オリックスが、ディーエイチシー(DHC)の代表取締役会長兼社長であり大株主の吉田嘉明氏との間で株式譲渡契約を締結した。吉田氏からはディーエイチシーの発行済株式総数の過半数を取得予定のため、同社の事業を承継する。現在ディーエイチシーのそのほかの株主とも株式取得を含めた協議を進めているという。吉田氏との株式譲渡契約は2023年3月期中の実行を予定。なお、譲渡額は具体的な金額の確定後に発表となる。吉田氏は、株式譲渡完了後に退任を予定する。
ディーエイチシーは、吉田氏が1972年に立ち上げた、大学の研究室向けに翻訳業務サービスの会社を起源とし、DHCは「大学翻訳センター」の略称であり、翻訳事業は現在も継続する。1983年から基礎化粧品の通信販売を始め、直営店に加えて、コンビニエンスストアやドラッグストアなど現在では通信販売以外の広範な販売チャネルを有している。また、化粧品とともに主力事業となっている健康食品のほか、リゾート、介護、ペットなど幅広い分野を手がけ、今年で創業50周年を迎えた。
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2022年7月期(2021年8月〜2022年7月)の業績は、売上高が1208億円(前年同期は901億円)、営業利益が166億7600万円(同109億円)、当期純利益が96億1500万円(同54億4000万円)で、コロナ禍でも順調な業績を収めている。
オリックスは、コロナ禍を経て健康意識が高まっている市場動向から、ディーエイチシーが展開する化粧品や健康食品は今後も安定した需要が見込めると評価。同社は近年、医療機器販売のイノメディックスや、製薬会社の同仁医薬化工といったヘルスケアカテゴリーへも出資していて、今回の出資は、グループにおけるヘルスケア分野のネットワーク拡大を狙ったものだという。
同社は長年培った企業価値向上のノウハウを生かし、ディーエイチシーの円滑な事業承継および、コンプライアンス体制やコーポレートガバナンスのさらなる強化を推進。吉田氏が株式譲渡完了後に退任することで、新たな経営体制へと移行する。
なお、ディーエイチシーは販売網の広さや手に取りやすい価格、品質の高さで支持を集めている一方、吉田氏による差別発言および嫌韓発言が度々問題となっていた。韓国へは2002年に進出したが、韓国や在日コリアンに対する差別発言により不買運動が起こることも少なくなかった。2021年に韓国市場から撤退した際は、差別発言や不買運動との関係性は明記しなかったものの、影響を与えたとみられる。
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