現在、ECサイトが活発になっているアパレルの販売形態ですが、商品を手に取って確かめることができる実店舗は、やはり人気が高く、休日ともなれば、多くの人が人気ショップへと足を運んでいます。実店舗の運営スタイルもまた多様性に富んでおり、業態ごとに働き方や運営の方法も異なります。今回は、アパレルの実店舗におけるショップの違いについて紹介します。
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フラッグシップショップ
フラッグシップショップは、メーカーが展開するブランドの中で中心的な役割を担う店舗を指します。通常の店舗とは異なり、アパレル以外の要素も充実させているのが特徴。カフェ・レストランやアートの展示スペースを設けた店舗もあり、ブランドの世界観やコンセプトを広く訴求します。東京では銀座や青山、大阪では梅田や心斎橋など、大都市の一等地にあることが多く、有名建築家が設計を手掛けた建物が周辺のランドマーク的存在になることもあります。
セレクトショップ
セレクトショップは、店舗が定めたコンセプトに沿って、さまざまなブランドの商品を仕入れて販売するショップです。日本ではUNITED ARROWS、BEAMSの他、JOURNAL STANDARDを展開しているBAYCREW’Sなどが有名です。トレンドアイテムを手頃な価格で購入でき、コーディネートも総合的にプロデュースすることから、ビギナーから上級者まで、幅広い層にファッションの楽しさをアピールします。近年ではセレクトショップのオリジナル商品も多数販売されるようになってきています。
ショップ・イン・ショップ
ショップ・イン・ショップとは、文字通り「店の中にある店」という意味で、デパートや商業施設に入居している店舗になります。集客力のある施設にあることで幅広い顧客を獲得でき、売り上げを立てやすいのがメリットです。一方で売り場のデザインや営業時間、定休日などを施設のルールに合わせなければいけないため、自由度が低いという側面も。大型の売り場の中、メーカーが独自性を打ち出すために作るコーナーもショップ・イン・ショップと呼ばれます。
アウトレットストア
メーカーがシーズンオフの過剰在庫やキズ物商品を処分するために設営する直営店舗をアウトレットストアと言います。日本では1990年代から出店数が増え、高級ブランド商品を安価で購入できることから人気を博しています。郊外では100軒以上ものアウトレット店が入居するモールもあり、ドライブコースの一つとして利用する人も多く見られます。小売店がメーカーと取り引きして在庫品を販売する形態を「リテール・アウトレット」と呼びます。
オンリーショップ
オンリーショップは、一つのメーカー、一つのブランドなど、コンセプトに沿って商品を限定し、販売する店舗で、和製英語として用いられています。アパレル業界では、デザイナーズブランドのショップと同義語で使われることもあります。一つのブランドを深く掘り下げるため商品ラインナップが豊富で、コアな固定客を主なターゲットとしています。ブランドイメージを色濃く打ち出すので直営店のように思われますが、別会社が代理で運営する場合もあります。
路面店
路面店は、大きな通りなどに建つ店舗で、主に経営力のある大手ブランドやセレクトショップが利用しています。集客は立地条件に左右されますが、都心の一等地に構える店舗なら家賃が高額な分、人目に触れやすいので宣伝効果も抜群。商業施設のルールなど制約を受けないため、売り場のレイアウトや営業時間、取り扱う商品をオーナーが自由に設定できます。売り場面積が広く、集客力の高い店舗はキーテナントやアンカーストアとも呼ばれます。
ポップアップショップ(ストア)
ポップアップショップ(ストア)は、商業施設などの一角を借りて期間限定で開店する店舗です。メーカーが新たに展開する商品やブランドのプロモーション、認知度の拡大を狙って出店するケースが多く見られます。顧客とコミュニケーションを取りやすいことから、マーケティングの手法の一つとしても確立されています。短期間の出店で話題を作りやすく、SNSを利用したアピールと相性が良いことが特徴です。コスト面の負担が大きいため、利益目的ではなく、PRのための利用が一般的です。
スペシャリティストア
「専門店」を意味するスペシャリティストアですが、アパレル業界では、さらにその意味を絞り込み、「顧客に対して、より明確にブランドのコンセプトをアピールする店舗」というニュアンスで捉えられています。日本では、バーニーズニューヨークの進出により、広く知られるようになったスタイルです。内装やディスプレイなど、店舗に一歩足を踏み入れただけで、ブランドの世界観を即座に体感でき、クオリティの高いサービスを充実させているのが特徴です。
テナント店
商業施設に入居する店舗をテナントと呼ぶこともありますが、本項では、オフィスビルなどに入居している店舗として解説します。テナントは、自身がオーナーとなって物件を借りるため、営業時間や定休日の制約がないなど、自由度が高いのが魅力。開業して間もない小規模なブランドでも店を構えることができます。しかし、立地条件に問題があったり、外からの視認性が低いと店の存在に気づかれにくいのが難点。知名度を上げるには、SNSなどを使って積極的なプロモーションを展開する必要があります。
TEXT:伊東孝晃
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