2022年の深刻なコロナダメージ
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2022年4、5月。
新型コロナウィルスの拡大を抑えるための中国政府の強硬政策により、上海はロックダウンし、街からヒトが消えた。
上海在住の筆者も他人事ではなく、約2ヶ月間、毎日繰り返されるPCR検査の時以外は家から一歩も出ることなく生活した。
ようやくロックダウン政策が終わり2022年6月に外に出られるようになった後も厳格な管理体制は続き、すぐに街に活況が戻ることにはならなかった。
2022年2月から12月にかけての経済ダメージは大きく、街を見ても、少なくない数の路面店や商業施設内のテナントが姿を消した。
筆者がショールームを構える上海静安寺エリアのSOHO型商業施設“現所”も、2022年の夏に約半分のテナントが出ていってしまった。
歯抜け状態になってしまった建物は少し物悲しさも感じたほどだ。
ただ、この3ヶ月は様子が変わってきている。
約1年にわたる深刻なダメージからの反動を街に強く感じる。
コロナダメージからの回復を図る2023年
ロックダウン後も厳格な管理体制が続いた上海だが、2022年12月にようやく大きな政策転換(いわゆるウィズコロナへの転換)を果たした。
管理体制を緩くしたことによって感染爆発は迎えたものの、2023年1月からようやく上海の街に日常が帰ってきた。
地下鉄などの公共の交通機関を使うときでもマスクは必要なく、イベントや音楽フェスなども続々と再開している。
街にも活気が徐々に戻り、飲食店や小売店の景気も回復しつつある。
筆者のショールームの直販売上も、2023年3月までの直近2年間の中でのトップ月が2023年3月で、二番目に売上が高いのが2023年2月と、直近2ヶ月の数字が目立つ。
3月下旬に開催された上海ファッションウィーク2023秋冬も中国全土から来場者が集まり、半年前の2022年9月に開催された上海ファッションウィーク2023春夏とは比べ物にならない活況ぶりとなった。
ファッション業界に限っていうと、ショップによっては2022年に貯めに貯めてきた在庫が残っていてまだまだその消化に努めなければいけないショップもある。
そういったショップはアウトレットモールや中国版Tiktok(抖音)のライブコマースなどを活用しながら商品を現金に戻していく作業は続く。
その一方で、新しいショップもまた増えてきているし、無事在庫消化が進んでいるショップはまたエネルギッシュに買い付けを進めている。
ショップやブランドによってコロナのダメージは様々なので、2023年の上海、そして中国のファッション業界・リテール業界の展望をひと言でいうことは難しい。
ただ一つ言えることは、確実に景気は回復しており、たくましく成長や拡大を続けるショップ・ブランドは数多く存在するということだ。
コロナがきっかけで中国でも経営能力の重要性がグッと増したことは間違いない。
勢いだけでなく、数字や長期的なマーケティングに力を入れてきたショップ・ブランドとのコミュニケーションが、今後ますます重要になってくる。
兒玉キミト
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