表参道・BOOKMARC(ブックマーク)が2023年6月25日(日)で、現在の場所での営業を終えた。ご存じMARC JACOBS(マークジェイコブス)が運営するブックストアである。アート作品やデザイン本、写真集をメインに扱い、地下のフロアにはギャラリーを併設。そこでは国内外から多くの作家、クリエイター、アーティストを招致してさまざまな展覧会が開催されてきた。アート、カルチャー、そして空間に集まる人が交差し、結び付けていた場所のように思う。
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2013年のオープンから10年。最後を締め括るクロージングパーティの招待メールには「読みかけの本の第一章を閉じるように」という文言が添えられ、なんともBOOKMARCらしいと感じた。また、「別の場所で第二章のページを開きます」とも。
BOOKMARCは、OMOHARAREALではもちろん、個人的にも思い入れがある場所だ。なので第一章のピリオドは寂しい限りだけれど、第二章の始まりを心待ちにしていたいと思う。そして同じような思いを持った人々が、急遽の知らせにも関わらず、閉店2日前、金曜日の夜に行われたクロージングパーティーに集まった。BOOKMARC最後の、パーティナイトの様子をレポートしたい。
ある程度人が集まることは想像できていたものの、BOOKMARC前には予想以上の人が詰めかけていた。表参道・原宿エリアの展示やショップオープンのレセプションには数多く行ったけど、これほどの人数は見たことがないかもしれない。
老若男女、国籍もさまざまな人が集まる様子はまるで海外のオープンルーフパーティのようだ。これもBOOKMARCだからこその客層と言える。
こんなパーティを表参道からすぐ、原宿のど真ん中でやっているというのはなんとも新鮮だ。周囲に商業施設しかないからこそ実現できる贅沢なロケーション。今にして思えば、希少な場所だったと写真を見返しながらあらためて痛感した。
この日のDJはフィナーレを飾るにふさわしい豪華な布陣。まずは、「中西俊夫a.k.a Tycoon Toshの回顧展」に企画協力として参加した山口美波(VIVA STRANGE BOUTIQUE)さんからスタート。
次にバトンを受け取ったのはロンドンの映像作家/DJであるDon Lets(ドン・レッツ)と「REBEL DREAD HARDWARE」をBOOKMARCでローンチしたばかりのHatchuck(ハッチャク)さん。
そして大トリは数々のBOOKMARCの展示にも関わりながら、この場所で幾度もDJやトークショーに出演をしてきたレジェンド・高木完さん。
ヒップホップからディスコハウスまで、完さんらしい引き出しの広さと多彩さで、集まったオーディエンスを魅了していた。思わず、自然と足がステップを踏んでしまうグルーヴあふれる空間が最高に楽しい。
原宿の伝説的クラブ「ピテカントロプス・エレクトス」に通じ、藤原ヒロシさんとのタイニーパンクス(TINNIE PUNX/TINY PUNX)、のちのクラブミュージックレーベルMAJOR FORCEなどで活躍した完さんは表参道・原宿エリアとも関わり深い人物だ。完さんにはいずれ、OMOHARAREALで取材させていただけたら光栄です。
その横では今までの展示フライヤーのスライドが流されていた。
向かってキャッシャーの裏には10年間の展覧会やサイン会、トークショーなどのフライヤーが一堂に会していた。この決まったフォーマットのフライヤーデザインも、毎回手に取るのが楽しみになるようなBOOKMARCの名物だったと言えよう。
入り口のクロージングパーティのフラッグにはメッセージを寄せ書きできるようになっていた。
中にはOMOHARAREALでもインタビュー記事を配信している中村のんさんやシトウレイさんのメッセージも。お二方ともかつてBOOKMARCでイベントを行っている。
関係者を始め、BOOKMARCと交流があったアーティストやクリエイター、多くの著名人も足を運んだクロージングパーティ。その熱気を体感しあらためてBOOKMARCは地域に愛されたショップなんだということを実感した。
最後は、完さんがストアマネージャーの持田さんを呼び込んでの一区切りの挨拶。出演者やスタッフをあらためて紹介し、感謝の言葉と第二章への決意を述べて締めくくった。
表参道を歩いて、何気なく寄れて、何かを受け取れる場所であり、BOOKMARCを通じて知ることができたアーティストや作品、書籍は数えきれない。
まだフラフラと周辺を遊び回っている頃に、アートやデザインの間口としてBOOKMARCは懐広く門戸を開いてくれていたし、BOOKMARCだからこそ見せてくれた世界や景色があった。
願わくば、また表参道・原宿の地での再会できることを祈りつつ。ひとまずは10年間、ありがとうございました&お疲れ様でした。
BOOKMARCで個展やサイン会を行ったアーティスト・クリエイターを始め、モデル・インフルエンサー、原宿の重鎮たちまで。一様にBOOKMARCとの別れを惜しみつつ、楽しんだパーティのオフィシャルスナップを特別掲載する。
まずはOMOHARAREALでも記事に協力してくださった皆さん。
音楽でクロージングパーティを盛り上げてくれたDJ陣はかねてよりBOOKMARCと交流があり、展示やイベントでも協力してきた人たちだ。
そのほかモデルやインフルエンサー、気鋭のデザイナー、クリエイター。多様な人たちが世代を越えて集まっていた。BOOKMARCならではのファン層の厚さと幅の広さに、その存在の希少性を読み解くことができるはずだ。
最後はチームBOOKMARC!
本当に楽しい時間と空間を、最後までありがとうBOOKMARC。表参道でしばらくお会いすることができないのが寂しい。ひとまずお疲れ様でした。またBOOKMARCに足を運ぶその日まで。第二章のページを開くのが今から楽しみだ。
■BOOKMARC 1st Period.クロージング・パーティー
開催日:6月23日(金)
開催場所:BOOKMARC
住所:東京都渋谷区神宮前4-26-14
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