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自慰の起源は4000万年前、進化上のメリットが明らかに

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自慰の起源は4000万年前、進化上のメリットが明らかに

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VICE Japan
 マスターベーションが人類の進化に与えた影響とは? 最新の研究によって、人間を含む霊長類の自慰の起源は古代にまで遡ることが判明した。

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動物全般に広くみられる自慰行為の進化的起源を調べた研究によって、霊長類は環境適応を目的とするさまざまな理由により、少なくとも4000万年前から自慰をしてきたことが明らかになった。

科学者たちは霊長類の自慰行為に関する400以上の出版物と論文を分析し、時代や種を超えてマスターベーションの進化をたどった。自慰に関する研究の比較データとしては史上最多だ。その結果、自慰は病気の予防や繁殖成功度の向上など、オスに進化的利点を与えることが示唆された。メスとの関連性については、さらなる研究が必要だという。

人類史を大雑把に振り返っただけでも、人間はしばしば自慰行為を芸術や執筆に昇華しながら大いに楽しみ、数千年前から行なってきたことがよくわかる。自慰行為は猫、犬、猿、イルカ、馬、イノシシ、カワウソ、そして多様な霊長類など、他の動物のあいだでも広く確認されているが、その起源や環境適応のためのメリットは謎に包まれている。

今回の研究で、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの進化生物学者マチルダ・ブリンドルが率いるチームは、系統比較法を用いてあらゆる時代における霊長類の自慰の進化の過程をたどった。専門誌『Proceedings of the Royal Society B』に6月7日に掲載された論文によれば、その結果は「自慰には強い系統シグナルがあり、霊長目に関しては古代に起源があることを示して」おり、「自慰はマクロ進化における適応特性として機能してきたのかもしれない」という。

「オートセクシュアルな行為もしくは自慰は動物全般に広く確認されているが、特に霊長類に顕著なようだ」とブリンドルらの研究者チームは述べる。「この行為に関する系統的な比較研究はほとんど存在ぜず、その進化の歴史は不明だ」

「表面的には、マスターベーションは進化論とは相反する行為だ」とチームは続ける。「直接的に生存率を向上するわけでもなく、定義上は繁殖パートナーの排除につながると同時に、時間、注意、エネルギーの消費が発生する。その結果、マスターベーションは歴史的に、悪く言えば囚人など、常軌を逸した個人が行う病的な行為、よく言えば性的衝動によって余儀なくされる欲のはけ口とみなされてきた」

〈病理説〉と〈はけ口説〉として知られる、マスターベーションの動機に関する仮説は、オートセクシュアルな行為を明確な進化的目的とは無縁な、性的衝動から派生する行為としてみなしている。しかし、マスターベーションは特にオスにとって顕著なさまざまな健康的利点を与えることを示唆する論文も少なくない。

本研究は、広範囲に及ぶ研究データを使用し、時間を遡ってマスターベーションのルーツをたどった後に明らかになった2つの仮説について詳しく述べている。〈交尾後の淘汰説〉は、霊長類のオスはマスターベーションをより早く射精に至り、メスとの交尾に備えて、受精の可能性を高めるより新鮮で高品質な精子をつくる手段として用いているというもの。もうひとつが、自発的な射精によって尿道を洗浄し、病原体を排出することで性感染症の蔓延を防ぐという〈病原体回避説〉だ。

ブリンドルのチームの研究は、交尾後の淘汰説と病原体回避説の両方を裏付ける証拠を提示したが、その対象はオスのみで、メスには当てはまらない。また、この結果は、人間の霊長類の祖先が、サルと類人猿がメガネザルから分岐した4000万年以上前から自慰をしてきた可能性を示唆している。

「ここで提示されたデータは、霊長類のオートセクシュアリティを説明するうえでの病理説の欠陥を指摘している。我々のデータセットの中で、マスターベーションは野生のメスに関しては3分の1以上、野生のオスに関しては3分の2以上の文献で報告されていた」とチームは述べる。

「我々はマスターベーションが単なる病理的な行為でも、性的衝動の高まりの副産物でもないことを提示した」とチームは付け加える。「我々はこの平凡だが不明点の多い性的行為について、マクロ進化の観点から、交尾後の淘汰圧と病原体回避という初めての根拠を提供した」

この研究は、自然界での普遍性から幾分軽視されてきた行為である、動物の自慰行為の出現と目的に関する未来の研究の基礎を築いた。特にチームは、野生と捕獲動物ともに霊長類に関する明確な調査が不足しているため、依然として不明点の多いメスの自慰行為のメカニズムに関して、さらなる研究が必要であることを強調した。   

「霊長類のメスは、特定のオスによる受精の可能性を向上させるために、交尾前もしくは交尾後にマスターベーションを行う可能性がある」とブリンドルらのチームは推測する。「あるいは、マスターベーションは両性において、チンパンジーの性交前の〈ペニスの提示〉のような、性交前の提示や求愛行動の一種として機能しているのかもしれない」

「霊長類の社会の行動学的、社会経済的な複雑さを考慮すると、霊長類は自らが置かれた状況に応じて、自慰をフレキシブルな戦略として用いている可能性が高い」とチームは結論づけた。

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