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花王が2022年12月期通期連結決算を発表した。売上高が前期比9.3%増の1兆5510億5900万円、営業利益が同23.3%減の1100億7100万円、親会社の所有者に帰属する当期利益が同21.5%減の860億3800万円だった。ロシア・ウクライナ問題等によるエネルギーコストの上昇や、原材料の高騰、中国市場の減速などの影響を大きく受け減益となった。
セグメント別では、化粧品事業が外出機会の増加によりメイクアップや日焼け止めがけん引し、売上高が同5.1%増(実質0.8%増)の2515億円で、営業利益が141億円(前年同期から66億円増)を計上。「カネボウ(KANEBO)」や「ケイト(KATE)」といったグローバル戦略ブランド「G11」に集中的に投資し、シェアを拡大した。中国では感染症拡大による都市封鎖やその後の市場の冷え込みに加え、ローカルメーカーの台頭や流通チャネルの変化などの影響を受け、売上が前年を下回った。欧州はインフレによる景気減速が影響し売上は前期並みだったが、「せんさい(SENSAI)」や「モルトンブラウン(MOLTON BROWN)」のシェアは伸長した。
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ヘルス&ビューティケア事業では、売上高が同4.2%増(実質1.8%減)の3695億円で、営業利益は原材料価格高騰などが大きく影響し、346億円(前年同期から151億円減)となった。スキンケアやUVケアは好調に推移。タイでは花王独自の技術を搭載した蚊よけローション「ビオレガード モスブロックセラム」が反響を呼んだという。米国ではインフレによる消費減退の影響を受けて前期を下回った。ヘアケア製品は欧米のヘアサロン向け製品で米国の「オリベ(PRIBE)」がサロンチャンネルに加えEコマースが大きく伸長し好調を維持。日本のマス向け製品は前期を下回り、激しい競争環境に対応するため抜本的なブランド再構築を推進している。そのほかパーソナルヘルス製品は「めぐりズム」が順調に売り上げを伸ばしたものの、入浴剤が前年を下回った。
なお、今回の連結業績と業績予想の差異を受け、同社の表取締役 社長執行役員の長谷部佳宏氏は月額基本報酬の30%を2023年4月から3ヶ月間自主返納すると申し出たという。
2023年度は「市況に依存しない強い事業体質への変更」「戦略事業の強化とグローバル拡大」「変化を先取りする急伸事業の実益化」を経営方針の柱に据える。原材料高騰に対応するため、2022年にも一部で実施していた戦略的値上げの対象を拡大し、高付加価値・高収益商品の比率を向上。ヘアケアやサニタリー(生理用品)、パーソナルヘルス事業のマーケティングで大々的な改革を行うほか、化粧品戦略ブランド「G11」の伸長を目指すとともに、D2Cを本格始動させる。ライフスキンケアで対ベクター感染を強化しタイで好評だった「ビオレガード モス ブロック セラム」をアジア全域に拡大。ポジティブリサイクル(廃PET活用道路)やドローン用アジュバント(超減農薬)、デジタル・ライフ・プラットフォーム事業(RNA検査事業化)の実益化を推進する。
2023年12月期連結業績は売上高が前期比1.9%増(実質2.3%増)の1兆5800億円、営業利益が同9.0%増の1200億円、親会社の所有者に帰属する当期利益が同2.3%増の同880億円を見込む。
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