IMAGE: BRIDGET MEYNE
VICEのコラムニスト、ミーガン・バートン=ハンソンが、自分の心と向き合いながら恋愛を楽しむコツを伝授する。
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心が消耗しきっているあなたへ。あなたは決してひとりじゃない。英国では、4人に1人が年に一度は何らかのメンタルヘルスの問題に直面する。それは性生活やパートナーとの関係にどのような影響を与えるのだろうか。デートのどの段階で、自分の頭の中で起きていることを伝えればいいのだろう。セラピー受診中のデートはOK? それともデート自体を控えるべき? パートナーとして、苦しんでいる相手を支えるには何をすればいいのだろう?
今週のコラムでは、ミーガン・バートン=ハンソンがこれらの質問にお答えする。「このトピックはまさにわたしにぴったりです。わたしは常にメンタルヘルスと向き合い、常にデートしているので」とミーガンはいう。「もちろん個人差はありますし、状況にもよりますが、わたしが気づいたなかで誰もが今すぐ実行できることを共有したいと思います」
以下の9つが、ミーガンが伝授してくれた恋愛の心得だ。これを読んで、恋愛を始める準備はできているけれど、相手の人生を破滅させるような究極のセクシーセルフィを撮る方法がわからない、という方は、ぜひミーガンの過去のコラムを参考にしてほしい。
忍耐と理解力を身につける
まず第一に学ぶべきは、誰でもメンタルヘルスの不調は経験するものなので、自分自身が協力的なパートナーになる方法だ。相手のメンタルが安定しているときに知り合っても、家族や仕事関係などで問題が起き、ふとしたことが引き金になることもある。パートナーの精神疾患について勉強しよう。メンタルの安定や日課をサポートし、セラピーの受診を勧めたり、一緒に瞑想するなど、メンタルヘルスを意識した活動を心がけよう。「大丈夫だよ、出かけて一杯飲もう」と誘うことは簡単だが、事態が悪化する可能性もある。気晴らしを求めることは魅力的だが、お互いに投資するほうがずっと健全だ。
〈心の傷〉をすぐに打ち明けなくても大丈夫
メンタルヘルスの問題は〈克服〉できるものではない。上手に向き合う方法は学べても、完全に消え去ることはない。毎日、月に一度、もしくは年に2回と、繰り返しやってくるものだ。メンタルヘルスをいまだに負担とみなす偏見が根強いため、デートの相手にすぐに打ち明けたくなる気持ちも理解できる。わたしが最近知り合った魅力的な男性は、会うなり「僕は両親に愛されなかったから感情表現ができないんだ」と告白した。自覚があるのは結構だが、初デートで打ち明けるにはさすがに重すぎないだろうか。そもそもメンタルヘルスを言い訳として使うべきではないし、それは性格の一部ではない。それはあなたにたまたま起こった出来事に過ぎず、程度に差はあれど、誰もがメンタルヘルスに向き合う方法を学んでいる最中なのだ。
シラフでのデートを心がける
大人の人間関係の多くは、飲酒を中心に成り立っている。定番のデートスポットといえばレストランやバーだが、わたしはどんなメンタルヘルスの問題や心配事を抱えているにしろ、飲酒はいつもそれを悪化させるだけだということに気づいた。照れ臭くて泥酔しなければキスもできない英国人にとっては酷な提案かもしれないが、自分もしくは相手がつらい思いをしているとわかっているなら、何か別のことをするべきだ。コンサートやアートギャラリーに行ったり、市場を散策したりしてみよう。常識を取っ払い、気まずさをパブに行って麻痺させるのではなく、気分が良くなることをしてみよう。真剣に恋人を探しているなら、どうしても最悪のデートをたくさん経験することになる。翌朝目覚めたら法外な価格のカクテルに有り金を全部使い果たし、残ったのは二日酔いとクソみたいなデート、ズタボロになったメンタルだけ、なんていう体験は誰だってしたくないはず。ボウリングに行ったほうがよっぽどマシだ。
一緒にセルフケアをする
人(主に男性)は時に、ひとりで何かをすることを恥ずかしがるが、瞑想やヨガ──冒険好きならゴングバス(※銅鑼の音を聴きながらする瞑想)でもOK──だって立派なデートになる。ふたりとも初めて挑戦するなら、最高の体験になるはずだ。静かに過ごす夜も間違いない。キャンドルを灯し、浴槽に水を張って、食用大麻を楽しもう。一歩踏み出せば、そこにはリラクゼーションの広大な世界が広がっている。
誰かを〈変えよう〉としようとしない
何かと向き合うプロセスの大半を占めるのは、それについて話すことだ。誰かに何かを打ち明けられたら、解決策やアドバイスを伝えたくなるのは自然な反応だが、実は何もジャッジせずに耳を傾けることが最善だ。相手がみじめな気分を味わっていても自分で乗り越えるだけの余地を与え、いざという時に事態を収拾したり手を差し伸べられるよう、そばにいてあげるだけでいい。
恋愛で現実逃避していることを自覚する
みじめな気分でいることに罪悪感を抱くひとは、みんな恋愛を通して変化を求める。わたしもデート中でメンタルの調子があまり良くないとき、自分にお似合いだと思った相手には有害なひとが多かった。メンタルの状態が芳しくないときは、「ああ、このひともメンタルがめちゃくちゃなんだ……よかった! お互いを癒す存在になればいいんだ!」という誘惑に勝たなければならない。大抵の場合は最悪の結末を迎えることになるのだから。
そして、いわゆる〈かまってちゃん〉な相手はやめること。そんな相手にできるのは、ひたすらおだてることくらいだ。自分の時間を無駄にしていると感じない相手を選ぶほうが無難だろう。それを決めるのはあなた次第だ。代わりに、あなたをインスパイアしてくれる相手や健全な性格の持ち主、自分のウェルビーングを最優先するひとを選ぼう。誰だって仕事中心でほとんど自分に時間を割いてくれない相手よりも、お互いにかけるエネルギーの量が釣り合う相手のほうがいいはずだ。
「最悪の気分だ」と打ち明けることをためらわない
どんな関係を目指すにしろ(たとえ体だけの関係でも)、自分の気持ちを率直に打ち明けることが肝心だ。誰かに会うようになり、1日も欠かさず「ヘイ、ベイビー、今何してる?」とメッセージを送る期間が始まったとする。「今日は最悪な1日だったけど、なんとか対処してるよ」と正直に打ち明けてみよう。人は、特に男性は、誰かの負担になることをひどく怖がるものだ。しかし、わたしたち人間は常に幸せでいられるわけではないということを理解するべきだ。なぜわたしたちは幼い頃から、常に幸せでいるべきだと刷り込まれ続けるのだろう。そんなひとは存在しない。個人的には「正直、今日はすごくしんどい」と打ち明けてもらえるほうがずっと勇気が湧く。そうすればそのことについて話し合えるし、お互い自分に嘘をつかずに済むのだから。
些細なことで助け合う
もっと関係が安定し、相手が不安定なことがわかるようになると、小さなことが大きな効果を発揮する。なかには、メンタルが不調だとベッドから出ることすら難しいひともいる。「ええ!? 何してるの? まだ1日は始まったばかりなのに!」と口うるさいパートナーになるよりも、相手に時間を与え、自分のペースで進めるようにしてあげよう。ただし、彼ら彼女らが家で心地よく過ごせるような行動は積極的にしよう。例えばご飯を作ったり、キャンドルに火を灯したり、典型的な〈うつ状態のベッドルーム〉の床からものを拾ったりしてあげよう。
もちろん、こういう場合はギブアンドテイクの考え方も大切だ。住み込みメイドのように、訪ねていくたびに「今ちょっと限界で……。メグ、皿洗いを頼むよ」とこちらが世話を焼くのが当たり前だと思われたりするのは御免だろう。自分のために見極めることも必要だ。
自分を過小評価しない
恋愛とメンタルヘルスを取り巻くメッセージは、〈心の準備ができるまで何もするな〉〈まずは自分のことを優先しろ〉〈一定の期間はデートするな〉というものが大半を占めている。わたし自身も数え切れないほどのセラピストに1年間デートするななどと忠告されてきたが、恋愛はわたしの人生においてとても重要な要素なので、それはあまりにも非現実的な提案だった。苦しんでいるからといって、わたしたちは悪い人間でも欠陥のある人間でもない。重要なのは、誰もがみじめな気分になったり、物事に向き合うための時間をなかなか取りたがらないということだ。むしろ他人や飲酒、他の気晴らしに打ち込むことで現実逃避するひとが多い。それこそが問題が生まれる瞬間なのに。
デートを始めた瞬間に自分と向き合うことを辞めない限り、十分に恋愛を満喫できるはずだ。一生を自分だけに向き合って終えることもできるが、新しい体験から離れて自分の殻に閉じこもっていても人は成長できない。最終的には世捨て人になり、本に囲まれながら「そうか、こういう場合はこうすればいいんだ……」と思いながらも、結局それを実行に移さないままになるだろう。
忘れないでほしいのは、あなたは今のままで十分に善良で協力的なパートナーになれるということだ。メンタルヘルスが完璧な状態でなくても、あなたは愛される資格がある。思い切って一歩踏み出す前に理想的な人間になる必要はない。あなたは〈不完全〉なんかじゃない。ただ生きているだけだ。
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