2022年の上半期(1月〜6月)ファッション業界では何が起きたのか?アート、ビジネス、ライフスタイルなど、ファッションの周辺分野も含めて半年間のニュースをまとめ、8つのポイントと共に動向を辿った。
目次
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ポイント①【相次ぐ値上げ】
素材高や輸送費の高騰などによる物価上昇を受けて、上半期はファッション企業をはじめ、さまざまな分野で商品の値上げを余儀なくされた。「ユニクロ」では2022年春夏から一部商品の価格を見直しており、秋冬シーズンから価格改定に本格的に着手する方針を示した。このほか、「バルミューダ」「スターバックス コーヒー」「ライカ」「ロレックス」なども今年に入り、相次ぎ値上げを発表。一方で、スポーツ用品販売のアルペンはプライベートブランドの商品180アイテムを値下げするなど、価格改定において各社対応が分かれた。
ポイント②【ウクライナ侵攻/上海ロックダウン】
今年3月に始まった上海でのロックダウンが当初の予定より長期化したことにより、日本のアパレル各社の生産・物流面に影を落とした。現地で展開する店舗が休業を余儀なくされたほか、上海方面への輸送において配送トラックの不足や、それに伴う輸送費の急激な値上がりなどが発生。日本国内の店頭への納期遅れなども生じた。
ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻を受けて、ファーストリテイリングやナイキ、マクドナルド、スターバックス コーヒー、コンデナストなど大手企業が相次いでロシア事業を停止。また、ウクライナ避難民を支援するチャリティー商品の販売や、衣服・寝具の提供、救援活動を行う団体への寄付など、支援の輪が広がっている。
ポイント③【Y2Kファッション流行】
Y2Kファッションとは2000年代に流行したスタイルのこと。ミニスカートやルーズソックスなど当時のギャルファッションを彷彿とさせるスタイルが、Z世代の若年層を中心に再燃。アパレル各社ではY2Kをフィーチャーしたアイテムの販売やイベントの開催などにこぞって乗り出した。また、Y2Kのトレンドの流れも相まって、「プリクラ」などの平成カルチャーがリバイバルしている。
ポイント④【雑誌休刊ラッシュ】
1981年8月に創刊した講談社の女性誌「ウィズ」が、2022年3月28日発売の5月号をもって適時刊行となり、事実上の休刊となった。小学館の雑誌「メンズプレシャス」が不定期刊行に切り替えたほか、センスが発刊するメンズファッション誌「センス」が6月発売の7月号をもって定期月刊誌としての発行を休止。ファッション誌以外にも、双葉社の発行する雑誌「映画秘宝」や、「ボクシング・マガジン」「近代柔道」といった老舗スポーツ系雑誌などの休刊が相次いでいる。
ポイント⑤【話題コラボ続々】
発表直後から大きな話題を集めた「スウォッチ」と「オメガ」によるコラボレーションでは、発売日当日に店舗へ大勢の客が押し寄せ、警察が出動する事態に。このほか、「グッチ」と「アディダス」、「シュプリーム」と「バーバリー」、「ユニクロ」と「マルニ」が、それぞれコラボコレクションを発表し、大きな話題を集めた。また、「週刊少年ジャンプ」の漫画「チェンソーマン」は「タサキ」と、同誌で連載中の「呪術廻戦」は「ドルチェ&ガッバーナ」とコラボ。「少年ジャンプ+」で連載中の「SPY×FAMILY」はユニクロのグラフィックTシャツブランド「UT」とコラボするなど、集英社の人気作品との協業が目立った。
ポイント⑥【再開発・閉店で変わる街並み】
東京都内をはじめ、各地の再開発により街の景観、人の流れが変わりつつある。「下北線路街」「ボーナストラック」「リロード」「ミカン下北」などの商業施設が続々とオープンしている同エリアでは流行の発信地として、若者を中心に賑わいを見せている。
再開発事業により新たな商業施設の開業が決定する一方で、長年にわたり人々に親しまれてきた多くのスポットが消えつつある。「パレットタウン」の再開発に伴い、今年1月に「Zepp Tokyo」が営業を終了したほか、22年間営業してきた「ヴィーナスフォート」も3月に閉館。銀座エリアでは商業施設「メルサ銀座2丁目店」が8月末をもって51年の歴史に幕を下ろす。このほか、表参道のカフェ・ラウンジ「モントーク」や、新宿三丁目エリアの「ビックロ ユニクロ 新宿東口店」、新木場のエンターテインメント施設「スタジオコースト」などが今年に入り、営業を終了している。
ポイント⑦【注目集まる企業買収劇】
今年1月、セブン&アイ・ホールディングスが傘下のそごう・西武の売却を検討していることが報じられた。そごう・西武は10年以上にわたりセブン&アイの百貨店事業会社として運営しているが、近年は地方を中心とした店舗の再編を進めており、子会社化した2006年から店舗数は28店舗から10店舗に減少している。
ファッション業界では、ワールドが子ども服大手のナルミヤ・インターナショナルを33億円で買収したほか、伊藤忠商事が「アンダーアーマー」の日本総代理店であるドームの発行済み株式の過半数を取得。アイウェアブランドのオンデーズは、インド最大手のアイウェア企業 Lenskart Solution Private Limitedと経営統合することを発表している。また、エービーシー・マートはセブン&アイ・ホールディングスの子会社 オッシュマンズ・ジャパンを買収するなど、ブランドの勢力図に変化の兆しが見られている。
ポイント⑧【増えるメタバース領域への参入】
メタバース空間への新たなビジネスチャンスを見出す企業が増える中、ファッション業界においても企業やブランドの参入が加速している。今年3月にはDecentralandが主催するメタバース内のファッションの祭典「メタバースファッションウィーク」が開催。「ドルチェ&ガッバーナ」「エトロ」「アンリアレイジ」など多様なジャンルのブランドが参加し、ランウェイショーやポップアップショップなどを展開した。また、SHIBUYA109エンタテイメントもメタバース・NFT事業に本格参入。「SHIBUYA109 LAND」を開設し、仮想空間上に渋谷エリアを再現した。
2022年上半期、主要ニュース一覧
<1月>
SOPH.代表の清永浩文が退任、ブランドを進化させるための「最後の戦術」
「VOGUE JAPAN」渡辺三津子元編集長の後任となる編集コンテンツ統括ポストにティファニー・ゴドイを起用
伊勢丹新宿店の初売りに6500人の行列 抽選会などの催しが復活
箱根駅伝、他社の逆襲が騒がれるも歴代区間賞が全てナイキのシューズ着用者に
「ヨウジヤマモト プールオム」のランウェイに5人の俳優が登場
NIGOによる新生「ケンゾー」がデビュー 高田賢三ゆかりの地で"古くて新しい"ワードローブを提案
<2月>
イラストレーター古塔つみが一部作品の無断引用を謝罪 写真のトレースについては否定
北京2022 オリンピック・パラリンピック、各国のユニフォーム・衣装は?
シュプリーム、新クリエイティブディレクターに「デニム・ティアーズ」のトレマイン・エモリーが就任
ベールを脱いだ新生「ボッテガ・ヴェネタ」 職人技と曲線美をリアルなスタイルに
ワークマンが銀座進出、イグジットメルサに「#ワークマン女子」をオープン 元ラオックス店舗のフロア
月額制や紹介制の新たなアプローチも 都内で個室サウナの出店続く
<3月>
アパレルブランド「INGNI」運営会社が下請法違反、約7000万円を不正に減額
「アース ミュージック&エコロジー」展開のストライプが国内投資ファンドとの資本提携を発表
ミスター・ジェントルマンがブランド名を変更 「ソフトハイフン」として4月中旬から再始動
スターバックス、フラペチーノなどアイスドリンクを樹脂製グラスに切り替え 使い捨てカップ削減へ
寺島しのぶ、ともさかりえ、市川染五郎など13人がレッドカーペットを歩く——「トモコイズミ」2回目の東京ショー
Seiya Nakamura 2.24がミラノの「247」と資本提携、ブランドの投資事業などで協業
プラスチック新法施行、クリーニング業界の対応は? 衣類用ハンガーやポリ包装が対象
<4月>
若年層から熱い支持 中国発「シーイン」が急成長、ファストファッションの牙城崩す
「ハーパーズ バザー」表紙に榮倉奈々&賀来賢人夫妻が登場、共演は8年ぶり
宮脇咲良ら所属「LE SSERAFIM」グループヴィジュアルでアレキサンダー・マックイーンを着用
サマンサタバサが社長交代、新社長はエステー元社長の米田幸正氏
ローソンが「無印良品」を本格導入、半年間で関東甲信越地域の5000店舗に拡大
新宿高島屋がゴルフ用品売り場を3倍に拡大 大幅拡充の算段を聞く
<5月>
「リーボック」国内事業を伊藤忠商事とロコンドが継承 合弁会社を設立
アップルがiPod touchの販売を終了、iPodシリーズ約20年の歴史に幕
AOKIホールディングス、新社長に快活フロンティア代表の東英和氏 創業家以外の就任は初
しまむらで不正アクセスによるシステム障害が発生、商品取り寄せサービスが利用できず
「タイガ タカハシ」のデザイナー髙橋大雅が致死性不整脈で死去、享年27
藤原ヒロシがロボットベンチャー GROOVE XのCCOに就任、新モデル「LOVOT 2.0」を発売
コンテンツ配信サイト「ケイクス」がサービス終了、2012年9月から約10年運営
旧型ゾゾスーツのサービスが終了 今後はゾゾスーツ2やゾゾグラスを運用
「リーボック」国内事業を伊藤忠商事とロコンドが継承 合弁会社を設立
<6月>
LVMHプライズ2022、ロンドンのメンズブランド「S.S. DALEY」がグランプリを受賞
1位はリザードンで4億円超え、ポケカの取引金額ランキング発表
ジブリパーク「魔女の宅急便」や「ハウルの動く城」の街並みを再現したエリアの開業時期が決定
男女同じデザインのジェンダーレス水着が登場、学校用水着では初
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「ジョンマスターオーガニック」に投資 PEファンドが全株式取得へ
北関東初の「イケア」が群馬県前橋市にオープン 2024年に開業予定
累積赤字309億円、クールジャパン機構が抜本的見直し 改善見込めない場合は統廃合視野に
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