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ウォルマートが次々に店舗を閉鎖、背景にはインフレによる万引きの多発か

ウォルマートが次々に店舗を閉鎖、背景にはインフレによる万引きの多発か

在米28年のアメリカン流通コンサルタント
激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

■当ブログでは先月10日、ウォルマートが5店舗閉鎖するとのタイトルにしていたが、実際には合計で7店舗の閉鎖だった。

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ダークストアでピックアップオンリーストアを含むシカゴ郊外3ヶ所にウィスコンシン州ミルウォーキーにあるスーパーセンター、フロリダ州ピネラス・パーク地区にあるネイバーフッドマーケット、ニューメキシコ州アルバカーキ地区にあるスーパーセンター、そして本社近くにあるダークストアだ。

その後もウォルマートは五月雨式にワシントンDCにあるスーパーセンター(99 H St NW, Washington, DC 20001)の閉鎖を明かし、先月末にはオレゴン州ポートランド市内にあるスーパーセンター2ヶ所のスクラップを公表した。

今までのところ10ヶ所の閉鎖になるのだが、特にポートランドでは市内からウォルマートがなくなり580人の雇用が失われることで、地元メディアが大きく報じているのだ。

3月24日に撤退するのは「イーストポート・プラザ(Eastport Plaza)」内にアンカーとして出店しているスーパーセンター(4200 82nd Ave. SE, Portland)とデルタパーク地区のスーパーセンター(1123 N Hayden Meadows Dr., Portland)だ。

閉鎖理由は明かしていないものの昨年、アパレルショップやギフトストア、ナイキが多発する万引きを理由にポートランド市内から撤退しているためウォルマートも高いロス率により閉鎖となるのだ。

実際、ウォルマートCEOのダグ・マクミラン氏は昨年12月、CNBCのインタビューで記録的なインフレにより万引きの問題が多発し、一部の店舗を閉鎖することを示唆していた。

ウォルマートは今年度中、アメリカ国内で少なくとも10ヶ所の店舗を閉鎖することになる。

新規出店のプレスリリースや報道もないことから、チェーンストア最大手が5年連続して店舗数を削減することは間違いなさそうだ。

 一方でスーパーセンター内で増やしている部門がある。プライマリー・ケア・クリニックで診療所の「ウォルマート・ヘルス(Walmart Health)」だ。

スーパーセンターに隣接する形で展開しているウォルマート・ヘルスは2019年9月、ジョージア州ダラス地区に1号店をオープンした。

昨年末までにジョージア州やイリノイ州、アーカンソー州、テキサス州、そしてフロリダ州の5つの州に拡大。

今年度中にはダラスに新たに10ヶ所、ヒューストン地区に8ヶ所、アリゾナ州フェニックスに6ヶ所、ミズーリ州カンサスシティに4ヶ所で合計で28ヶ所を新設するのだ。

これによりウォルマート・ヘルス部門が75ヶ所のスーパーセンターに拡大する。

 ウォルマートヘルスでは地元医療機関の医師や歯科医、診療看護師(ナース・プラクティショナー)、医療技師などが常駐し、健康診断や日常的な疾患や軽度の怪我の初期診療や予防接種、眼科検診までを行う。

スーパーセンターとは入り口を別にするヘルスケア・クリニックではプライマリ・ケア医師による一般診療から歯科、聴覚、視覚、栄養指導などのカウンセリングやフィットネスを含むヘルス&ウエルネス・クラスまで健康にかかわる様々なサービスを提供しているのだ。

診療では健康保険を持たない人達にも廉価で提供されており、フロリダ州ジャクソンビル地区のウォルマート・ヘルスでは毎年の健康診断(Annual checkup)が90ドル、子供の健康診断(Annual checkup - youth)は70ドル、脂質テスト(Lipid Panel)は29ドル、平均血糖値を調べるA1C検査(A1C test)は25ドルなど明瞭会計となっている。

他にもインフルエンザ検査(Flu test)が64ドルやヒト免疫不全ウイルス検査(HIV test)が43~95ドルと比較的低価格で提示されている。歯科もレントゲンを含む歯科検診が40ドル、ベーシック・クリーニングが50ドルとなっており通常の歯科よりも安価に設定されている。

家族用のカウンセリングも72~84ドルと利用しやすい。

ウォルマートでは診療の価格表を提示することで明朗会計となり、高額になりやすい医療費に対して二の足を踏む患者にも広く受け入れられると提供しているのだ。

ウォルマート・ヘルスの診療時間は月曜日~金曜日が7:30am~7:30pm、土曜日が9:00am~5:00pmとなっている。アポイントメントはウォルマート・ヘルスのサイト(Walmart Health.com)からリクエスト可能。

 なおウォルマートは一昨年5月、ウォルマート・ヘルスが遠隔医療サービスを手掛ける「ミーMD(MeMD)」を買収。ウォルマート・アプリを介してビデオ通話を利用した、医師によるオンデマンド・オンライン診療を顧客に提供等、医療サービスのオムニチャネル化を進めているのだ。

2010年創業のミーMDではコンピューターからスマートフォンの専用アプリを介したビデオ通話にテキストメッセージによる医療相談が可能で新型コロナウイルスやインフルエンザの検査、ワクチン接種、病気やけがの治療、予防ケア、メンタルヘルスなどに関する相談を幅広く対応している。

医療専門家による訪問診療サービスや、処方箋サービスなど、バーチャルと対面ケア双方の利点を融合したサービスまで提供している。ウォルマートが同社を傘下に収めることで顧客が気軽にいつでもどこでも低価格でテレヘルス(遠隔医療)を受けられるようになっている。

 万引されるリスクのある店舗を減らしながら、被害にはあうこともないサービス部門を増やし、オムニチャネル・リテーラーとして成長軌道を描くのだ。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。当ブログではサンフランシスコを万引き天国と揶揄していますが、記録的なインフレにより略奪に近い万引きは全米に広がっているのです。ウォルマートやターゲット、多くの食品スーパーで狙われている商品はタイド等の洗濯用洗剤。自分たちが使用するためではなく闇ブローカーへ転売するためです。徒歩で行けるような市内のターゲットではスーツケースを持ち込んで日本円にして3,000円以上にもなる大きな洗濯洗剤を詰め込むのです。ポートランド市内からウォルマート・スーパーセンターは撤退しますが2ヶ所同時の閉鎖はシャレにならないぐらいな相当な被害があるからでしょう。万引きとか盗難ではなく手当り次第の略奪です。店舗(売り場)を増やせば、略奪の被害もそれ以上に増えるということでウォルマートの店舗数は今年、二桁減になりますね。オムニチャネル・リテーラーと宣言できたからこその店舗閉鎖です。一方でプライマリーケア・クリニックのウォルマート・ヘルス部門は二桁のオープン数で増やします。

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