センコー株式会社は、物流センターで保管するアパレル商品在庫の廃棄ゼロを支援するため新たに株式会社ゼロブランズを設立し、ECサイト「ZERO BRANDs」をオープンした。
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「ZERO BRANDs」は商品廃棄ゼロの実現を目指す、株式会社ゼロブランズのオンラインショッピングサイトである。物流会社が新会社を立ち上げ、ファッション業界の環境問題に取り組むその背景とは。株式会社ゼロブランズの小林さんに話を聞いた。
物流会社が取り組むサステナブル
センコー株式会社の親会社であるセンコーグループホールディングスは、年間売上高 6,231億円の物流会社で、グループ企業161社で構成されている。その内ファッション物流の年間売上は約500億円、物流費5%と想定した場合、約1兆円規模のファッション商品の物流を取り扱っている。
国内ファッション業界の売上は7兆円と言われており、その14%の物流をセンコーグループで行っている計算だ。そんなファッション物流のトップ企業であるセンコーが、ファッション業界の課題である商品廃棄問題を解決するために新たにプロジェクトを立ち上げた。それが株式会社ゼロブランズの取り組みだ。
ゼロブランズはファッション企業の余剰在庫品の、返品物流・再生加工・再販・リサイクルまで一貫した静脈物流プラットフォームを構築・運営し、プラットフォームに多くのファッション企業、販売会社、リサイクル会社を集めて、ファッション企業の廃棄ゼロを支援する会社である。
なかでも、ECサイトであるZERO BRANDsは再販のなかの一部の機能として、11月からセンコーグループ関係者向けのクローズサイトで開始。本格的な一般ユーザーに向けては来年にサイトをオープンする予定だという。
「ZERO BRANDsの特徴は、静脈物流プラットフォームとECサイトの連携として、ファッション企業の物流センターに商品保管されたまま、販売する在庫データをECサイトに連携できるほか、店舗及びECのお客様からの返品商品をゼロブランズで受けて、すぐにECサイトで販売することもできます。さらに、ファッション企業様から買い取った商品を、リペア・リフォーム・リメイクしたり、リブランドの再生加工を行い、商品を生き返らせて販売したり、不良箇所のある商品やサンプル品の販売も可能となっています」
取り扱いブランドはセンコーグループが物流を行っているブランドを中心に提案しているそうで、現在は百貨店ブランド、セレクトショップ、インポートブランド系が多くなっているという。さらにECサイト内にはサステナブルページも設置し、最新のサステナブル技術の紹介や取り組み事例などの情報発信も行っている。
コロナ以降のサステナビリティ
コロナ禍になりファッション業界全体の在庫削減は進み、商品廃棄量は減少しているが、商品廃棄自体はなくならないと小林さんは話す。
「コロナ禍でECでファッション商品を購入する人が増えたこともあり、これからも廃棄量は増えてくると思われます。
一方でファッション業界のサステナブルの取り組みは進んでおりません。リサイクルを行うにもコストがかかり、ファッション業界全体として経営が厳しいなか、サステナブルの取り組みは進めないといけないことはわかっていますが、後回しになっているのが現状です。
フランスでは衣服の廃棄は法律で禁じられており、この流れは日本にも必ず来るでしょう。そんななかでコストをあまりかけずにできるリサイクルは、物を集めて効率的にできることでもありますので、これを物流のセンコーグループを中心に積極的に行っていきたいと考えています」
株式会社ゼロブランズのサステナブルな取り組みは先日スタートしたばかりだ。アパレル商品在庫の廃棄ゼロに向けたさまざまな可能性を秘めているので、今後の展開にも注目していきたい。
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