum - ブロックチェーンベースのアグリゲータービジネスモデル
ブロックチェーンの API 呼び出しを実行し、ソフトウェア同士の連携を可能にする。例: Alchemy
13. フリータープライズビジネスモデル
フリータープライズ(無料+エンタープライズ)ビジネスモデルは、最初は無料で導入可能だが、ある一定数人数が増えると課金するモデルである。
無料であることで、従来の営業主体のトップダウンのモデルより、ボトムアップ的に導入が進むことが多い。
例:Slack, Zoom
フリータープライズビジネスモデルの図解(参照)
ここで、SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)のGo-to-market(市場戦略)のトップダウンとボトムアップアプローチの違いをご説明する。
トップダウンは、CXOレベルでの導入意識決定が必要なケースが多く、ピンポイントでのマーケティング戦略や、フィールドセールスによる長いサイクルの対面営業プロセスを要する。
カスタマーサクセスの面でも、導入時の訪問支援サポートや個別のアドバイスをするようなハイタッチな手法になる。このトップダウン戦略を採用している企業例としては、Veeva、Workday、Zuoraなどが挙げられる。
ボトムアップは、対象者が広範囲なため、マスに近いマーケティング戦略が適用できる。
いち従業員が一人、または数名で使い始められるプロダクトやサービスで、セルフサーブ型でユーザーのオンボーディングが完結できる。また、バイラル要素があり、営業サイクルも短い。Zoom、Slack、Twilioなどが例として挙げられる。
14. レーザー&ブレードビジネスモデル
1つのアイテムを低価格または赤字で販売し、詰め替えや追加で利益を生み出すビジネスモデル。ハードウェアビジネスで広く使用されている。
例:Gilletの剃刀と刀、コーヒーマシンとコーヒー豆
レーザー&ブレードビジネスモデルの図解(参照)
レーザー&ブレードビジネスモデルのメリット
- 製品を試す顧客のリスクを軽減する。
- 顧客は、多額の初期費用をかけずに製品やサービスを試すことができる。
- 製品からの継続的な収益源により、初期費用の何倍もの売上が得られる可能性がある。
15. D2Cビジネスモデル
D2Cビジネスモデルでは、ブランドは中間業者を排除し、サードパーティの物流パートナーを使用して自社の Webサイトから最終消費者に製品を直接販売する。
例:GymShark、Kylie Cosmetics
D2Cビジネスモデルの図解(参照)
D2Cビジネスモデルを使用するブランドは、ウェブサイト、マーケットプレイス (Amazon、eBay ) などのオンラインチャネルを主に使用するが、実店舗を構える事例が増えている。
従来の小売流通とD2Cの流通を比較した図(参照)
D2Cビジネスモデルのメリット
- 中間業者がいないことで中間搾取が発生しないため、利益が大きくなる。
- オンラインファーストモデルで自社にデータを多数保有するため、年齢や地理など、よりターゲットを絞った顧客データにアクセスできるようになる。
16. ホワイトラベルビジネスモデル
ホワイトラベルビジネスモデルとは、製品を契約メーカーまたはサードパーティメーカーに委託製造してもらい、自社のブランド名で販売するものだ。
例:Amazonの電子製品
ホワイトラベルビジネスモデルの図解(参照)
ホワイトラベルビジネスモデルのメリット
- 開発コストの削減
商品を自社で製造する必要がなくなるため、製造設備を持つことなく自社ブランド商品の販売が可能になる。製造設備への投資が不要になれば、開発コストの削減にもつながる。 - 開発ノウハウがなくても自社ブランド商品を製造できる
開発ノウハウについてもある程度OEMメーカーに頼れるため、開発ノウハウを持たない企業も自社ブランド商品の製造が可能だ。 - 商品企画や販売に専念できる
製造工程を他社に委託することで自社のリソースを割く必要がなくなり、商品企画や販売に専念することができる。
17. フランチャイズビジネスモデル
フランチャイズビジネスモデルは、本部(フランチャイジー)の有する商標や販売・経営ノウハウなどを加盟店(フランチャイザー)に与えるかわりに、ロイヤリティを対価として、加盟店が本部に支払うモデルだ。
例:Domino’s Pizza, McDonald’s
フランチャイズビジネスモデルの図解(参照)
このビジネスモデルは、Subway、Domino’s Pizza、 McDonald’sなどのクイックサービスレストランで広く使用されている。
フランチャイズビジネスモデルのメリット
- 本部から経営サポートを受けられる
フランチャイズに加盟すると、仕入、接客、広告宣伝など、経営にまつわることをすべてサポートしてもらえる。フランチャイズ本部には、新しい加盟者が店舗を立ち上げるまでのサポートや、経営を軌道に乗せるためのノウハウが確立されており、サポートを受けながらスピーディに開業準備を進められる。また、開業時のサポートだけでなく、継続的なサポートも受けられる。 - 本部のブランド力やノウハウを活用できる
フランチャイズに加盟して得られる最大のメリットは、すでに確立されたブランド力(ブランドイメージ)がある状態で、経営を始められることだ。知名度や認知度が高いフランチャイズチェーンであれば、看板を見ただけでも商品やサービスが想起される。また、どの店舗でも同じサービスを受けられるのがチェーン店の魅力とも言えるため、そのチェーンのファンさえいれば、開業してすぐでも集客に困ることは少ないだろう。
18. 広告ビジネスモデル
SNS企業や検索エンジンを手がける会社は検索エンジンと関心データを使用して広告を表示することでマネタイズすることが多い。
例:Google, Facebook, Snapchat
広告ビジネスモデルの図解(参照)
たとえば、Google ユーザーは検索に対して料金の支払いは発生しない。
その代わりに検索エンジン等からユーザーのデータを収集し、各ユーザーに対して提示される広告をハイパーパーソナライズすることでマネタイズに成功した。
19. タコビジネスモデル
タコビジネスモデルとは、タコの足のような各事業部が独立しながら本体とつながっている多角化事業戦略だ。
例:OYO
タコビジネスモデルの図解(参照)
OYOは、ホテル、コワーキング、コリビング、別荘などOYOブランドを冠した多角化戦略を展開する。
タコビジネスモデルのメリット
- コスト削減
OYOは施設提供者との提携を通じ、自社が施設の所有者になる必要がないため、初期投資やランニングコストを削減することができる。これにより、大規模な運営や拡大を行いやすくなる。 - データ分析と最適化
タコ足型のビジネスモデルは、多くの地域で大量のデータを収集することができる。このデータは、顧客の傾向や好みを理解し、サービスを最適化するために活用することができる。
20. トランザクション型ビジネスモデル
トランザクションビジネスは、取引ごとに発生するマージンや取引料でマネタイズする仕組みだ。
例:Stripe, PayPal, Coinbase, Brex
トランザクションビジネスモデルの図解(参照)
Stripeを例に説明する。同社は多くのスタートアップ向けに決済サービスを提供している。
各スタートアップの決済額はStripeで処理される。これがトランザクションビジネスだが、Stripeは各トランザクションにつき手数料を徴収している。つまり、他者の決済額を処理する類のビジネスである場合、トランザクションビジネスに該当すると考えると良い。
まとめ
いかがだっただろうか。
現在ビジネスモデルを決める段階や、見直している段階の起業家の方々、ビジネスマンの方々にとって、良い機会となっていれば幸いだ。
次回もVol.2に引き続きVol.3として、約10個のビジネスモデルを見ていく。次回の記事もお楽しみに。
Written by Takaaki Sako
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