東急百貨店本店が1月31日、約55年間にわたる営業を終了した。閉店時刻の19時には、多くの人々が閉店の様子を見守るため正面口に集結した。
東急百貨店本店は、1967年11月1日に開店。本店は「おしゃれのコーディネーションを柱」、渋谷駅直結の東横店は「実用的なショッピングを楽しめる場」と棲み分けて運営していた。1989年に隣接する複合文化施設「Bunkamura」が開業し、文化施設と商業施設が一体化した日本で初めての複合施設となった。本店閉店後は東急と東急百貨店、LVMHグループの不動産開発投資を行うL Catterton Real Estateの3社が共同で推進する「渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト(Shibuya Upper West Project)」によって、建物解体工事を行い、跡地には地上36階、地下4階の複合施設の建設を予定している。
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営業終了に伴い、1月2日からグランドファイナルセールを開催。最終日は開店前から行列を作り、館内は賑わいを見せた。日用品を購入した東京都在住の60代女性は「東横店と比べても落ち着いた雰囲気で居心地がよかったので閉館が寂しいです。デパート式の施設は商品が見やすいですし、渋谷にまたデパート式の施設ができてくれたら嬉しいです」と閉店を惜しんだ。
東京百貨店本店 店長の稲葉満宏氏は閉店日を迎えて「55年と3ヶ月の間、この地で営業してきて本当に多くのお客様に支えられているということを改めて実感しています」とコメント。東急百貨店本店は約40%が外商による売上で外商比率が高く、「外商のお客様からも今後どうなるんだという声をいただいています。食料品は東急フードショーだったり、東横のれん街がありますし、モノ以外の色々なことも東急グループ全体でお客様の痒いところに手が届くサービスを提供し続けられたらと思います」と話した。本店営業終了後は、ワイン売り場「THE WINE」を近隣に路面店として移転オープンするほか、渋谷ヒカリエShinQsをリニューアルし、時計・宝飾やラグジュアリーコスメティックなどを導入する。
閉店の挨拶の様子
閉店の挨拶で稲葉店長は「閉店のテーマを『THANKS&LINK』に設定しました。THANKSはお客様への感謝の気持ちが、LINKにはお客様との絆を大切にして繋がり続けたいという思いを込めました」と説明。また、東急百貨店のスタッフと神南小学校の生徒が描かれた外壁の懸垂幕には、「次の世代の子どもたちに負の遺産を残したくない、美しい未来に繋げていきたい」という思いを込めたという。最後に「皆様をお迎えした55年の間、素敵な出会いに恵まれました。この出会いに心より感謝を申し上げます」と感謝の気持ちを述べた後に、正面口のシャッターが降下。閉店の挨拶後は、「TOKYU HONTEN」の文字が記されたシャッターを撮影する人の姿が多く見られた。
東急百貨店本店閉店挨拶後の様子
Image by: FASHIOSNAP
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