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「クオニス」からマスクフォンデュ登場、お風呂で溶かしながら使うジェルシート

「クオニス」からマスクフォンデュ登場、お風呂で溶かしながら使うジェルシート

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ぷるぷるの薄いシート。指にのせると弾力があり、しっとりしている。
こちら(上の写真)は京都にある製薬会社、コスメディ製薬株式会社のスキンケアシリーズ「クオニス」から新たに発売されたフェイスパック、「マスクフォンデュ」だ。

スキンケア1回分の使用量としては類を見ない程の大量のヒアルロン酸を特殊な技術で水分のみ取り除き、ジェルシート化。この1枚でフルエステを受けた後のようなお肌とココロの満足感が自宅で味わえるという。開発に携わった同社の権 英淑(ケン エイシュク)さんに話をうかがった。

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2001年の創業から医薬品開発。皮膚浸透(経皮吸収)のエキスパート

同社は、次世代の経皮吸収技術を応用した「溶解型マイクロニードル」を2008年に世界で初めて製品化を実現して、センセーショナルな話題を呼んだ。

「マイクロニードルパッチは美容シーンに非常に大きな衝撃を与えました。それと同時に愛用者の方からは課題もいただきました。パッチでは目元や口元などの気になるところはケアできるけど、それだけでなく“顔全体にヒアルロン酸をいきわたらせたい”“顔全体をケアしたい”と」。

そして、持ち前の技術を駆使して生み出したのが、水溶性のヒアルロン酸をゲル化したシート状のフェイスパックだ。経皮吸収を主眼においた医薬品・化粧品開発をする企業ならではのテクノロジーが、この一枚に詰まっている。

「ゲル化技術は創業当初から持っている特許技術で、有効成分と肌に負担がかからない高分子ポリマーや溶解剤を混ぜてゲルにする技術です。水分量を取り除いたゲルは、有効成分を濃縮させて、たっぷりの成分量を含むことができます。水性ジェルと違って水分を一時的に直接肌に与えるのではなく、肌の水分をしっかり保ちながら、ゲル中の有効成分を肌内部へ確実に浸透させることができるのも特徴です。当社ではさまざまな成分のゲル化に成功しています」。

ヒアルロン酸の含有量は、同社の乳液1本分と比較して約87倍[1]というから驚きだ。なお、マスクに濃縮して含有させたヒアルロン酸の濃度は、医薬品の浸透性の観点から考えたものだという。そしてメリットはそれだけではない。

「また、マスクとして顔を覆うことで、さらに浸透を促進させます。マイクロニードルは物理的に肌の内部へ成分を入れますが、この製品はその濃度の差によって浸透させることで効果が期待できます。濃度が高いところから薄いところへと成分が拡散されていく『濃度勾配』という原理を活用しています」。

また、素肌に長く触れるものだからこそ、肌へのやさしさにも最大限にこだわっている。一般的なフェイスパックは水分が腐らないように防腐剤を入れるものが多いが、マスクフォンデュは水分を極限まで取り除いているため、アルコール・防腐剤不使用を実現している。

お風呂の中で溶かしながら使う。週1回のスペシャルケア

透明な見た目も、そのコンセプトもオンリーワンな製品だが、使い方も実に独創的。お風呂の中でシートを顔にのせ、肌に馴染ませるようにマッサージをしながら溶かしていくのだという。

「水分を含むと溶けるマスクの特徴を利用したパックなので、やさしく手を動かしてマスクを溶かしていく行程がマッサージにつなげられると考えました。毛細血管の流れがよくなって成分も浸透しやすくなるので、マッサージは長くするほど効果が高いです。溶け残った成分は顔だけでなく体全体にマッサージをしながら広げていくと、全身パックをしたかのようにしっとりします。私の場合は足やかかとまで伸ばしながら使っています。
さらに、マスクには温感効果もプラスしました。お風呂では体は温まりますが、顔はなかなか温められません。そこでこのマスクを使っていただければ、温感効果とマッサージの相乗効果で顔の血行を促すことができます」。

水分で湿らせた顔の上にマスクをのせると、じんわりとマスクが発熱して温まり、顔まで湯船に浸かったような心地よさに包まれる。温感効果で毛穴が開くので美容成分も浸透[2]しやすくなり、スキンケアの効果もアップするそうだ。

使用する頻度は一週間に一度。バスタイムに行うスペシャルケアによって、普段よりゆっくり湯船に浸かって疲れを癒やせるという点も、毎日を忙しく過ごす私たちにとってうれしい相乗効果といえるかもしれない。

改良を重ねながら、5年がかりで量産に成功

「研究段階では順調でしたが、量産にあたっては大きなハードルがありました。運搬時にゲル状のシートがよれてしまう問題です。2年かけて製品は完成しましたが、パッケージの改良も重ねながら、発売に至るまでには5年ほどかかりました」。

良質なプロダクトには、やはり多大なる努力の成果が詰まっている。最後に、今後の予定についても聞いてみた。

「実は現在、開発グループが進めているプロジェクトがあります。マスクフォンデュのように柔らかくてペタペタしない浸透性の高い素材を、顔全体をカバーする広いマスクとしてではなく、スポットで使えるようにもするというものです。まだ世の中にそういった製品はないのではないかと思っておりますので、きっとみなさんにも楽しんでいただけるはずです」。

製薬会社が開発した技術から化粧品に展開できるものを活用しつつ、エイジングケアに立ち向かうコスメディ製薬のスキンケアシリーズ「クオニス」。これからも、さまざまな肌悩みに向けた製品をプロデュースしてくれるに違いない。

[1] 当社製品比較(クオニスミルク)
[2] 角質層まで

PROFILE|プロフィール

権 英淑(ケン エイシュク)

コスメディ製薬株式会社 代表取締役社長
京都薬科大学 薬学科博士課程修了。その後、英国製薬会社(ストラカン製薬)などの技術コンサルタントを経て、2001年有限会社コスメディ製薬を設立。2021年代表取締役社長に就任。日本薬剤学会より「製剤の達人」の称号を授与。薬学及び皮膚のメカニズムを専門分野とする。マイクロニードル技術の第一人者。

Text by Aki Saito(ALTANA inc.)

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