連日の猛暑である。
最高気温32度までくらいなら暑いなあと思いながらもさほど苦痛ではないが、最高気温35度となると屋外を歩くことすら苦痛である。
個人的には汗っかきなので最高気温25度を越えると少し歩いただけで汗ばむが、35度だと汗をかく量が体感的に何倍にも増える。
そんなわけで、最早当方の頭の中は今現在は吸水速乾素材の服のことしか考えられなくなっており、厚手綿100%素材は好きなのだが着用する気にも購入する気にもなれない。猛暑日が終わればまた着用したり購入したりしたいと思うようになるだろう。
暑さが苦手と言う人もいれば、寒さの方が苦手だという人もいる。この辺りは人それぞれだが、当方は寒さより暑さの方が苦手である。
アパレル売上高ランキングでは1位がZARAを擁するインディテックス、2位がH&M、3位がユニクロとジーユーを擁するファーストリテイリングという順位が定着しており、近い将来2位と3位が入れ替わるように思えるが1位と3位が入れ替わるのは相当先のことになるのではないかと思う。
当方は世界市場云々ということは専門外なので言及しようがないが、こと日本国内に関していうと、売上高の大きさでいうとファーストリテイリングが圧倒的でZARA、H&Mはかなり引き離されていて小さい。
当方のように海外に行かない人間からすると、国内のZARA、H&Mに対しては世界で認められているようなスケール感も勢いも感じられないというのが正直な感想である。
外資低価格SPAブランドの撤退が相次ぎ、結局国内に残っているのがZARA、H&M、GAPとバナナリパブリックだけということになってしまったわけだが、GAPとバナナリパブリックも相当に勢いが無くなっており、GAPはついに日本国内から旗艦店が無くなってしまった。バナナリパブリックは元から国内では影が薄い。再上陸したアメリカンイーグルもさっぱり話題にならない。
国内では外資SPA低価格ブランドに対してユニクロとジーユーが圧倒的に強く、2ブランド合わせて1兆円を越える売上高となっている。
その原因としては、ファーストリテイリングにとって母国というアドバンテージはもちろんあるだろう。そして、当方に限らず多くの方がご指摘されているが、使用素材と縫製仕様が外資SPA低価格ブランドに対して圧倒的に優れいてるということがある。
さらにいえば、ユニクロとジーユーが日本人体型に合わせたサイズ感であるのに対して、外資SPAブランドのほとんどは世界標準サイズ、または欧米対応サイズとなっていることも原因の一つに挙げてもよいのかもしれない。要するに日本人の体型には商品が合わないから支持されにくいというわけである。ちなみに当方はZARAの長袖トップス類の袖丈が長すぎて体型に合わないのでいくら値下がりしていても絶対に買わない。
最近、それ以外にもう一つ理由があるのではないかと考え始めている。
もう一つの理由とは、機能性素材服の存在ではないだろうか。ユニクロ、ジーユ―は夏には吸水速乾素材服、冬には保温・発熱素材服を必ず相当数両を販売する。特に下着類は大ボリュームを投入しており両ブランドの主力商品の1つである。しまむらも吸水肌着、保温肌着は主力商品の1つとなっているし、ワークマンは綿100%ヘビーオンスTシャツ以外はほとんどが何らかの機能性素材服となっている。
また上記ブランド以外でも近年は冬場は各カジュアルブランドから防風ジーンズ、保温カジュアルパンツが発売されそれなりに支持されている。しまむらの2015年の大ヒット商品も裏地あったかパンツという保温カジュアルパンツだった。
2009年こそ「ファストファッションブーム」として外資SPA低価格ブランド群が持て囃されていたが、結局はほとんどが撤退し、残った4ブランドも国内では勢いが感じられない。コロナ禍があったとはいえ店舗数も減少している。
一方で何だかんだ言われても、ユニクロ、しまむら、ジーユーを始めとする国内低価格ブランド群はある程度は堅調、好調に推移している。
その理由はこれまで語られてきた以外に、機能性素材服という理由もあるのではないかと最近思うようになった。
当方が知らないだけかもしれないが、ZARA、H&M、GAP、バナナリパブリックで吸水速乾Tシャツや機能性肌着、防風ジーンズなどが売られているのを見たことがないし、聞いたこともない。
外資低価格ブランドは、ファッション性とかトレンド性のみで勝負をしているように見える。機能性を打ち出しているのは同じ外資でもスポーツウェアブランドやアウトドアウェアブランドということになる。日本人でも欧米スポーツウェアブランド、アウトドアウェアブランドを愛用する人は多く、現在の外資SPA残存4ブランドよりも支持されているのではないかと感じる。
日本人でもユニクロ、しまむら、ジーユーだけでは物足りなく感じる人も少なからずいる。そういう人は外資4ブランドではなくスポーツウェアブランドやアウトドアウェアブランドがその受け皿となっているのではないだろうか。
日本市場を外資各社はどのように見ているのかはわからないが、ファッション性やトレンド性だけで引き続き攻略しようとすると、残存している外資4ブランドが今後も反転することは難しく上手く行って現状維持、順当に行けば減少傾向ということになるだろう。
機能性服に慣れきってしまった日本人が残存している外資4ブランドの現状商品を支持する可能性は限りなく低い。
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