今年のお買い物を振り返る「2022年ベストバイ」。2人目は、スニーカーセレクトショップ「アトモス(atmos)」創設者の本明秀文さん。昨年に引き続き今年も本企画に出演してもらいました。
フットロッカー(Foot Locker)に3億6000万ドル(日本円で約394億円)でアトモスを売却してから早1年。本明さんが今年買って良かったモノ6点を紹介。
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ヴィンテージコンバース
本明秀文(以下、本明):まず前提として、やっぱり“無いもの”が高くなるっていう世の中なので、希少なものが欲しいというのは変わらないんです。僕は靴屋なので、靴で古くて珍しいものがあったら特に買いたいわけですよ。
FASHIONSNAP(以下、F):昨年からスタンスは変わらずですね。
本明:その中でも、例えば1985年のエア ジョーダン 1とか量を集めたいものは中古も買うんですが、基本的には新品未使用が僕の中では熱くて。今年買った"熱い靴"がこのコンバースたち。
F:では全部デッドストックですか?
本明:そう。まあ日に焼けちゃったりはしているんですけど。
F:全て種類が違いますね。まずはマイナーインダストリーズ(MINER Industries)社のアーミーコンバース。外側にはブランドロゴや文字がなく、ヒール部分にミルスペックがプリントされています。
本明:アメリカ軍に納品されていた物らしいんだけど、「本当なの?」って感じ。でもマニアの人が絶対だっていうからとりあえず騙されたように買ってみました。もう一足はウェイト・オールスター・トレーナー。
F:凄く重たいですね。
本明:足の筋力を鍛えることを目的に作られた靴で、ソール部分に重りが付いているんですよ。まあアメリカ版の鉄下駄みたいな感じですかね。
F:最後はコーチ(COACH)。「コンバース アディクト(CONVERSE ADDICT)」でも復刻されたモデルのオリジナルです。
本明:デッドストックは珍しいですよ。やっぱり、新品っていうだけで嬉しいんですよね。
コーチ
F:これはどこで購入したんですか?
本明:古物マニアの人から買いました。マニアが集めている物ってその人が死んだらゴミだと思われちゃうんですよ。死んでから家族に捨てられるのは悲しいから、生きているうちに手放そうっていう人も結構いて。そういう人からよく連絡が来るので、そこから“無いもの”を買っていく感じです。
F:本明さんが普段履いているのは「ホカ(HOKA)」が多いですよね。コンバースを履くこともありますか?
本明:今はほとんどないです。昔はよく履いていて、紺色のオールスターで富士山を登ったことがあります。高校生くらいのときだったかな、登りは結構簡単に登れるんだけど、下りは砂で滑っちゃうから、降りたときにはボロボロだった。それがコンバースの一番の思い出ですね。今は歳を取ったからソールが厚いものじゃないと。だからコンバースは若さのシンボルですよ。
コンバースの良さはあと加水分解しにくいっていうことですね。ナイキの古い靴とかも持っていますが、どうしても加水分解してしまう。
F:エア(AIR)などのテクノロジーは加水分解しやすいイメージです。
本明:エアは7年くらいすると中が曇ってくるんですよ。それでボロボロになってくる。僕は色んなコレクターからスニーカーを見てくれって話が来るんですけど、一度200足くらいのジョーダンコレクションを見せてもらったら150足くらい加水分解していたことがありましたよ。
F:本明さんは加水分解が起きないように対策していますか?買ったスニーカーは湿度を調整した部屋に置いておくとか。
本明:していないです。買ったら満足しちゃうんですよね。
ヴィンテージリーバイス 501®
F:続いてはヴィンテージの「リーバイス(Levi's®)」。こちらもデッドストックです。
本明:さっきのコンバースと同じ人から購入しました。デニムと言えば「ベルベルジン(BerBerJin)」や「サファリ(SAFARI)」が有名ですが、そういったショップでもヴィンテージのデッドストックってどんどん減っていて、今は本当に少ないんですよ。
F:もしこれがデッドストックじゃなかったら買っていないですか?
本明:買っていないですね。新品を持って置いて、見て楽しむ。
F:3本とも501®。パッチにはそれぞれ「S」「I」「A」の文字がありますが。
本明:なんなんだろう、工場の違いとかですかね。ちょっとずつディテールが違うんですよ。ポケットのステッチがシングルかチェーンかとか。正直、僕は「大戦モデル」とか「ビッグE」とか代表的なディテールはわかるけど、細かいポイントはわからないんですよね。
シングルステッチ
F:ちなみに、いくらで購入したんですか?
本明:コンバースと合わせて全部でウン百万円。でも、売る売らないは別として5年後にはもっと高くなってるんじゃないかな。32から34くらいのサイズもなかなか珍しいと思いますし。こういった物のほうがお金を持っているよりもインフレに強いと思うんですよ。渡辺努さんの「物価とは何か」を読むと、よりそういったことを考えれる。しかも、リーバイスやコンバースって世界中に欲しい人がいるので需要がありますから。
F:マニアから買う際は実物を見にいくんですか?写真で確認したりは?
本明:必ず見に行きます。今年は古着を求めて盛岡とか三重とか色々なところに行きました。
F:デニムは501®が多いですか?
本明:そうですね。チャプターの頃によく501®のXX履いて作業していたので思い出もあって。運送会社のお兄ちゃんから「金がねえから買ってくれ」って言われて、7万円くらいで結構青いのを買ったんですよ。作業でボロボロになるまで履いて......、今思えば凄く勿体無いことをしたなーって思います(笑)。
筒描きの布団布
本明:筒描きによる昔の布団布なんですが、兎が跳ねている模様なんですよ。2023年は卯年なので買いました。
F:本明さんも干支を気にして買い物とかするんですね。
本明:涼くん(せーの 石川涼社長)に会った時に「来年は卯年だから飛躍する」と言っていて。縁起が良さそうなので、僕も何か兎のものを買っておこうと思って購入しました。
F:「エフアールツー(#FR2)」と言えば兎ですもんね。
本明:そうそう。あと、筒描きの兎と鶴って結構珍しくて、滅多に出てこないんですよ。
F:どこで購入したんですか?
本明:筒描きマニアから。日本人から買ったんですけど、最近は外国人がこういったものを好きなんですよ。筒描きを集めている人って少ないけど、こんな変わったものを集めている人って「どうしても欲しい」っていうような人ばかり。だから筒描きも価値が落ちにくいんですよ。
F:本明さんも筒描きマニアの一人ですよね。
本明:変な筒描きをいっぱい持ってますよ。鶴亀や宝船の模様とか。倉庫で積んであります。
F:これを購入したのはいつ頃ですか?
本明:夏頃に購入しました。布って冬になると高くなるんですよ。汗が出る暑い季節は何故か売り叩く人が多くて。アパレルも冬になると単価が上がるけど、それと連動しているというか。だから安く買える夏に買い物をして、冬はあまり物を買わないですね。
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