2013年設立の株式会社キャリーオンでは、子ども服のシェアリングサービス「キャリーオン」を展開している。
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サイクルが早い子ども服を中古で安価に購入でき、また、サイズが合わなくなり着られなくなった子ども服を買い取ってもらえるサービスを提供している。
2023年現在、フリマアプリやオークションなど、さまざまなものをオンライン上で個人で売買できる環境が整っている。しかし、「キャリーオン」がサービスを開始した2014年はこのようなサービスは多くはなかったはずだ。
なぜ子ども服のシェアリングサービスを立ち上げたのだろうか。
キャリーオン立ち上げのきっかけやコンセプト、同社の強みや買い取りから販売までの流れ、今後の展望を創業者の吉澤さんにお伺いした。
PROFILE|プロフィール
吉澤 健仁
キャリーオン創業者
1981年、大阪生まれ。同志社大学・法学部卒業。新卒で資生堂に入社し、化粧品の販売業務に従事。その後、WEBサイトの企画・制作・プロモーションを行うエスト株式会社を創業し、代表取締役に就任。WEBサービスの立ち上げ支援、ECビジネスのコンサルティングなどに従事。2013年5月、株式会社キャリーオンを設立し、子供服のシェアリングプラットフォームを創業。子育てママに人気のサービスに成長し、約10万人の会員と買取点数100万点を越える規模に拡大。子供服の二次流通では国内最大級のサービスとなる。2021年8月、M&Aで同社を売却。環境省「グッドライフアワード」の実行委員会特別賞、「ソーシャルプロダクツ・アワード」の環境大臣特別賞などを受賞。
「キャリーオン」は「ママからママへの愛情リレー」
ーまずは「キャリーオン」立ち上げのきっかけやコンセプトについて教えてください。
子どもの成長は早く、せっかく新しい子ども服を購入してもワンシーズンで着られなくなってしまうことが多いです。昔は親戚や近所の人たちとの間でお下がりや交換も活発に行われていましたが、現代ではそのような慣習もなくなってきています。昔のような『お下がり』を全国的にオンラインでやりたい、と思ったのが立ち上げのきっかけでした。
『キャリーオン』では着られなくなった子ども服を『誰かに大切に着てほしい』というママの気持ちをつなげるコミュニティです。『ママからママへの愛情リレー』というコンセプトでサービスを運営しています
ーフリマアプリやオークションなどのサービスも増えているなかで「キャリーオン」はどのような強みがあるのでしょうか?
フリマアプリやオークションでは、子ども服を売るために(1)撮影、(2)値段を決める、(3)発送するという手間がかかります。
小さい子どもを育てる親からは『フリマやオークションに出す時間はない』『リサイクルショップに出してもお金にならない』という声がありました。『キャリーオン』では手間や時間がかかるという理由でフリマアプリを利用せずに子ども服をクローゼットに溜めている方をターゲットにしております。『子ども服を詰めて送るだけ』という手軽さがウリです。
手間と時間がかからないことに加えて、『キャリーオン』ではすべての子ども服を弊社にて検品し、弊社から発送しております。弊社を経由することで個人間の取り引きではなくなるため購入者はフリマサイトなどと比べて、安心して購入でき、即日でお手元に商品が届きます。
私たちはこれまで100万点以上の子ども服を検品・撮影してきました。現在では1日に数千点の子ども服を検品・撮影しています。自動査定のシステムを構築しているため、スタッフが一定の基準で子ども服を査定できます。
また、大量の子ども服を自動的に撮影する仕組み・撮影スタジオの設置・大量の在庫管理など、サービスを支える独自の仕組みやシステムがあります。他社では真似できないオペレーション体制となっております。
会員数は10万人を突破。「予想以上に綺麗な子ども服が届く」などの反響が
ー買い取りから販売までの具体的な流れはどのようになっていますか?
買い取りの流れは3ステップで、まずはキャリーオンのサイトにある『買取申込み』をクリックして、ログインします。初めての方は『新規会員登録』でご自身の情報を入力し、アカウントを作成していただきます。発送キットをお申し込みいただくと、ご自宅に無料で袋や伝票をお届けします。
第2のステップとして、着られなくなった子ども服を郵送していただきます。届いた子ども服は弊社で査定します。
最後のステップとして査定金額の受け取り方法を選択します。ポイントやギフト券・図書カードなどのなかから、ご希望の方法で受け取ることが可能です。
お子様が着られなくなった子ども服を弊社が買い取り、付与されたポイントを利用してサイトで子ども服を購入するという流れでシェアコミュニティを実現しました。
ー現在どのくらいの方が利用されており、利用されている方からはどんな声が届いていますか?
2023年4月に会員数は10万人を突破しました。これまでの買取点数は120万点です。会員は、0~5歳の子どもがいるお母さんが多くを占めています。これまでいただいたご感想としては、『思ったより(期待以上に)綺麗な子ども服が届く』『状態の良いブランド品がとにかく安い』などです。
弊社ではかなり丁寧な検品をしており、洋服のコンディションもサイトには厳しめに掲載しております。また、新品では手が出ない価格のブランド品が綺麗な状態でお手頃な価格で手に入ることから高評価をいただいています。
『毎日1,000点以上の商品が発売されて楽しい』というご感想もいただいております。サイトでは毎日21時に新しい商品が発売されますので、お客様が気に入った子ども服を毎日宝探しのように検索することが可能です。
ーInstagramは2023年6月時点で4.7万人と多くのフォロワーがいらっしゃいますが、見せ方などで工夫されている点はありますか?
私たちは『子どもが古着でおしゃれする』ことを啓蒙する立場にいると思っています。フリマアプリの浸透で価値観が変わってきているとはいえ、まだまだ『子どもに古着を着せるなんて』と抵抗感を持つ人も多いでしょう。そういった抵抗感を払拭するためにInstagramに力を入れています。
Instagramではキャリーオンで購入した服のコーディネートがたくさん投稿されています。コーディネートを参考にお客様が子ども服ファッションを楽しむことができるようになり、ますます子ども服のシェアリングを楽しく感じてもらいたいです。
子ども服の「売る・買う」を繰り返すクローゼットのような存在に
ーキャリーオンの今後についてお聞かせください。
私たちは育児のインフラになることを目指しています。子どもが生まれてから大きくなるまで、キャリーオンで子ども服の『売る・買う』を繰り返す、クローゼットのような存在をイメージしています。
『子育てするパパやママはみんな使っている』といわれるサービスを目標にしております。また、既存の『買って着て捨てる』という消費者マインドを『売れるものを買い、売れるように着る』と変化させられるのではと思っております。
マインドが変化することで、服を売れるように丁寧に大事に着て、奇麗なまま保管するという行動につながります。子ども服だけではなく、ベビーカーやチャイルドシート・おもちゃや絵本など育児のなかで不要になるものはたくさんあります。
育児のインフラというビジョンを実現する過程で、上記のアイテムの売買もできるようになるためには、横展開も必要になると思います。まずは『子ども服』という現在弊社が中心としているアイテムで圧倒的な存在になることを目標にし、育児で必要不可欠なサービスとなりたいですね。
『キャリーオン』は『誰かに大切に着てほしい』というママの気持ちをつなげてくれるコミュニティであり、この気持ちの循環がママや子どもたちの楽しさをどんどん増やしています。ぜひ皆さんもこのリレーに参加し、キャリーオンのコミュニティを一緒に作っていきませんか?
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