■労働省が先月13日発表した9月の消費者物価指数(CPI)は前年同月より8.2%も上昇した。市場予想の8.1%上昇を上回ったのだ。
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伸び率は3ヶ月連続で減速しているもののなおも高水準を維持しており、米国の激しいインフレは収まっていない。
11月2日には連邦準備制度理事会(FRB)が今年6度目となる利上げを発表。通常の3倍となる0.75%の大幅利上げは4会合連続となっている。
急激な利上げはクレジットカードの支払いに車や住宅ローンの支払いに大きな影響をもたらしているのだ。
クレジットカードの平均利率は3月およそ16%だったが、現在は19%になっていて今回の利上げ発表でさらに上昇すると見られている。
例えば30万ドルの住宅ローンの場合、2ヶ月前の利率では月々の支払いが1,734ドルに対して現在は2,012ドルにも跳ね上がっているのだ。
CPIの「家での食費(food-at-home)」は9月、前年同月から13%の上昇にもなった。スーパーマーケット等の物価が9ヶ月連続して年率2桁の伸びとなっているのだ。
住宅ローンに食料品の価格も上がり、家計にも影響が出ている世帯が増加している中、小売業界は繁忙期を迎えることになる。
全米小売業協会(NRF)は3日、2022年の年末商戦期間(11月~12月期)の小売売上高(自動車やガソリン、レストランの売上を除く)が前年同期比で6%~8%増となる9,426億ドル~9,604億ドルになるとの見通しを発表した。
2021年の実績は8,893億ドルとなり、2020年からの伸長率は13.5%となっていた。ともに過去最高を記録したが、2022年はインフレの影響で伸びが減速する見込みなのだ。
過去10年間の平均伸び率である4.9%増は超えるとの見通しだが、大手小売チェーンなどは過剰在庫を解消するために大幅な値引きを早くから実施。前倒しセールが業績悪化につながるとの懸念が高まっている。
一方、Eコマースを含む無店舗小売りでは売上高が前年同期比で10%~12%増となる2,628~2,676億ドルとの予想。ネット販売は2021年の2,389億ドルを上回る見通しで、引き続き拡大基調が続くチャネルとなっている。
ただ昨年に比べてコロナ感染も収まり、店舗での買い物も増え、年末商戦の従来の買い物体験の需要を求める動きも強まるとみられるのだ。
他の予想でもNRFと同様の見方をしている。調査会社アリックスパートナーズでは年末商戦の売上高は前年同期比で4~7%の増加と見込んでいる。
調査会社デロイトが9月に発表した予測ではインフレプレッシャーによりNRFより若干弱気となる4~6%の増加とした。一方、デロイトによるとネット販売はNRFより強気となる前年同期比で12.8~14.3%の増加と見ている。
NRFが実施したアンケート調査では消費者の約半数となる46%が11月前からリサーチやショッピングを開始するとした。
食費が値上がりし、車や住宅ローン・家賃の上昇で、家計への負担が集中しないよう購入時期を分散させている傾向となっているのだ。消費者が早めに買い物を始める理由として60%は「ギフトショッピングの予算を分散させるため」が最大で、前年の54%から上昇した。
プレゼントや飾り付け、ホリデー用の食事に対する1人当たりの平均支出額は832.84ドルの計画となっており、過去10年間の平均である826.12ドルとほぼ同水準に収まっている。
購入方法別には、オンラインショッピングが56%と最も多かったが、ウォルマートやターゲットなどのディスカウントストアも47%の人が利用すると回答しているのだ。
ウォルマートでは今年、セールを大きく3つに分けて行いサイバーマンデーを締めくくりにする。
イベント1はオンラインストアが11月7日(月曜日)の東部時間午後7時からスタート。リアル店舗は2日後の9日(水曜日)から開始されるのだ。
サブスク会員は7日の午後12時からオンラインセールに早期アクセスができる。一般客より7時間も優先されるのだ。
イベント2はオンラインストアが11月14日(月曜日)の東部時間午後7時から開始し、店舗は2日後となる16日(水曜日)からスタートする。
サブスク会員は14日の午後12時からセール優先権が与えられている。イベント3のオンラインセールは11月21日(月曜日)の東部時間午後7時からスタート。
イベント3でもサブスク会員は同日午後12時から一足早くセールにアクセス可能となる。店舗では感謝祭日(24日)の翌日となる金曜日(27日)がブラックフライデーセールだ。
セールイベントのラストを飾るがサイバーマンデーの28日(月曜日)なのだ。
インフレの影響から消費者はこれまで以上に計画的に賢く、時には前倒してショッピングを行うのだ。
トップ画像:5年前となる2017年ブラックフライデーのウォルマート店内。ネットショッピングでこんな殺到を見ることもないだろう。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。年々、欲しいモノがなくなっていますが、それでも後藤が必ず購入するのはノイズキャンセレーション・イヤホンです。アップルの完全ワイヤレス・イヤホンであるエアポッズ・プロ(AirPods Pro)第2世代が9月に発表されました。後藤は黙って予約。9月23日の発売と同時に速攻で手に入れました。初代となるエアポッズ・プロは完成度が高く、満足度も最高だったので第2世代も思考停止で購入を決めていました。実際、初代と第2世代と段違いというほどの完成度の差ではありませんが、それでも目に見えるというか耳でもわかる進化を遂げていました。何がいいかというと、ノイズキャンセレーションが大幅に向上したことです。「ノイズダウン性能が最大2倍」という触れ込みでしたが、そこまでいかないけれども初代に比べてかなり静か。後藤はたまにエアポッズ・プロを装着して寝ています。音楽やなにかを聴くわけでもなく無音の状態にして寝入るようにしているのです。とくにフライトではエアポッズ・プロは手放せません。
今年の年末商戦でもエアポッズ・プロ以外のノイズキャンセレーション・イヤホンが売れ筋になって欲しいと思っています。みんなが使うようになれば、例えばイヤホンで音楽を鳴らす、静かなクリスマス・パーティもできると思うのですよ。
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