花王が、生活者と直接つながる双方向のデジタルプラットフォーム「My Kao」を立ち上げ、12月15日に運用を開始した。同社初となる展開ブランド横断のEC機能「My Kao Mall」をはじめ、パートナーを迎えて美容に関する情報を総合的に発信する「Kao Beauty Brands Play Park」や、花王独自のモニタリング技術を搭載した、肌測定や内臓脂肪モニタリングといったサービス、生活者からの意見を募り商品化などに活かす共創コンテンツを実装。My Kaoを活性化させることでDX(デジタルトランスフォーメーション)を通じて生活者に体験を提供し、製造業からUX創造企業へと発展させる計画だ。
開発の背景には、情報過多な昨今において企業が発信する公式情報への期待が高まっていることがあるという。また、loT技術の進化やウェアラブル端末の出現により、特に睡眠や健康市場で消費者自身がデータをモニタリングする生活様式が広まりつつあり、さらにハンドメイド市場の活性化に見られるように、消費者が作り手となり発信するクリエイターエコノミーが急成長している。こうした状況を踏まえ、日用品から化粧品まで幅広い商品を展開する同社が、消費者と双方向でつながることで、より良い生活のサポート、ニーズに応える商品の開発といった新たな共創の形を生み出せるとし、My Kaoを開発したという。
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My Kaoは「知る」「買う」「体験する」「創る」の4つの機能で構成。プラットフォームの主軸に据えるビューティコミュニティサイト「Kao Beauty Brands Play Park」では、「Play Parkフレンズ」と呼ぶパートナーが美容に関する総合的な情報を発信する。開設時はゆうこす(菅本裕子)やイガリシノブ、宮永えいとらが参画。また、消費者から寄せられたメイクやスキンケアに関する質問に各ブランド担当者が回答する、Q&Aコーナーも用意し、オープン形式にすることで同様の悩みを抱える人にとっても有益な情報にアクセスしやすい環境を整えた。このほか、オンライン通話やメールで1対1で相談ができるサービスも備えた。
今後、同サイト内に2023年3月にAIを活用した肌測定コンテンツ「肌レコ」の開設を予定。顔写真から13指標のスコアを測定し、改善指標に応じたスキンケアの紹介や、毎日のケアを楽しく続けるためのゲーム要素などの仕掛けを搭載するという。
同社として初となるブランド横断のEC機能「My Kao Mall」では、「ケイト(KATE)」「キュレル(Curel)」「ソフィーナ iP(SOFINA iP)」「デュウ(DEW)」 「プリマヴィスタ(Primavista)」といったセルフブランドを中心に販売。Kao Beauty Brands Play Park内で紹介する商品の購入が可能だ。なお、商品はスマートフォンの位置情報機能と連動させることで、近くのエリアで取り扱いのある店舗の検索ができ、オンライン・オフラインともに購入可能な仕組みを構築した。将来的には、品質に問題はないものの、パッケージが販売基準に満たなかったものなどをアウトレット価格で販売し、化粧品の廃棄削減も視野に入れる。
My Kaoでは化粧品以外にも、掃除や洗濯といった暮らしの参考になる情報を発信。「窓の結露を防ぐコツ」や「ダウンジャケットの洗い方」など情報を起点に、消費者と商品やブランドとの接点を創出する考えだ。商品開発のためのアイデアを募集し、ニーズに応じた商品を消費者と共創する取り組みにも着手。企業と消費者の距離を縮め、双方向のコミュニケーションを活性化させる。そのほか、Preferred Networksとの協業で開発した「仮想人体生成モデル」を実装し、パーソナライズしたヘルスケア情報の発信も検討しているという。
花王の常務執行役員である村上由泰DX戦略推進センター長は、「DXはあくまでも手段で、DXを通して体験を作る。My Kaoは、我々が『ものを作る企業』から、『共創していく企業』へと向かうための強力なエンジンになるだろう」と期待を寄せた。出来るだけ早い段階でMy Kaoの会員数1000万人規模を目指す。中国市場ではWeChat上で消費者と双方向にコミュニケーションをとるコンテンツを既に開始しているが、今後My Kaoに類する共創サービス・コミュニティ活動を開始予定。欧米についても同様にコミュニケーションを強化していく考えだ。
■My Kao:公式サイト
Image by: 花王
花王 常務執行役員 DX戦略推進センター長 村上由泰氏
花王 化粧品事業部門 化粧品事業推進センター 堀哲之介氏
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