藤本壮介による仮殿
Image by: 太宰府天満宮
124年ぶりに重要文化財「御本殿」の大改修を行う太宰府天満宮の「仮殿」が、完成した。御本殿の改修は5月5日から約3年間をかけて行われる予定で、3年間限定の仮殿のデザイン・設計は建築家の藤本壮介が、仮殿のために仕立てられた御帳と几帳は「マメ クロゴウチ(Mame Kurogouchi)」が担当した。
太宰府天満宮では、学問・文化芸術・至誠の神として広く仰がれている菅原道真公に縁の深い「25」にちなんで、25年ごとに式年大祭を執り行ってきた。2027年に菅原道真公が薨去してから1125年を迎えることから、節目となる2027年の式年大祭を前に「御本殿」の大改修を行う。
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仮殿建設は、「文化芸術の神様である天神さまの御神徳を、未来へ継承していきたい」という思いから日本を代表するクリエイターとして藤本が担当。太宰府天満宮周辺に広がる「豊かな自然が御本殿前に飛翔し、仮殿としての佇いを作り上げること」をコンセプトに、屋根に青々とした森が現れているような仮殿に仕上げた。屋根の上の植物には、天満宮の花守たちによって境内地で育てられた梅も含まれており、周辺の環境や季節、天候によって様々な移ろいを見せるという。藤本は設計について「1100年以上の歴史に現代建築が応えられるのかという大きな問いを前にして、自分の持つ全てを振り絞って設計にあたりました」と話し、「3年という限られた期間ではありますが、道真公のための森のような屋根を通じて飛梅伝説や歴史と繋がったり、美しく豊かな自然を感じたり、ここに訪れる多くの人々の記憶に強く残るような、風景になればと思っています」とコメントした。
御帳
マメ クロゴウチが手掛けた御帳と几帳は、天神さまと太宰府天満宮が紡いできた歴史からインスピレーションを得て、現代の織機を用いながら、古代染色などの古来の手法と融合させた生地で製作。天満宮を象徴する梅の木が全面にあしらわれた御帳は、色と柄が左右に向かってグラデーションを成す構図で、天満宮全体による生命の広がりを表現した。几帳に使用したシルクは、境内で採集された梅と樟の枝や、貴重な紫根を用いた古代染色が施されており、流れる様な糸の飛ばしが特徴的な織りはデザイナーの黒河内真衣子が体感した境内に降り注ぐ生命の雨をイメージしたという。黒河内は「太宰府天満宮にいらっしゃった際は、お参りをするだけでなく、ぜひこの土地を散策してみてください。この場所が持つ生命の強さ、土地の豊かさを感じられることと思います」とし、「私たちがお納めした御帳と几帳も、これからこの地に訪れる初夏の息吹を感じさせるものになっています」と話した。
■太宰府天満宮:公式サイト
藤本壮介による仮殿
Image by: 太宰府天満宮
(c) David Vintiner
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