展示会より
Image by: FASHIONSNAP
良品計画が、「無印良品」の2023年秋冬シーズンの展示会を開催した。同社は不振が続く衣料品カテゴリーの見直しに2022年秋冬シーズンから取り組み、「無印っぽい」という偏ったテイストからの脱却を図っている。改革への着手からおよそ1年。2023年春夏シーズンでは完売アイテムが出るなどの効果があり、岡崎令上席執行役員は手応えを感じているという。
衣料品カテゴリーでは「無印っぽい」を象徴するような偏ったテイストではなく、幅広い層が着られる商品を拡充。具体的には、コロナ禍で需要が伸びた家着の商材を減らし、外にも着ていける商品群を増やした。カラーリングもブラックやネイビー、生成りなどのベーシックカラーに加えて、差し色に使えるピンクなど色や柄の数を増やすことで、エモーショナルな訴求を強化し、買い物時のワクワク感を追求したという。また、気候変動の影響も鑑みて展開期間の見直しも行い、実需に対応するように取り組むなどの施策が奏功。来店客から「無印が変わった」という反応が聞こえてくるようになり、20〜30代の若年層を含む新規客の獲得にもつながった。衣料品カテゴリーの不振は前期(2022年8月期)で「下げ止まった」と岡崎氏も手応えを語っている。
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足元で特に売れているのは、ウィメンズでは洗濯後のシワになりにくさと乾きやすさを実現した「乾きやすいブロード七分袖ワンピース」(5990円)、メンズでは極小の通気孔をもった風通しの良い素材を採用した「風を通すストレッチポロシャツ」(3990円)。いずれも真夏でも着られる素材を使いながら、秋を彷彿とさせる淡い落ち着いたカラーをラインナップしている。メンズのポロシャツは7月上旬から、ウィメンズのワンピースは同月中旬から展開を開始し、当初は9月まで販売を予定していたが計画以上の売れ行きで、すでに完売状態となっている店舗もあるという。増産は予定されていない。Tシャツに関しては、最低価格の790円のシリーズではなく、裏面に接触冷感素材をあしらった2990円(いずれも税込)の「涼感UVカットワイド半袖Tシャツ」が想定以上に動いているという。
秋冬シーズンはサステナブルな素材を使ったものづくりを強化し、全体に対して7割近くのアイテムに天然素材やリサイクルしたポリエステル素材を用いた。一部のウール商品もリサイクル素材を使用し、レザーでは植物由来の生地を採用した。春夏シーズンでも好評だったイージーケアにも力を入れ、ほとんどのニット製品は自宅での洗濯に対応。このほか、ダウン商品も多数ラインナップし、防寒需要に応える。
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今シーズンは7割の商品が新作として開発された。前シーズンの類似商品と比較して上代価格が引き上がっているアイテムもあるが、岡崎氏はあくまでも商品開発を踏まえた上で必要な価格を設定しているとし、「値上げ、値下げといった点は意識していない」と話した。
なお、ミニマムクローゼットをテーマに掲げる商品ライン「MUJI Labo」のレギュラーラインは、今シーズンからアウトドアシーンでも着られる機能性を取り入れたデイリーウェアの展開を始める予定だ。
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