韓国のジェンダーレスコスメを取り扱うサービスとしては日本最大級のショッピングアプリ『gencos』。日本初上陸や独占販売の商品が購入できるEC機能だけでなく、男性のスキンケアやメイクの情報を発信し、メンズ美容の新しいプラットフォームを目指す。同サービスを手がける株式会社オメガクリエーション マーケティング事業部の根本宏育さんとWeb事業部の稲葉宥木さんに、サービス開発におけるこだわりやマーケティングについてうかがった。
ADVERTISING
Z世代とエイジングケア層、2つのターゲットを狙う
某化粧品メーカーのスキンケア商材のCMに大谷翔平選手が起用され話題となったが、化粧品のトレンドでは「ジェンダーレスコスメ」のキーワードが注目され、パートナーと同じ化粧品を共有する「シェアコスメ」をする人も増えている。男性の化粧品への意識が高まるなか、1年ほど前に『gencos』は企画された。「男性からのニーズが高まっているにも関わらず、気軽にコスメを買える場所がないんです。デパートの美容部員の方にはなんとなく話しかけづらいし、東京の新大久保などにある韓コス(韓国コスメ)ショップは混雑していて、店内のお客様もほぼ女性の方しかいないこともあり、ゆっくり選ぶことができない。そうなると、男性が化粧品を買う場所ってドラッグストアかコンビニしかないのですが、ラインナップがイマイチだったり、自分の肌にあうのかなどがわからなかったり……。そこで、美に興味があるメンズがお手軽にコスメをGETできるECを作ろうと思い立ちました」(根本さん)『gencos』のターゲットは世代の異なる2つの層だ。1つは小さな頃からスキンケアに触れているZ世代。もう1つはエイジングケアをしている美容感度の高い30代、40代だ。「Z世代は、小さな頃から親にボディクリームを塗ってもらうなどスキンケアにも馴染んでおり、それが大人になっても当たり前のように身に付いています。最近では野球部でも日焼け止めを普通に使う子もいるそうなんです。彼らが目指す理想像も、少し前は色黒でちょっとイカつい感じのビジュアルでしたが、今では色白で時にメイクもするような韓国スター系に変わってきています。そんなZ世代にとってスキンケアは必須ですし、メイクに興味がある割合も他の世代に比べて格段に高いです」(根本さん)
「また、30代、40代以上の中でもエグゼクティブ層や経営者層もターゲットにしています。その層の方々はビジネスシーンにおける身だしなみや第一印象を大切にされているので、エイジングケアもきちんとされていますし、大切な商談や初対面の際にはメイクする方も増えているそうです」(稲葉さん)
独占販売や日本初上陸の商品も多く取り揃えることができる理由は?
『gencos』の母体であるオメガクリエーションは、女性向けの化粧品の開発や輸入を行いテレビショッピングやECでの販売を展開している会社だ。そんな同社のECで韓国コスメの取り扱いを始めたところ需要がかなり高いことから、ジェンダーレスコスメ市場においても需要が高まることを見込み、『gencos』を韓国コスメに特化することにした。ローンチと同時に日本最大級になることができた理由は、母体のECの持つ独自のコネクションにあるという。「『gencos』では韓国のジェンダーレスコスメを扱っており、現在100種類ほどの商品があります。独占販売や日本初上陸の商品も多いのが特徴で、ジェンダーレスコスメが手に入るものとしては日本最大級のECサイトになっています。それが実現できた理由は、当社がECで培ってきたパイプにあります。現地のブランドには日本マーケットの開拓を提案しつつ、当社はそれを独占販売させてもらうという良い関係が築けています」(根本さん)美容先進国として多種多様な化粧品がリリースされている韓国コスメ市場において、何をピックアップしてヒットにつなげるか。そこにはマーケティングを日本向けにローカライズさせる工夫も必要だという。
「トレンドに詳しいエージェントを韓国に送って、リアルタイムで情報を得ています。また、テレビショッピングでのマーケティングデータを活用できるので、ヒット商品の傾向を掴めているのも強みだと思っています。その一方で、韓国でヒットしなかった商品が日本で激売れした事例もあります。ヒット商品でなくとも日本で試しに販売してみて、『これはいいぞ!』と手応えを感じたら、韓国での商品の伝え方を日本向けに見直すなどしてヒットにつなげていきます。社内にいる目利きの経験と、日本にローカライズしたマーケティングの2軸が当社の強みです」(根本さん)
ジェンダーレス韓国コス=『gencos』を目指す
『gencos』のアプリではEC機能を備えながら、メンズ美容の情報も発信している。肌タイプ診断やケア方法、メイク術などユーザーに寄り添う内容だ。「今やスキンケアの情報はSNSでも手に入れやすくなりましたが、情報量が多すぎるのが現状です。『gencos』では正しいスキンケアやメイクのハウトゥーの情報を提供しつつ、そのまま購入できるような、立体的なサービスを目指しています。アプリでは会員登録時の性別や年齢の情報に基づき、ユーザーの世代に最適な記事や商品が表示されるようなシステムを導入しており、今後もユーザー一人ひとりの肌のお悩みを解決できるようなコンテンツや、悩みを解決できる商品を充実させていきたいと思っています」(根本さん)
「アプリを設計する上では、メインがメンズ向けなので、面倒な導線にならないように、ダウンロードから購入に至るまでをできるだけシンプルにするよう心がけました。一方で商品の情報は充実させたかったので、商品のページの解説も現地と同等レベルの情報量を翻訳して掲載しています」(稲葉さん)
メンズコスメECの黎明期より参入し、情報量の豊富なアプリを展開することで目指すのは、「ジェンダーレス韓国コスメ=『gencos』だよね」という存在感を作ることなのだという。
「都内では、メイクをしてくれる男性用サロンなどの人気が上がってきており、また多くのデパートやコンビニにはメンズコスメコーナーができています。大谷選手起用のCMもしかり、確実に男性向けやジェンダーレスの美容マーケットが形成されつつあります。そして今や、女性ターゲットの輸入コスメは韓国コスメが2022年にフランスのコスメを抜き首位となり、高いシェアを誇っています。ですから、ジェンダーレスにおける韓コスのマーケットには必ずや将来性がありますし、そのマーケットが完成されるまでは地道に韓コスにフィーチャーし続け、ユーザーを増やし、『ジェンダーレスの韓コスを買うなら「gencos」だよね』と誰もが思うような存在になることを目指したいですね」(根本さん)
韓国はもちろん、中国でも男性化粧品市場が成長している。日本でも男性向け化粧品の市場規模は2022年に425億円となり、5年前に比べて約1.3倍に拡大(インテージ調べ)。今年もその成長が予測される。
そんななか、市場で存在感を強めている韓国のジェンダーレスコスメにおける国内最大級の取扱量を武器とする『gencos』は、さらなる拡大が期待される。
根本 宏育(ねもと ひろやす)
株式会社オメガクリエーション マーケティング事業部
大手通信会社でセールスを学び、携帯キャリアへ出向。その後、ソリューションコンサルタント会社でマーケティングの経験を積み、2019年に入社。同社ではマーケティング、セールスを担当。テレビショッピングでの見地を活かし『gencos』の立ち上げに携わる。同アプリの設計やマーケティングを行う。
稲葉 宥木(いなば ひろき)
株式会社オメガクリエーションWeb事業部
老舗和菓子メーカーで販売・生産管理を経験。その後、Web制作会社でセールス、Webデザインを学び、2022年に入社。同社ではWebデザインの知識を生かし、ECサイトの新規立ち上げや『gencos』の立ち上げに携わる。同アプリの開発やマーケティングを行う。
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【Fashion Tech News】の過去記事
RANKING TOP 10
アクセスランキング
銀行やメディアとのもたれ合いが元凶? 鹿児島「山形屋」再生計画が苦境