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スターバックスのアイデンティティ、「サードプレイス」の行方

スターバックスのアイデンティティ、「サードプレイス」の行方

在米28年のアメリカン流通コンサルタント
激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

■世界最大のコーヒーチェーンの「サードプレイス(第三の場所)」はスターバックスのコンセプトを語る上で重要な言葉であり、スターバックスの強さでもある。

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サードプレイスとは家庭(ファーストプレイス)や職場(セカンドプレイス)でもなく、気軽に人々と集うことができる場所のことを指す。

仕事や家庭でもないサードプレイスの非日常的な空間は、一人で過ごすのにも友人とのおしゃべりにもくつろぎや楽しさを与えてくれるのだ。

スターバックスはサードプレイスとしての機能に多くの支持を集めて成長していったと言える。つまりスターバックスはサードプレイスをアイデンティティとしていたのだ。

しかしスターバックスは最近、強みでもあったサードプレイスが終了していることを決算から浮き彫りにしている。

スターバックスではモバイルオーダーを介した注文にドライブスルー、デリバリーが売上全体の74%を占めているのだ

顧客の4分の3はサードプレイスなど気にせず、スピード重視ということになる。スターバックスはさらにスピードを早める施策を行うことが明らかになった。

 スターバックスはアプリを介したモバイルオーダー注文でドライブスルーにてピックアップする顧客に「スキャンレス・ペイ(Scanless Pay)」の実証実験を行っているのだ。

スキャンレス・ペイとはスマートフォンのGPS機能によりドライブスルーレーンに並んでいる顧客の位置を把握することで、QRコードをスキャンしなくとも顧客を特定して注文品を渡せる機能だ。

ドライブスルーに並んだドライバーはスマートフォンを取り出し、アプリを起動したり、QRコードを表示しなくとも名前を言うだけで商品を受け取れる。

スターバックスにとってはQRコードをスキャンする必要がなくなることでドライブスルーでの待ち時間を短縮でき、多くの顧客をさばけるようになる。

スキャンレス・ペイの使い方は対象となるスターバックス店でモバイル注文しておき受け取る直前でアプリからチェックイン(Check-in)をしておく。

チェックインすることでスターバックスが全地球測位システムにより顧客の位置をフォローできるのだ。あとはドライブスルーの窓口で顧客が名前を言うだけで注文品を受け取れるようになる。

 ファストフード最大手で外食業界の巨人となるマクドナルドもモバイルオーダーで新たな機能をテストしている。

ドライブスルーをジオフェンシング技術で便利にした機能だ。

ジオフェンシングとは地図上にバーチャルなフェンスを設置する技術。特定のフェンス内に対応端末をもつ利用者が入った時、アプリの画面が変わるなど「モバイル端末のGPS機能」を活用し、予め決めた処理を自動的に行う機能のことだ。

マクドナルドやチックフィレではモバイルオーダーで注文しても利用者が店のエリア内にいなければ注文や決済ができないようになっている。

言い換えれば利用者が店内もしくは近くにいて、初めて注文・決済ができ、調理が始まるようになっているのだ。

例えばチックフィレでモバイルオーダー後、お店の近くに行くと画面が変わり「到着しました(I'm here)」のボタンが現れるようになっている。

このボタンをタップすることで注文が確定し決済となり、調理が始まる。ジオフェンシングによって注文後、利用者が店に現れないということがなくなるのだ。

マクドナルドではあらかじめモバイルオーダーで注文したドライブスルー客をジオフェンシングで感知し、店に到着と同時に注文品を渡す「レディ・オン・アライバル(Ready on Arrival)」をおこなっている。

レディ・オン・アライバルでは到着まで3分以内となったお客に向け、ビッグマック等の注文品の用意を始める。こうすることでお客は待たされることなアツアツのメニューを持ち帰れることになる。

 モバイルオーダーと自動化したベルトコンベアを組み合わせてコンタクトレス&超高速化を果たす実験もおこなっている。

マクドナルドではアプリ注文のツーゴーをベルトコンベアで運んでお客が受け取るレーンを「オーダー・アヘッド・レーン(Order Ahead Lane)」と呼んでいる。

オーダー・アヘッド・レーンはドライブスルーの外側にあり、厨房からベルトコンベアとエレベーターを使ってドライバーのところに運搬するシステムとなる。

マクドナルドによるとパンデミック前、トップの売上を誇る店舗ではドライブスルーが売上の70%に至っていた。

コロナでドライブスルー客やツーゴー客が9割にも達しており、ベルトコンベアのある店舗をテストするのだ。

オーダー・アヘッド・レーンを導入した最新店は通常の店舗より26%狭い小型フォーマットとなっており、店内には通常のレジ接客用の注文のほか、キオスク端末も導入されている。

店内での受け取りでは本棚のような「ピックアップ・シェルフ(Pick Up Shelf)」に並べ、宅配ドライバーでも簡単に注文品を受け取るようにもなっている。

最新店もモバイルオーダーによるカーブサイド・ピックアップも可能だ。オーダー・アヘッド・レーンにレディ・オン・アライバルを組み合わせることで近未来的なファストフードDX店になる。

 コロナ以降、飲食チェーンのDXではコンタクトレスにスピードアップが最重要課題となっているため、スターバックスのサードプレイス・コンセプトも縮小せざる得ない状況になるのだ。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。今年初め頃、サンフランシスコのカストロ地区にあるスターバックスで全ての椅子とテーブルが撤去されていたことが話題になっていました。サードプレイスを止めた理由はホームレスが入って居座るから。天候も厳しい上に注射針が落ちているような路上は昼間でも治安が極めて悪いのです。保守系の政治家にはサンフランシスコ市内で「私たちはここに来て、通りで人々が排泄をしているのを見かけました。ヘロインを使用している人々も見ました。クラックコカインを吸っている人々を見ました」と指摘した上で「周囲を見渡すとサンフランシスコはもはや活気がありません。左派の政策により本当に崩壊してしまったのです」とする動画を上げている人もいるほど。ホームレスが一人でもいればお客は寄り付きません。ホームレスが居座る以上に怖いのは、頭のおかしい人が店内で暴れるということもあります。ロサンゼルス近郊スタジオシティ地区の一部のスターバックスもスタッフの安全を確保するためサードプレイスを止めたと報道がありました。
 モバイルオーダーにドライブスルー、デリバリーが売上全体の4分の3を占め、一部はホームレスでサードプレイスレスです。

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