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「iPhoneを探す」機能でSWATが無関係の住宅に突入

コロラド州デンバー警察のSWATチームが家の中を捜索中のため、自宅の前に立っているルビー・ジョンソン(ボディカメラが記録していた映像のスクリーンショット)

コロラド州デンバー警察のSWATチームが家の中を捜索中のため、自宅の前に立っているルビー・ジョンソン(ボディカメラが記録していた映像のスクリーンショット)

「iPhoneを探す」機能でSWATが無関係の住宅に突入

コロラド州デンバー警察のSWATチームが家の中を捜索中のため、自宅の前に立っているルビー・ジョンソン(ボディカメラが記録していた映像のスクリーンショット)

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VICE Japan

77歳の黒人高齢女性が暮らすコロラド州の家に、SWATが突入し家宅捜索を行なった。その根拠となったのは〈iPhoneを探す〉機能。しかしSWATが捜していた盗品は見つからなかった。

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2022年12月初めにデンバー郡裁判所に提出された訴状によると、同年1月、コロラド州に暮らすおばあちゃんの家を、特殊部隊のSWATチームが急襲。その捜査令状を取った刑事が根拠としたのは、iPhoneの〈探す〉アプリの不正確な位置情報を示したスクリーンショットだった。

ルビー・ジョンソンは77歳の元郵便局員。それは2022年1月4日、彼女がモントベロ地区の家で、ひとりでテレビを観ていたときに起こった。訴状によると、突然警笛が続いて拡声器を通した声が聞こえたという。その声は、彼女の家の中に誰かいるのなら、全員両手をあげて外へ出ろ、と命じていた。彼女はバスローブに室内履き、そして頭にボンネットをかぶったままの格好で、玄関から外へ出た。そこで待ち構えていたのは装甲車や警察車両、ライフルを構えた武装した隊員たち、そして警察犬1頭だった。

地元NBCニュース系列の『9News』が入手した、警察のボディカメラにより撮影された映像では、デンバー警察の警官がジョンソンに「他には誰もいないか?」と尋ねている。

装甲車の後部に立つ彼女は、「いえ、中には誰もいません」と答えた。また彼女は警察に、家のドアには鍵をかけていたと証言している。

「変な気分だわ」と彼女は語る。「だって、こういうの映画では観たことあるけど、自分の身に降りかかるとは思ってなかったもの」

部隊がジョンソン宅に送られたのは、ゲイリー・スターブ(Gary Staab)刑事が取得した令状を執行するためだった。スターブ刑事は、1月3日に起きたトラック盗難事件の捜査に当たっていた。盗まれたトラックの中には現金4000ドル(約51万円)とタクティカルライフル1挺、拳銃4挺、リボルバー1挺、ドローン2台、そして捜査においてもっとも重要な、1台のiPhone 11が入っていた。

トラックが盗まれた翌朝、スターブ刑事はトラックの所有者に電話による事情聴取を行なった。そして所有者から、Appleの〈探す〉アプリを使ったところ、iPhoneの位置が最後に2度反応したのはジョンソンの家だった、という証言を得た。所有者は自ら車でその付近を巡回したが、iPhoneもトラックも見つからなかったという。しかし所有者はジョンソン宅のガレージにトラックがとめてあるのではないかと怪しみ、それを刑事に伝えた。

刑事はiPhoneのおおまかな位置を示すスクリーンショットと、過去に示された地点から1.5メートル離れたところでデバイスが見つかったので〈探す〉アプリは充分に正確だとする所有者の主張をもとに、デンバー郡裁判所から捜査令状を取得することができた。

しかし件のスクリーンショットは、盗まれたiPhone 11がジョンソン宅の敷地内にあるとは示していない。示しているのは彼女の家と、他の少なくとも6軒の家の周辺のどこかだ。

Apple社の〈探す〉アプリが示すデバイスの位置は、必ずしも正確ではない。放射状に円を描いて、おおよその位置を示す場合もある。Appleは自社の『法的手続きのガイドライン』でも、法執行機関はAppleにデバイスの位置の特定を請求するよう推奨している。

「ジョンソンさんの家宅への不法な捜査を承認した令状は、スターブ刑事による性急で、内容の乏しく、誤解を招くような宣誓供述書をもとに発行された」と訴状には書かれている。「この宣誓供述書では、ジョンソンさんの家との関連を示す独立した根拠が全く示されていない」

ボディカメラの映像によると、警察がジョンソンの家の中を捜索しているあいだ、彼女は警察車両の後部座席に座らされていた。警察は捜査において、彼女が収集していた人形やガレージへの鍵などといった所有物を破壊し、また屋根裏部屋を調べるために最近買ったばかりの家具の上に立つなどした。結局、数時間にも及ぶ捜査で犯罪にかかわるものは見つからず、彼女は解放された。

訴状によると、彼女は謝罪も受けていなければ、家宅捜索の明確な理由も知らされていないそうだ。ジョンソンによると、彼女は警察の行動により身体的にも精神的にもショックを受け、その後1週間は近隣に住む娘の家で過ごし、その後3か月はテキサス州ヒューストンに住む息子のもとに身を寄せたという。

「40年暮らした土地での思い出が、警察による違法な捜査によって塗り替えられ、自らの家の意味を変えてしまった」と訴状には書かれている。「ドアに鍵はかけていても、もはや家は安心できる場所ではなく、むしろ自らの被害を思い出させる場所となった」

ジョンソンはコロラド州米国自由人権協会財団の協力を得てスターブ刑事を訴え、請求金額を特定しない損害賠償および、弁護士費用の負担を求めている。

本件においてスターブ刑事が弁護士をつけるかはまだ不明である。VICE Newsはデンバー警察にコメントを求めたが、返答はなかった。

警察による家宅捜索には、特にこの2年、米国各地において批判の声が上がっている。2020年にはブリオナ・テイラー、2022年にはアミール・ロックがそれぞれ警察により殺害された。無実の有色人種に向けて、自宅で(それもしばしば夜中に)発砲することを正当化するために令状が使われていると批判されており、家宅捜索は繰り返し争点となっている。

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