東急文化村(以下、文化村)が、「Bunkamura」の休館期間中の計画や今後の方針を発表した。同社が運営する複合文化施設「Bunkamura」は、オーチャードホール以外の施設が4月10日から2027年度中まで長期間休館することが決まっている。
2027年に向けたリニューアルは、「より多くの人々への文化発信」、「新しい技術の文化芸術への活用」、「次の世代へのバトンタッチ」の3点をテーマとして掲げる。この3点への取り組みは「Bunkamura challenge」と名付け、今後も定期的に発信をしていくという。
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Bunkamuraは、東急百貨店本店の解体による振動や騒音を懸念して通常営業を一旦休止する。約1ヶ月の電源工事と動線確保の後、オーチャードホールは5月から振動・騒音のない日曜祝日を中心に営業を再開し、自主企画公演を中心に音楽やダンスの公演を実施。演劇や美術展、映画などの長期にわたる内容に関しては、渋谷に限らず東急線沿線や都内近郊の施設を活用してBunkamura企画制作の公演を行っていく。
オーチャードホールの演目は横浜みなとみらいホールや浜離宮朝日ホールで、シアターコクーンは今年4月に歌舞伎町にオープンする東急歌舞伎町タワー内の劇場「シアター ミラノザ(THEATER MILANO-Za)」を中心に活動していく。シアター ミラノザは映画館「新宿ミラノ座」の跡地にできることから、「舞台 エヴァンゲリオン ビヨンド」や「パラサイト」といった映画に関する公演で柿落としを行う。また、閉館中のBunkamura館内ではシアターコクーンの芸術監督である松尾スズキを中心にした講師陣による若手アーティストの育成施策「コクーンアクターズスタジオ」を始動。コクーンアクターズスタジオは今年4月から受講生の募集を開始し2024年春に開講を予定している。
ザ・ミュージアムは、展示内容に合わせて外部の会場を使用した展覧会を予定している。昨年韓国のソンスで実施されZ世代を中心に話題になった「ウェス・アンダーソンすぎる風景展 あなたのまわりは旅のヒントにあふれている」はロケーションを考慮し4月から寺田倉庫で開催する。7月から渋谷ヒカリエホールで開催される「ソールライターの原点 ニューヨークの色」は広い会場の空間を生かした10面の大型スクリーンを使用した展示を予定している。
ル・シネマは、2022年12月に閉館した渋谷TOEIの跡地に「Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下」を6月にオープン。日本で現在は放映権のない作品や、同館単独配給作品、過去の話題作などを揃えて展開し、東急シアターオーブとの連携も視野に入れていくという。ル・シネマ渋谷宮下の7階と9階のロビー内にはドゥマゴ パリのスタンドカフェが出店する。ギャラリーは渋谷ヒカリエの8階に移転し「Bunkamura Gallery8/」を6月10日にオープンする。
文化村の中野哲夫代表取締役社長は、「コロナ禍で減少していた客数も現在では回復してきたが、この数年で客層が大幅に若返っている」と語り、「若年層のアート嗜好が伸びている傾向に合わせてより広い世代の好奇心の強いユーザーに合わせた企画にシフトしていきたい」と続けた。Bunkamuraは渋谷駅から徒歩10分程度の立地だったことでBunkamuraを目指して来客するユーザーが多かったが、休館中に渋谷TOEI跡地やヒカリエなど渋谷駅付近に移転することに関しては、より幅広い属性のユーザーが意図せずにアートに触れる機会ができるとして期待を語った。
■Bunkamura:公式サイト
株式会社東急文化村 中野哲夫代表取締役社長
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