「服装の改良こそ新しい日本の発展と文化の向上の出発点である」文化服装学院が100周年、小池百合子都知事も祝福
ファッションショーの様子
Image by: FASHIONSNAP
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「服装の改良こそ新しい日本の発展と文化の向上の出発点である」文化服装学院が100周年、小池百合子都知事も祝福
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文化服装学院が、2023年6月23日に創立100周年を迎えた。大正12年に誕生した同校の軌跡を祝うため、同日に記念イベントを開催。会場には、同校の出身者であるコシノジュンコやTSIホールディングス 下地毅社長のほか、小池百合子東京都知事が来場し、ファッションショーや作品展示などをもとに、同校の歴史を振り返った。
学校法人文化学園は、1923年に日本初の洋裁教育の各種学校として認可を受け、「文化裁縫女学校」としてスタート。1935年に日本初の法人認可の洋裁専門学校となった。戦時中の1944年には全校舎が軍需工場となり、文化服装学院の学生全員が徴用され、翌年の1945年には東京大空襲で文化服装学院の校舎、学生寮、備品など全てが焼失するなど、苦難も経験したが、1950年代には「クリスチャン・ディオール(Christian Dior)」や「ピエール・カルダン(PIERRE CARDIN)」のショーを校内で開催し国際交流を深め、1956年にファッションデザイナーの登竜門として「装苑賞」を創設。これまでにコシノジュンコをはじめ、髙田賢三や山本寛斎、山本耀司らが受賞した。以降も、新学科の開設など時代にあわせたカリキュラムの強化を行い、渡辺淳弥や高橋盾、NIGO、黒河内麻衣子など、現在のファッションシーンを牽引する多くのクリエイターを世に送り出してきた。
記念イベントのコンテンツとして、遠藤記念館ギャラリーでは「フミト ガンリュウ(FUMITO GANRYU)」の丸龍文人をはじめ、「ターク(TAAKK)」の森川拓野、「ルルムウ(rurumu:)」の東佳苗、「ヨウヘイオオノ(YOHEI OHNO)」の大野陽平、「シーエフシーエル(CFCL)」の高橋悠介など、文化学園を卒業したデザイナー9人による作品展「NEXT CREATORS COLLECTION」を開催。遠藤記念館大ホールでは、スタイリング監修にスタイリストの相澤樹、ヘアメイク監修にヘア&メイクアップアーティストの橘房図と卒業生が入り、同校の文化祭のファッションショー作品のアーカイヴショーを実施した。ショーは、サックスの生演奏が披露される中で、古くは1952年の作品が登場するなど、100年の歴史を感じさせる内容で構成された。
また、文化学園のB館のホールでは、記念式典を開催。文化学園の清木孝悦理事長の挨拶からはじまり、「『服装の改良こそ新しい日本の発展と文化の向上の出発点である』、これは創立者並木伊三郎、遠藤政次郎の両先生が創立にあたり語った言葉です。洋装が一般に普及していない当時の日本にあって、人々の衣生活を洋装化させることが、日本の近代化・国際化にとって必要であり、そのために洋裁教育機関の創設と洋裁教育の普及が社会の急務であるという信念のもと、文化学園は生まれました。しかしながら、学園創立当初、すぐにその理念が社会に浸透したわけではなく、少人数の学生を集めることすら苦心するところから始まりました」という文化学園の成り立ちに触れながら、「100年の間、それぞれの時代時代に教育研究活動を担ってこられた教職員の方々と、本学園で学び社会で活躍されてきた諸先輩方、そしてそれらを支え協力して下さった関係者の皆様のご心力の賜物に改めて、畏敬と感謝の念に絶えません」と感謝の意を伝えた。
文化服装学院マーチャンダイジング科出身のTSIホールディングス 下地毅社長は来賓として参加。文化服装学院に入学した経緯について同氏は「今から41年前に私は本校に入学し、3年間学ばせていただきました。入学のきっかけは雑誌『アンアン(anan)』でした。高校からの帰り道、 本屋の店頭で見かけたananの表紙が、当時パリで活躍していた髙田賢三さんで、引き込まれるようにその雑誌を買い、家でむさぼるように何度も読み、賢三さんのパリでの暮らし、仕事ぶりに憧れ、入学を決意した次第であります」と説明。また、在学中のエピソードにも触れ、「在学中に連れて行っていただき、初めて見たファッションショーが『ジバンシィ(GIVENCHY)』でした。ユベール・ド・ジバンシィもまだご存命で、 エンディングにオードリー・ヘプバーンと一緒に登場した時にはもう本当に大感激で、こんな美しい世界への入り口に自分は立ったんだな、これから入っていくんだなということで胸が高まりました」と当時を振り返った。
同じく来賓として参加した小池都知事は「100周年、誠におめでとうございます。都庁から駆けつけてまいりました。本人でございます」と会場の笑いを誘いながら、日本のファッションを世界に発信していく役割を担うのは東京で、文化学園はそのためになくてはならないものだと強調。「日本は何よりも糸偏の国です。デザインというクリエイティビティが重なってこそ、東京のファッションはこれからも生き続けます。次世代を育てるという意味で、文化学園がこれまでの100年に果たしてこられた様々なご貢献、 さらに次の100年を目指して新たな出発になることを心から期待をしているところでございます」と祝辞を述べた。
コシノジュンコと装苑の児島幹規編集長による特別講演では、コシノジュンコの文化服装学院での思い出と、今も変わらぬ挑み続けることの大切さについて対談。当時を振り返り、コシノジュンコは「本当に恵まれていた」と話す。女学院だった同校が入学の1年前に共学となり、同期に髙田賢三や金子功らがいたこと、パリ留学後に日本で「立体裁断」を広めた第一人者である文化服装学院10代目学院長の小池千枝が担任だったことを挙げ、多くの影響を受けてきたことがパリ進出などに繋がったと説明した。
最後に、清木理事長から文化学園の次の100年に向けたミッションとヴィジョンが打ち出された。人口減少を背景にした施策として、「学生一人ひとりの学びの希望に応える教育」をミッションとして掲げ、学生それぞれが何を学びたいのか、将来どうなりたいのかを自ら考え、その将来像を叶えるためにきめ細かに対応していく教育を目指すという。また、ヴィジョンとして、これまで教育方針の核だった創造力ある人材の育成を実践する「クリエイション」、 ファッション教育研究分野の技術革新の中核的役割を果たす「イノベーション」、国際レベルの教育研究環境を整備する「グローバリゼーション」の3項目にプラスして、地球環境保全の視点に立った教育研究の推進とそれを通じた社会貢献を目指す「サステナビリティ」と、多様な人々の視点に立った教育研究の推進と新たな可能性を探求する「ダイバーシティ」を新たに設定。また、今後さらに需要が高まると予測される3Dデザインやメタバース、AIなどのデジタルテクノロジーに関しても積極的に取り入れることで、新たなクリエイションの担い手を育成していくと未来について語り、締め括った。
ファッションショーの様子
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小池百合子都知事
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文化学園の清木孝悦理事長
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コシノジュンコ
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TSIホールディングス 下地毅社長
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松竹株式会社 代表取締役副社長 武中雅人
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文部科学省 総合教育政策局長 藤江陽子
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