世の健康意識の高まりから、注目を浴びている低周波治療。微弱な電流を用いて関節や筋肉の回復をサポートしてくれるものだ。そして、近年、プロスポーツ選手がケガの治療やコンディション維持に活用して話題となっているのが、ごく微弱な電流を使うマイクロカレントと呼ばれるもの。
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そもそもどうして電気刺激は、筋肉疲労や痛みの緩和に役立つのか。そしてマイクロカレントとはどんなもので、従来の電気刺激による治療とは何が違うのだろうか。
人間の細胞は一つひとつが電気を帯びている。そして、外部からの電気的な刺激に対して敏感に反応する性質を持っている。この、人体に備わっている電気的な性質を上手く活用して、血流を促したり、痛みの感覚を和らげようとするのが低周波治療だ。
血流が悪いと体の隅々まで酸素や栄養が行き渡らず、老廃物が蓄積するという悪循環に陥る。低周波治療では、外部から電気刺激を与え、筋肉を縮めたり緩めたりすることでポンプ作用を生み、血流を促進させる。結果、老廃物は流され、痛みやコリなどが緩和されるというのが大まかなメカニズムとなる。
また、低周波治療には、痛みの伝達を抑制する効果も期待できる。侵害刺激を伝えるゲートをコントロールして疼痛(とうつう)を軽減させるというもので、ゲートコントロール理論と呼ばれている。
低周波治療により、伝導速度の速い触覚神経を刺激することで伝導速度の遅い痛覚神経の伝達を防ぎ、痛みの伝達を抑制する効果が期待できるのだという。
たとえば、運動中にボールが体にあたったときや、テーブルの脚などに足の指をぶつけたときなどに、無意識に患部を手でさすっていることがある。これがまさに、伝導速度の速い触覚神経を刺激して、伝導速度の遅い痛覚神経の伝達を防いでいる状態だ。
注目される家庭用低周波治療器
では、近年、ニーズが高まっている家庭用低周波治療器とはどんなものだろうか。オムロンの「HV-F081」はサッカー、バスケットボール、ゴルフなど多くの競技のアスリートたちが活用している低周波治療器。筋疲労や痛みに合わせて複数のモードが用意されているのが特長だ。
「筋肉の疲労回復をサポートするリカバリーモード、痛みを緩和するペインケアモード、刺激を感じることのない微弱な電流を使ったマイクロカレントモードの3つが選べるようになっています。
リカバリーモードは、血行促進を促し、筋肉の疲れを取ることを目的にしています。ペインケアモードでは、低周波の刺激が痛みを伝達する機能に作用し、脳に痛みの感覚を伝えにくくします。
そしてコンディション維持やケアに適しているのが、マイクロカレントモードです」と、オムロン ヘルスケア株式会社 グローバルコミュニケーション統轄部 広報部の田中昂さんは言う。
マイクロカレントと低周波の違い
では、マイクロカレントと低周波治療は何が違うのだろうか。人間の体にはもともと生体電流という電流が流れている。この生体電流に似たごく微弱な電流を使う治療法が、一般的にマイクロカレント療法と呼ばれるものだ。
低周波治療などに用いられる電流の単位がA(アンペア)であるのに対し、マイクロカレントで使用されるのは、μA(マイクロアンペア)で、1Aのわずか100万分の1程度の強さしかなく、触ってもほとんど刺激を感じない。
「マイクロカレントが他の電気療法と異なる点は、電気的な刺激をほとんど感じないところです」
たとえばランナーの場合。ランニングやレースの後、筋肉に疲労を感じているときには、リカバリーモード、痛みを緩和したいときにペインケアモード、日々のコンディショニングケアをしたいときにマイクロカレントモード、といった使い分けが想定される。
また、オムロンはコードレスタイプの低周波治療器「HV-F601T」も展開している。こちらも、低周波に加えてマイクロカレント機能を搭載。専用のスマートフォンアプリで、モードの選択や時間・強さの調整ができる。コードレスタイプなので、ケア中に姿勢を変えたり、移動するのがラクというメリットがある。
「運動を楽しむ方のリカバリーにはもちろん、日常生活で起こる肩こりや腰痛のケアにも低周波治療やマイクロカレントは適しています」
近年は、健康意識の高まりや、セルフケアの大切さが認知されたことで、フォームローラーやマッサージガンなどを活用したり、ストレッチなどをして、自分でメンテナンスをしているという人も多いはず。効果効能が認められている医療機器である、低周波治療器の活用も選択肢に入れてはいかがだろうか。
PROFILE|プロフィール田中昂(たなかこう)
オムロン ヘルスケア株式会社
グローバルコミュニケーション統轄部
広報部
Text by Fumihito Kouzu
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