鉄瓶
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本明:昔から鉄瓶が好きで。これはまだ錆落としをしていないんですが、錆を落とすのが楽しいんです。
F:どうやって落とすんですか?
本明:水で軽く濯いでから、お茶を入れておく。そうするとお茶のタンニンで錆が落ちてくるんです。一週間くらいかけて錆を落とすので愛着が湧いてくるんですよ。あとコーティングされていないから、鉄瓶を使ってお茶を飲むと鉄分が取れますし。
F:重量もかなりありますね。
本明:この重さに昔っぽさを感じるんですよ。最近は利便性を求めてなんでも軽くなっていて、生活しているっていう実感が湧かない。重厚感がある物を使って飲んだほうが、美味しく感じるんですよね。やっぱり面倒くさいことをやらないとダメなんじゃないかなって。だから僕は基本的に電子レンジも使わないんですよ。
F:昨年のベストバイでやかんを出していて、「買いすぎ」と奥様に怒られると言っていました。今回の鉄瓶も何か言われたんじゃないですか?
本明:子どもたちが大きくなって、鉄瓶とか古伊万里に興味を持ち始めたんですよ。前に使っていたものを子どもたちがアメリカに持って帰って使っているみたいです。そうすると僕は新しい物を買える。バランス関係も変わって、妻1人が鉄瓶の購入に反対派で、僕と子ども2人の計3人が賛成派。多数決で僕達が勝つんですよ。
F:共感者が増えたんですね(笑)。
本明:そう。子どもが大きくなってそれが一番嬉しいです。
人形作家による人形
本明:知り合いの人形作家さんがスニーカー好きな僕のために、「スニーカーの神様」を作ってくれました。会社の机に置いていて、毎日顔を合わせて力を貰っています。
F:コンバースのような靴を履いていて可愛いですね。
本明:この靴もわざわざ探してくれたみたいです。
F:モチーフは何なんでしょう?
本明:熊か何かかと思って聞いてみたら僕を参考に作ったらしいです。「大丈夫か?」っていうような顔をしていて、たしかに僕っぽいなと(笑)。愛着が湧いて気に入っています。あと見ていると儲かる気がするんですよ。
F:商売繁盛のご利益がありそうですもんね。
本明:そうそう。人の愛情がありますし、一般的に売っている物じゃないから酉の市の熊手とかよりも効果があるような気がして。その人形作家さんは、展示会を開いた際にこういった人形が30万円くらいで売れるような方なんですが、知り合いだからってお菓子を買うくらいの値段で作ってくれました。周りに愛情を持って関わってくれる人がどれだけいるかが、商売をする上でも大事なポイントだなと再認識しましたね。
おにぎりぼんご おにぎり
本明:本当は2個用意していたんですが、お腹が空いて1つ食べちゃいました。ぼんごのおにぎりは美味しくて好きなので、このおにぎりが“買って良かった物”なんですが、“出資して良かったこと”としてぼんごの由美子(右近由美子)さんと共同で会社を設立しました。
F:アトモスのバイヤーだった橋本信伍さんがぼんごに転職したそうですね。
本明:そうなんです。由美子さんから「ぼんごで働いてくれる若い人を探している」っていう話を聞いていたんですが、その話を偶然聞いてた信伍が気が付いたらぼんごに転職していたんですよ。それをきっかけに、ぼんごのおにぎりをもっと広めたいし、低迷しているお米の消費量問題にも貢献できるんじゃないかと考えて声をかけたんです。
F:2023年1月新宿に店舗を出店予定ですね。
本明:屋号は「ぼんご」じゃないと思いますが、まずは一店舗出してみようと。味が落ちちゃうとダメだから、様子を見ながら経営していくことになると思います。
F:楽しみです。ぼんごといえば57種類の豊富なメニュー数も人気の一つですが、本明さんのお気に入りは?
本明:牛すじ&カレー、辛子明太子&高菜、黄卵醤油漬け&肉そぼろです。行くと色々食べてみたくなるので毎回頼むものはバラバラなんですが。今日持ってきたのは辛子明太子&高菜です。
F:どれくらいの頻度で食べているんですか?
本明:今は信伍と週2日くらい会って話し合っているので、そのタイミングで購入して週2回は必ず食べています。
F:昨年のインタビューで「ご当地料理を東京に持ってきたり、海外に持って行って商売したい」と話していたので、その第一弾になるわけですね。
本明:美味しいご飯をもっと広めていきたいんですよ。あとフットロッカーとの契約で、スニーカー関連の新しい商売はできないので、僕が好きなご飯で面白い商売ができたらなと。
今年を振り返って
F:今年の買い物は、昨年に引き続き”無いもの”を買ってきた?
本明:そうですね。あとはやっぱりぼんごの共同設立が一番のトピックスです。
F:本明さんと言えば「アークテリクス(ARC'TERYX)」の服をよく着ていますよね。
本明:アークテリクスか「パタゴニア(Patagonia)」が多いです。機能性が高くて楽ですし、価格が高いからあまり人と被らないんですよ。「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」は被りすぎちゃって。原宿を歩いていると皆んなザ・ノース・フェイスしか買っていないんじゃないかって思うレベルで......。
F:今、買いたい物はありますか?
本明:引き続き”無いもの”を買いたい感じですかね。でも一番欲しいのは知識というか時間。デニムのディテールとかもそうですが、買うときに分かっていないと本当に価値があるものがわからないですから。
F:調べるための時間が欲しい?
本明:そうですね。僕は毎日10件近く打ち合わせがあるんですよ。だいたい8時くらいから打ち合わせして、全部終わる頃には20時くらいになっている。そこからシャワーを浴びたり、新聞や本を読んだら気がついたら23時。そこから寝て、4時くらいに起きる。日課のウォーキングをして、新聞を読んだり、メールを返していたら8時になってまた打ち合わせ。ずっとそんな生活だから興味あるものを調べる時間が足りないんですよ。
F:そんな忙しい中、新しい会社を作ったり、新しいことにチャレンジできる好奇心と行動力は素晴らしいですね。
本明:面白いことをやっていないと生きていけないんですよ。僕が好きなのはお金じゃなくてお金儲けだから。
F:来年のスニーカー市場についても聞きたいのですが、インバウンドが戻ってきて今後のスニーカー市場はどのように変わっていくと思いますか?
本明:ちょっと厳しいんじゃないかなと思います。アメリカの米連邦準備制度理事会(FRB)が金融引き締めを行うだろうから、市場からお金が無くなっていく。そうすると、今まで靴や時計、車などに投資していた人が減っていく。インバウンドが戻ってきて、旅行も増えるだろうから、例えばスニーカーだと街履用の1万円くらいの実用的なモデルは売れると思います。でも、所謂プレミアが付いているようなスニーカーはどんどん動きが悪くなっていくのではないかなと。面白い提案の仕方を考えて、工夫しながらじゃないと難しいと思いますよ。
本明秀文
Foot Locker atmos Japan 合同会社
atmos グローバル担当 / CEO兼チーフクリエイティブオフィサー1968年生まれ。米フィラデルフィアの大学を卒業後、商社に2年間勤務。1996年、テクストトレーディングカンパニーを設立し、裏原宿にスニーカーの並行輸入店「チャプター」を開く。現在「アトモス」をはじめ、「アトモス ピンク」や「トーキョー23」などを運営。
■アトモス創設者 本明秀文のベストバイ
【2022年ベストバイ】
・ユナイテッドアローズ 栗野宏文が今年買って良かったモノ
・アトモス創設者 本明秀文が今年買って良かったモノ
・シスター 長尾悠美が今年買って良かったモノ
・ファッションエディター 大平かりんが今年買って良かったモノ
・“インスタグランマ”内藤朝美が今年買って良かったモノ
・GR8久保光博が今年買って良かったモノ
・元GQ編集長 鈴木正文が今年買って良かったモノ
・さらば青春の光 森田哲矢が今年買って良かったモノ
・音楽家 渋谷慶一郎が今年買って良かったモノ
・ダイエット美容家 本島彩帆里が今年買って良かったモノ
・美容クリエイター GYUTAEが今年買って良かったモノ
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・FASHIONSNAP社長 光山玲央奈が今年買って良かったモノ
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