三井不動産グループの子会社ShareTomorrowが手掛ける移動商業プラットフォーム事業「ミッケ(MIKKE!)」が、立ち上がりから1周年を迎えた。移動販売車を使った取り組みはミッケだけではなく、「#FR2」や「無印良品」といったブランドも参入しており、ファッションやライフスタイル商品の販売手法として関心が高まっている。ファッションとの相性とはいかに? ミッケを発案した後藤遼一氏に話を聞いた。
昨年11月に本格始動したミッケでは、出店希望者に「移動販売車」「出店場所」「顧客情報」を提供。マンションやオフィス、商業施設といったさまざまな環境やターゲット層が選べる出店場所を揃え、車両から什器、看板、レジ端末まで貸し出しが可能なため、商品と販売員を用意するだけで移動販売を始められる点が特長だ。出店料は一律で一日2万円弱の設定。出店期間のアレンジも可能となっている。
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この1年間で出店場所は50区画(物件数では20物件相当)、出店店舗数は累計200店舗に到達。移動販売と聞くと食物販のイメージが強いが、ミッケでは「エアークローゼット(airCloset)」や「エドウイン(EDWIN)」、「オールユアーズ(ALL YOURS)」、美容メディア「ヴォーチェ(VOCE)」など、ファッションやビューティ、ライフスタイル雑貨のブランドもこれまでに出店しており、物販店舗の比率は全体の3割にあたる。
Image by: FASHIONSNAP
ブランド力が弱くても、出店先がマンションやオフィスといった場合、特定のターゲットが狙えるため非計画購入が期待できるなど、物販でも移動販売車におけるポテンシャルは高い。とあるシューズブランドは一日で最高20万円を売り上げた。ミッケのSNS、特にLINEを使った集客プロモーションはマンション近辺に出店した際には効果的だったという。
ファッションにおける移動販売と相性の良いブランドの共通項として、後藤氏は「集客につながるブランド力の強さ」、定番商品だけではない工夫をこらした「特徴のある品揃え」、そしてリアルの場ならではの「接客力」を挙げる。「目的買いにはECが便利だが、世の中の購入品は非計画購買が多い。良い接客を受けて試着して満足して購入できる、というのは非常に重要な提供価値。コロナに関係なく未曾有のことが起こっても気軽に出店場所を変えられるのは移動販売の魅力だと思う」(後藤氏)。
1周年を機に、英字の事業名に「&」を追加し、「&MIKKE!」に改名。出店エリアも本格的に拡大し、現在は湾岸エリアを中心に出店しているが今後は日比谷や京橋、日本橋から渋谷、飯田橋、阿佐ヶ谷といった都内の主要エリアに広げる。地方での展開は現在検討段階だという。また、キッチンカーをすでに所有する事業者が多かったことから、場所貸しのみに対応する「&MIKKE! SPOT」の展開を新たにスタート。なお&MIKKE! SPOTでも顧客情報はShareTomorrowとの連携を基本とする。事業全体の目標売上は非開示だが、将来的には場所貸しを含め常時2000台が稼働している状況を目指すという。
豊洲エリアでは現在、ナルミヤ・インターナショナルによる子ども写真館「LOVST フォト スタジオ」や、集英社のECサイト「ハッピープラスストア(HAPPY PLUS STORE)」が出店。パークタワー晴海に展開中(11月8日まで)の集英社は、30〜40代のカップルが住むエリアの立地を活かし、「マリソル(Marisol)」や「リー(LEE)」などの雑誌名を掲げて4台の移動販売車を出店し、物販に加えて骨格診断サービスも実施している。「試着室の用意はあるがハードルが高いと思ったので、アウターや合わせやすいトップスなどを中心にセレクトした」とMD担当者。ECの売れ筋商品がメインで、スタイリストと共同開発したオリジナル商品も取り揃え、独自性をアピールしている。運営スタッフは「百貨店などへの出店はあったが、移動販売は初めての取り組み。雑誌のターゲット層でもある方々が住むエリアに出店することで、ECサイトの認知を上げていきたい」と期待を示した。
集英社の移動販売車
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