伊勢丹新宿店の外観
Image by: FASHIONSNAP
三越伊勢丹グループが、不動産業の強化を図る。グループ子会社で、建装やプロパティマネジメントなどの事業を展開する三越伊勢丹プロパティ・デザインが3月6日に関係者向けに説明会を開き、自社木工家具工場「三越製作所」が持つ「技術力」に加えて、「提案力」「三越伊勢丹のグループ力」をかけ合わせ、川上から川下までを一貫して担う事業体を目指すと発表。同グループの中期戦略で目指す「まちづくりの開発」においても貢献し、2030年度に売上高のトップラインとして700億円、営業利益50億円達成を目標に掲げる。
三越伊勢丹プロパティ・デザインは、1910年に創設された家具加工部を前身とし、後の1944年に三越製作所が発足。2014年に現在の商号に変更した。東京、大阪、福岡、名古屋、札幌、新潟といった同グループが店舗を構えるエリアに拠点を置いている。
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主な事業は、建装事業、プロジェクトマネジメント(PM)事業、住環境事業の3つ。建装事業では「アンダーズ東京」や「オークラ東京(The Okura Tokyo)」「エースホテル京都」といったラグジュアリーホテルをはじめ、高グレードのオフィスや、「エルメス伊勢丹新宿店」といった商業施設・店舗などの案件を手掛けている。商業施設・店舗の案件は全体の15%程度、85%が百貨店以外の案件だという。
PM事業では建物の発案から完成、開業後の運用まで、建設プロジェクト全体を通したコストやスケジュールなどの管理を担当。これまでは百貨店に関する案件がメインだったが、今後は外部の取り組みを増やしていきたいという。
住環境事業は外商顧客を主な顧客とし、リフォームや新築物件を手掛けている。「“億を超える”物件が3〜4件ほどある」(三越伊勢丹プロパティ・デザイン 手塚鉄治代表取締役社長)など付加価値の高いオーダーが増えており、今後も期待しているという。
一般財団法人建設経済研究所のレポートによれば、民間非住宅建設の投資額は今後右肩上がりに推移し、2035年度には投資額13.2兆円を予測。2022年度対比で2割以上増加する見通しだ。三越伊勢丹グループではこれまで、不動産業は百貨店業の補完的な位置付けだったが、今年度から事業に力を入れている。2022年度の実績は売上高189億700万円(コロナ前の2019年度は177億9900万円)、営業利益6億円(同 6億400万円)を見込む。今期は原材料が高く、投資を先送りする動きや事業計画を見直すクライアントも多いという。
現在は業界9位の位置付けだが、2030年度までに業界3位の規模を目指す。建装事業では、まちづくりの取り組みを含めて2030年度には内部案件4割、外部案件6割の比率となる見通し。営業利益率向上には川上の領域のプロジェクトを獲得していくことも重視し、百貨店で培ったおもてなしを武器にPM事業で大型プロジェクトを獲得する提案力を向上していきたい考えだ。
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