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浄水フィルターを使うと安価なウォッカが美味しくなるとSNSで話題に。本当に効果はあるのか?
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この記事はVICE Italyに掲載されたものです。
ここ数ヶ月、安物ウォッカをフィルターでろ過する動画がTikTokで流行している。試飲の様子を見る限りでは、みんな感動しているようだ。彼らはウォッカがものすごく美味しくなったと口を揃える。このトレンドに関する動画は、現時点で2億回以上再生されている。
真偽の程は不明だが、このライフハックは決して新しいものではない。2006年にはテレビ番組『怪しい伝説』でも取り上げられた。彼らもまた、ウォッカをフィルターで濾すと味がよくなると主張したが、科学者はろ過の前後で成分の変化はないとして、この都市伝説を覆した。
@call_me_cookem Original Video: @aves and @DrChrisPharmD Okay this was a completely scary outcome but it was well worth trying! #bartender #bartending #bar #drink #drinking #21 #rumple #rumpleminze #brita #fyp #xyzcba ♬ original sound - Call_Me_Cookem
まずは科学的事実を確認しよう。ウォッカは穀物やイモ類などの原料を発酵、蒸留、希釈、ろ過してつくられる蒸留酒だ。発酵中にエタノールが生成される。ここで重要なのは、発酵によってコンジナーと呼ばれる別の副産物が生まれることだ。それは酸やイソブチレン、アルデヒド、エステル、ケトンなどのアルコール類で、ラムやウイスキーなどの蒸留酒の香りの元となる。
しかし、良質なウォッカとは混じりけも雑味もなく、水のようになめらかな喉ごしであるべきだ(実際、ウォッカの語源はロシア語で水を意味する〈вода/voda〉だ)。
発酵後の溶液は、まだアルコール量が不十分なため、蒸留──要は沸騰──させてコンジナーを減らし、エタノールを増やす。エタノールの沸点は78℃だが、コンジナーはより低い温度で蒸発する。
高級なウォッカはこの工程を何度も繰り返すが、安価なものについては、製造業者は必要最低限しか行なわない。
もちろん、できることなら高級ウォッカが飲みたいが、僕には他にもっとお金をかけるべきものがある。そこで6人の同僚を誘い、この実験に挑戦してみることにした。浄水機能つきジャグと13ユーロ(約1800円)のウォッカを用意し、午後3時にろ過を始めた。
正直に言おう。調査報道という名目で真っ昼間に同僚にショットを注いであげることこそ、僕が成人してからずっとやりたかったことだ。
次に、ろ過していないウォッカ、一度ろ過したウォッカ、6回ろ過したウォッカの3種類の試飲用サンプルをつくった。『怪しい伝説』によれば、〈6〉は最高の結果を生み出す魔法の数字だという。番組のホストたちは一度ろ過するたびにフィルターを替えていたが、無駄だと思ったので、今回はずっと同じフィルターを使用した(普通の浄水フィルターなら、数ヶ月おきに替えるだけでいい)。
お互いの反応からの影響を避けるため、被験者たちには個別にウォッカを試飲してもらった。どれがどのサンプルかは知らせなかったが、念のため試飲の順番も変えた。
結果はかなり意外なものだった。サンプルを見ただけでも、一度ろ過したウォッカは明らかに澄んでいた。試飲するさい、6人の同僚全員がその違いに気づいた。そのうち3人は一度ろ過したウォッカが断然気に入り、他の3人は6回ろ過したウォッカが一番だと答えた。ろ過していないウォッカが一番美味しいと答えたひとは一人もいなかった。
しかし、結局のところ何度もろ過することのメリットは不明なままだ。2人の同僚は、6回ろ過したウォッカは一度もろ過していないウォッカよりもまずい、と答えた。さらに、未ろ過のウォッカを一番に選んだひとはいなかったものの、6人中4人がそれを2番目に選んだ。
12種類のブランドのウォッカを比較した2015年の研究では、複数回の蒸留と発酵は質の向上にはつながらないという結果が出た。この論文によれば、不純物を減らす主な要因は発酵プロセスと基本的な原料の質だ。さらに、一部のTikTok動画の主張に反し、ろ過してもアルコール度数は変わらず、二日酔いを防ぐこともできないという。
僕の結論はこうだ。安物ウォッカにフィルターの値段を足すと、高級ウォッカ1本の価格(35〜50ユーロ、約4900〜7000円)よりも高くなる。だから、フィルターが不要ならば、このライフハックはまったく役に立たない。
そうは言っても、オフィスでウォッカの後味をろ過した水で洗い流せば、最高の1日になるはずだ。
@andreastrafile
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