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アダストリアが、2023年2月期(2022年3月〜2023年2月)で過去最高の連結売上高を更新した。「グローバルワーク(GLOBAL WORK)」などの主要ブランドが好調に推移し、売上⾼は2425億5200万円(前期比20.3%増)を計上。2024年2月期は正社員を対象に6%程度の賃上げを行うことも発表された。
同社では、新型コロナウイルスまん延防止等重点措置の終了に伴う客足の回復により「グローバルワーク(GLOBAL WORK)」「ニコアンド(niko and ...)」「ローリーズファーム(LOWRYS FARM)」など売上高上位8ブランドがいずれも前年を上回るなど好調。特に主力事業のグローバルワークが、売上高で前年比20%増となる455億9700万円を計上し、売上を牽引した。木村治代表取締役社長は、「グローバルワークは順調に売上を伸ばしたが、まだ成長の余地があると見ている。新業態『グローバルワーク・スマイルシードストア(GLOBAL WORK Smile Seed Store)』では、これまで出店してこなかった地域への出店を見込んでおり、新規顧客を開拓できることを期待している」と話した。
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また、売上規模自体は大きくないものの、ライフスタイルブランド「ラコレ(LAKOLE)」も前年比63%増を記録。木村代表取締役社長は「これまで積極出店を進めてきたが、ようやく実績がついてきた実感がある。2023年2月期ではグロサリーまで展開することができたので、今期は更にカテゴリーの充実と出店強化を進めていきたい」と語った。
一方で、今年1月に発生した第三者によるサーバーへの不正アクセスにより、物流システムおよび公式オンラインストア「ドットエスティ(.st)」を1月18〜26日まで停止したことで、約20億円の売上損失があったという。オンラインストア再開後にはクーポン配布などの施策を講じたため、約14億円の逸失利益を計上。売上総利益率は54.7%(前年同期比0.4ポイント減)と前年を割り込んだ。現在、社内業務システムは全て復旧しており、今後は「更なるセキュリティ強化と再発防止に向けて尽力し、信頼回復に努める」(アダストリア担当者)としている。
◆正社員約4000人を対象に賃上げ 商品価格の値上げも
2024年2月期では、正社員約4000人を対象に賃上げを実施する。既に新卒の初任給を24万円から25万円にアップさせており、既存社員の給与も平均6%程度の増額になるという。木村代表取締役社長は、「優秀な人材確保という目的ももちろんあるが、インフレによる生活費の圧迫に対するケアという意味合いが一番大きい」と意図を説明した。
また、原材料の高騰などの背景から、前期に続いて今期も全ブランドを対象に平均5%程度値上げする方針。担当者は「2023年2月期にも値上げは実施したが、客単価は前年を上回って推移している。今後も価格だけでなく商品のクオリティも上げることに注力していけば顧客には理解を得られると感じている」と自信を示した。
今期の通期予想では売上高で前期比7.2%増の2600億円、営業利益で同21.6%増の140億円を見込む。同社は「グローバルワーク・スマイルシードストア」のほか、日本再上陸し春夏から展開をスタートした「フォーエバー 21(FOREVER 21)」といった新ブランドの展開および出店強化、商品単価の見直しによって引き続き増収増益を目指すとしている。
■2023年2月期連結業績
売上高:2425億5200万円(前期比20.3%増)
営業利益:115億1500万円(同75.4%増)
親会社株主に帰属する当期純利益:75億4000万円(同53.3%増)
■2024年2月期連結業績予想
売上高:2600億円(前期比7.2%増)
営業利益:140億円(同21.6%増)
親会社株主に帰属する当期純利益:94億円(同24.7%増)
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