1990年代半ばに南アフリカで始まったサンダルブランド「SHAKA(シャカ)」。30年ほど前、スポーツサンダルという言葉や、サンダルをアウトドアのフィールドで履くというスタイルが生まれた初期の段階からSHAKAは日本でも手に入れることができ、野外音楽フェスなどですでに履かれていたスポーツサンダルのパイオニア的な存在だ。
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そして、現在のSHAKAのアイテムは驚くべき進化を遂げており、サンダルにおける最先端のテクノロジーが詰め込まれているといってもいいだろう。そんなSHAKAの詳しいお話を株式会社ブルームーンカンパニー マーケティングディレクター高橋敏郎さんにお話を聞いた。
「1990年代の日本では、SHAKAは知る人ぞ知る感じの存在だったと思います。『HIKER(ハイカー)』というモデルが一番最初にできたオリジナルの型になるのですが、グルカサンダルのディテールで、甲を包み込むようなデザインのアッパーに3層の厚みのあるソールがついていました。
HIKERは今も定番アイテムとしてラインナップされていますが、テクノロジーの進化で1990年代のものとは足裏があたる面やテープの質感などが改良され、履き心地などかなりレベルアップされたものになっています。さらには再生素材も使用し環境にも配慮しています」
南アフリカから日本へ
2000年代初頭のこと、本国、南アフリカでSHAKAは一旦ブランドを終了することになる。その後、どうリスタートして今日のSHAKAがあるのだろうか、引き続きお話しいただいた。
「2013年に私たちがブランドの権利を取得して1990年代にあった3型を復刻させるところから始まりました。先ほどもお話ししたHIKERを含む3型です。
1990年代も2013年もSHAKAの購買層はメンズが中心でした。というのも当時は今のような無地のアッパーではなく、トライバルのような民族調の柄が入ったテープが用いられるており、私たちが作っていた復刻版も、オリジナルを踏襲した柄入りのものだったので、メンズのイメージが強かったのだと思います。
あるとき、黒1色で無地のデッドストックのものが見つかって、それがきっかけとなり、私たちも無地のものを作り始めました。するとレディースのバイヤーさんから無地をベースとした別注をいただきました。それがメンズを追い越すほどの人気となり、ユニセックスで展開するブランドになっていきました」
ブランドリニューアルで生まれたアーバンアウトドアという解釈
2023年でSHAKAが日本でリスタートしてから10年となる。そのタイミングでブランドリニューアルを実行した。ここからはSHAKAの今について伺っていこう。
「まずは最上位モデルから見ていただきたいのですが、イタリアのエクストラライトというソールブランドに別注をかけて開発した『EX SOLE(イーエックス ソール)』という軽くてクッション性に優れたものを使っているモデルで、『NEO BUNGY EX(ネオ バンジー イーエックス)』と『CHILL OUT EX(チル アウト イーエックス)』という2型をラインナップしました。この2型とも、先ほどお話しした1990年代からあるデザインのものをアップデートして作られています」
「ブランドを刷新したSHAKAは旅をキーワードに設け、アーバンアウトドアで長時間履いても疲れないサンダルづくりに着手しています。
一般的にサンダルは“ちょい履き”のイメージがあると思うのですが、旅やレジャーなどの非日常空間に出掛けることを叶えてくれるのが、SHAKAのサンダルです。以前から『SHAKAのサンダルは履きやすい』という声をユーザーから寄せられることが多かったので、そこを深く追求し、先ほどもお話しした“長時間履いても疲れない”ということを体現したモデルがNEO BUNGY EXとCHILL OUT EXの2型なのです。
足が疲れないメカニズムとして物性が大切だと考えておりまして、ソールにEVA[1]素材を配合することで体重がかかったときの沈み方のパーセンテージや、肌にあたる部分の素材感、さらにはベルトの取り付け位置までかなりのこだわりと計算が詰まっています」
SHAKAの「スニーカーサンダル」
SHAKAにはサンダル以外にもう1つ力を入れているアイテムがある。それはスニーカーサンダルだ。スニーカーとも違い、一般的なスポーツサンダルとも大きく異なる。SHAKAのスニーカーサンダルとはどんなアイテムなのだろうか。
「SHAKAはスポーツサンダルだけにとどまらず、トータル的なフットウエア作りを行なっておりまして、秋冬はブーツなども作ります。春夏はサンダルだけではなく以前から打ち出しを考えていたスニーカーサンダルにも注力してリリースしているのですが、スニーカーとサンダルのちょうど中間の“スニサン”というアイテムのリリースにも注力しています。このスニサンは世の中にはまだあまりないものなので、SHAKAのオリジナリティーを発揮できているアイテムだと認識しています。
2~3年前に『OTTER TRAIL AT(オッター トレイル エーティー)』というモデルをリリースし、そこからラインナップが増え第2弾としてリリースしたのが『TABLE MOUNTAIN AT(テーブル マウンテン エーティー)』というモデルです。この2型は、アーバンアウトドアというキーワードにもマッチしたアイテムだと思います。『スニーカーのルックスを持ったサンダル』という概念が表現できているアイテムです」
国内展開10周年を迎えたSHAKAのこれから
「実際に履き心地を体験できるイベントを先日鎌倉で行ったのですが、つくり手の私たちがSHAKAの良さを直接伝えられる機会というものをもっと増やしていければ良いなと思っていました。
10周年という節目にブランドをリニューアルして、フラッグシップモデルのNEO BUNGY EXとCHILL OUT EXをもっともっと皆さんに体感してもらいたいですし、体感してもらえれば使えるシーンの多さにも気づいてもらえると思います。そして、プライス以上の価値もわかってもらえると思います」
現在のSHAKAは、従来のサンダルのイメージや用途をテクノロジーを用いてどこまでも増幅させたブランドだと感じる。その追求された履き心地と卓越されたデザインは日本のみならずヨーロッパを網羅し、台湾、香港などアジア各地に取扱店を持つ。その海外展開の全ては日本でハンドリングが行われている。この夏、是非実際にSHAKAのサンダルを手に取り、その驚きの履き心地を体感してほしい。
[1]EVA:Ethylene-Vinyl Acetate(エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂)という樹脂の頭文字を取った略称のこと。弾力性や柔軟性に優れており、靴のアウトソールやサンダル本体の素材などに使われることが多い熱可塑性合成樹脂。
PROFILE|プロフィール
高橋 敏郎(たかはし としろう)
株式会社ブルームーンカンパニー SHAKAマーケティングディレクター2009年にブルームーンカンパニーに入社。2013年のSHAKAの立ち上げやブランディングに携わり、2021年にSHAKAのマーケティング部を立ち上げて現職に就き現在に至る。
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