メレルの2023年春夏コレクション 展示会
Image by: FASHIONSNAP
アメリカ発のアウトドアブランド「メレル(MERRELL)」が好調だ。量販店で年配層を中心に安定した売上を維持していたが、売上向上や客層拡大を目指して2019年よりリブランディングに着手。販売足数が大幅に増加しており、これまでの販売数は年間で30万足程度だったが、2023年度は半期で約28万足のオーダーを受けたという。
メレルは、1981年にカスタムメイドのカウボーイブーツの職人ランディ・メレル(Randy Merrell)が、腕試しのためにハイキングブーツを製作したことからスタート。日本の輸入総代理店は1998年から丸紅フットウェアが務めており、ABC-MARTなどの量販店でスリッポンタイプの「ジャングル モック(JUNGLE MOC)」とマルチアウトドアシューズの「モアブ(MOAB)」が40〜50代のウォーキングやハイキング時のシューズとして高い支持を得ている。
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リブランディングに伴い、2020年からメレル UKが主体となって新しいアプローチの方法を模索する「MERRELL 1TRL(メレル ワンティーアールエル)」をスタート。付加価値として販売店舗は世界で最大100店舗までに絞っており、2020年と2021年はヨーロッパ限定で展開していた。2022年春からソフトローンチという形で日本での販売を開始すると、数量限定発売した水陸両用シューズ「ハイドロ モック(HYDRO MOC)」をベースに機能性の高いラバーのアウトソールを搭載した「ハイドロ モック エーティー(HYDRO MOC AT)」に20〜30代の若年層が注目。丸紅フットウェアのメレルマーケティング部マーケティング第一課 課長の田中祐介氏によると、オンラインサイトの購入者は20〜30代がほとんどで、約80%が初回購入者だったという。田中氏はハイドロモック エーティーを「ゲーム・チェンジャーモデル」と称しており、「ハイドロモック エーティーをはじめとする1TRLの影響から、ファッションを主軸に置いたセレクトショップの取り扱いが一気に増えました」と話す。既存の量販店やアウトドアショップの注文数も増加したことで、半期で年間の販売足数に近いオーダーを受けているという。
また、1TRLによってブランドの認知度が向上したことで、40〜50代に人気の「モアブ」にも若年層の目が向いた。トレイルモデルのシューズトレンドも後押しし、モアブを街履きシューズとして購入する若者が増加。9月に新作「モアブ 3」の販売を開始したところ、約2ヶ月で在庫の約70%が出荷済となり、最も人気のトリプルブラックカラーに至っては早々に在庫欠けが生じたという。2〜3月にかけて再入荷を予定しており、田中氏は「再入荷のタイミングが勝負所になるのでしっかりと提案できれば」と意気込む。なお、若年層が増加したが既存顧客も重要視しており、ジャングルモックやモアブは年配層をメインターゲットにした商品の展開も続ける。
そのほか、新作モデルとして2023年3月から順次販売するリカバリーサンダルの「ハット ウルトラ(HUT ULTRA)」を展開。競合の多いカテゴリーではあるが、柔らかさを強みに置いたリカバリーサンダルは飽和していると考え、歩行をサポートする反発弾性に優れたモデルに仕上げた。
新しい客層の支持を得て勢いに乗るメレルだが、次なる課題について田中氏は「女性からの支持」を挙げる。現在、若年層の購入者は9割程度が男性だといい、小売向けのカタログに女性モデルを起用した写真を使用するなど女性への提案を強めていくという。
■メレル:公式サイト
メレルの2023年春夏コレクション 展示会
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