帝人フロンティアが、ポリエステルのケミカルリサイクルにおいて異素材除去技術を新たに開発した。従来では困難だったポリウレタン弾性繊維を含むポリエステル衣料品からも、石油由来原料と同等品質のリサイクルポリエステルの生産が行えるようになるという。
近年の衣料品市場では、速乾性・防シワ性といった取り扱いやすさや、着用時の快適性を求める需要の高まりに伴い、ポリエステル繊維とポリウレタン弾性繊維を組み合わせたストレッチ性を有する衣料品が増加している。一方で、従来のポリエステルのケミカルリサイクル技術では100%ポリエステル製品を前提としているため、ポリウレタン弾性繊維が含まれる場合は再生品の品質悪化を招くとして、リサイクルが困難とされていた。
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帝人フロンティアが発表した新技術では、ケミカルリサイクルの前処理工程に新たな処理剤を用いてポリウレタン弾性繊維を膨潤させ、化学結合を切断した後に溶解することで、ポリエステル繊維へ影響を与えずにポリウレタン弾性繊維を除去し、ポリエステルのみを分離することが可能。また、新たな処理剤は染料を含む異物も除去して脱色工程を兼ねることができることから、効率的なリサイクル工程を構築することもできるという。処理剤は使用後に回収して再利用することも可能となっている。今回の異素材除去技術を用いて生成されたリサイクル原料は、既存のポリエステルのケミカルリサイクル工程に投入ができる。
同社は昨年10月から同異素材除去技術の実証試験に取り組んでおり、資源循環と省エネルギーを両立するリサイクル技術の確立に向けて改良を重ねていくという。また、今回の開発を足がかりとしてリサイクルの対象をさらに拡大し、資源循環型社会の実現に貢献していく考えだ。
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