「ユニクロ」のロゴ
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ファーストリテイリングが2023年8月期第3四半期(2022年9月~2023年5月)の業績を発表し、売上収益と営業利益ともに過去最高の業績を達成した。コロナ禍に苦戦していた中国大陸を中心としたグレーターチャイナの急回復が背景にあり、好調に伴い通期業績予想の上方修正を併せて公表した。
同社の2023年8月期第3四半期の連結売上収益は2兆1435億円(前年同期比21.4%増)、連結営業利益は3305億円(同21.9%増)を記録。特に海外ユニクロ事業が好調で、今四半期(2023年3月〜5月)の連結売上収益は同38.0%増の3423億円を計上。連結営業利益は614億円で、前年同期の2倍に迫る伸長を示した。
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中国大陸では今四半期、既存店売上高の増収率が4割を超えた。コロナ禍からの経済回復に遅れを取っていたが、3月から気温が上昇し、Tシャツやポロシャツ、UVカット関連商材といった夏物アイテムが動いた。同社は「商品価値の訴求やブランディングを継続的に強化してきたことで、消費回復のタイミングで計画を上回る売上を達成できた」としている。グレーターチャイナでは中国大陸のほかに香港、台湾も同様に増収となった。
国内ユニクロ事業も3月以降、エアリズムインナーやTシャツなどの夏物商品が好調に立ち上がったほか、「感動ジャケット」といった羽織物、トレンドを捉えたタックワイドパンツやカーゴパンツが増収に寄与。6月後半は気温の低下で夏物商品の販売が伸び悩んだが、3ヶ月間の既存店売上高は5.5%増で着地した。
ジーユー事業はスーパーワイドカーゴパンツなどがヒットし、業績予想を上回る水準で増収増益を達成。数年で人材および商品開発体制を強化したことで完成度の高い商品を生み出せたとしている。
赤字体質に陥っているグローバルブランド事業も、大幅な増収増益となった「セオリー(Theory)」が牽引し、今四半期は大幅な増収を記録。営業収益は13億円の黒字に転換した。しかし「コントワー・デ・コトニエ(COMPTOIR DES COTONNERS)」は店舗数が多いフランスでストライキの影響を受け集客に苦戦し、減収となったほか赤字幅が拡大。グローバルブランド事業全体の通期営業利益では引き続き赤字予想としている。コントワー・デ・コトニエのほか「プリンセス タム・タム(PRINCESSE TAM TAM)」「プラステ(PLST)」はブランドを再定義し、事業構造改革を進め、早期の黒字化を急ぐ。出店戦略では、不採算店舗の閉店やユニクロ店舗内への出店を進めており、今期はプラステ事業のみ6店舗の純減を計画する。同社広報担当者は同3ブランドに関して「利益の出る店舗に集約し、既存店舗の水準を上げていく考え」と話している。
同社の今期の通期連結業績予想は、売上収益で前回予想から500億円高い2兆7300億円、営業利益で同100億円高い3700億円に引き上げる。7月13日に開かれた決算説明会に登壇した岡崎健 グループ上席執行役員CFOは、コロナ禍で苦しめられたグレーターチャイナについて「(今四半期の実績は)想定以上だが、期待通り戻ってきてくれた。この勢いを来年度も続けていきたい」とコメントとした。なお、今秋冬シーズンも一部商品で値上げの実施を検討している。
■ファーストリテイリング 2023年8月期第3四半期累計連結業績 ※()は前年同期比
売上収益:2兆1435億400万円(21.4%増)
営業利益:3305億7400万円(21.9%増)
親会社の所有者に帰属する四半期利益:2385億1900万円(0.3%増)
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