「時代にそぐわない」看護師の服装に関する"謎ルール"、働き方改革加速へ
(左)11の「ふしぎなナース文化」、(右)病院利用者400名に対し行った、「ふしぎなナース文化」に関するアンケート
Image by: クラシコ
(左)11の「ふしぎなナース文化」、(右)病院利用者400名に対し行った、「ふしぎなナース文化」に関するアンケート
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「時代にそぐわない」看護師の服装に関する"謎ルール"、働き方改革加速へ
(左)11の「ふしぎなナース文化」、(右)病院利用者400名に対し行った、「ふしぎなナース文化」に関するアンケート
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テーラード技術を取り入れた白衣を中心とした医療用品を手掛ける「クラシコ」が、看護師の働きやすい環境づくりを考えるプロジェクト「#看護服からはじめよう」を始動した。看護師が働きやすい環境を整える働きかけを目的とした中長期プロジェクトで、賛同病院を募り、看護服刷新によるモチベーション向上に関する実証実験などを進めていくという。
「ふしぎなナース文化」
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クラシコは今年9月、看護師・病院利用者・病院幹部を対象に行った調査「ふしぎなナース文化に関する調査」の結果を発表。看護師の自由な働き方を縛っている独特なルールや慣習があることが明らかになったという。「時代錯誤なのではないか?」「なぜあるのか理由が分からない」「医師や検査技師は自由で、看護師だけ厳しく制限されている」など、看護師が納得できないまま決められているものも数多く、日々のこうした葛藤や不満が“働きにくさ”に繋がり、離職の一因にもなっていると同社は捉えている。こうした現状を知った病院利用者からは、「業務に支障がなければ行動は自由であるべき」「過剰な規制は必要ない」「不自由を感じないで仕事をしてほしい」といった声が寄せられたという。
また、クラシコが全国の病院・クリニックに勤務している400人の看護師に対し「あなたが働く病院で、疑問や不満に思っているルール・慣習」について聞いたところ、11個の「ふしぎなナース文化」が見えてきたという。病院ごとにルール内容は異なるため全ての看護師に当てはまる内容ではないものの、一方で「白髪も黒に染めなくてはならない」「たまに通勤時の服装チェックがある」「ナースシューズは支給だが、靴擦れになりやすい人もいるため指定のナースシューズは時代にそぐわない」といった不満の声も挙がってきたという。
クラシコは衛生面・安全面から「本当に残さなくてはいけないルール」は現場の看護師に遵守させつつ、「変えてもいいルール」は相談しながら少しずつ緩めていくなど、看護師がストレスを感じる「ふしぎなナース文化」を見直す必要性を説く。今回の調査で、「ルールについて看護師たちと話し合ったり、意図を説明して理解を図ったりするような機会があるか?」どうか聞いたところ、「あまりない」「全くない」と答えた人は全体52%と約半数にのぼり、厳しすぎるルールの背景には「対話の不足」があるという。医療従事者だけでなく社会全体が声を上げる必要性があるとし、今回の調査結果をきっかけに、「病院の管理者と看護師が議論する」「患者にアンケートを行う」などの具体的なアクションに繋げていきたい考えだ。
同社は現在、プロジェクトへの賛同病院を募集している。既に、「小田原レディスクリニック」(神奈川県小田原市)、「産婦人科クリニックさくら」(神奈川県横浜市)の2院が同プロジェクトに賛同し、クラシコの看護服の導入を決めた。今後の展開として、賛同病院に対し、看護服導入によるモチベーション変化に関する実証実験を計画している。「ふしぎなナース文化」に関する調査結果や実証実験の結果は、来年に行われる看護管理系の学会で発表予定だ。看護協会などの機関や賛同病院、賛同者と連携し、取り組みを中長期的に広げていくとしている。
医療現場の人手不足解消の糸口に
クラシコの大和新 代表取締役社長は、プロジェクト始動の経緯について「病院に対してナース服導入を提案する際に、看護師全員の意見を確認する病院と、現場が忙しいため病院幹部が勝手に決めてしまう病院、風通しが病院によって様々であることを感じていました。また、院長が代わった途端に『ナース服は上下白でなくてはいけない』というルールが撤廃された病院もあり、固執しているルールの中には本当に必要ではないものもあるのでは?と感じる瞬間がありました。毎日着る看護服はモチベーションに非常に影響を与えるもの。まずは看護服から着心地の良いものに変えることで、少しでも笑顔で働けるような環境づくりが進んで欲しい」と話す。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、看護師の労働環境の過酷さや人手不足、離職・休職者の増加の問題に注目が集まる昨今、10月からは「診療報酬改定」による看護師の待遇改善が始まるなど、官公庁から現場レベルまで看護師の労働環境の見直し・改善が急速に進んでいる。同プロジェクトに賛同する、妊活コンシェルジュサービスを手掛ける「ファミワン」の代表看護師 西岡有可氏は「10年以上前と比べると、スクラブの色が自由に選べたり、清潔が守られている範囲であれば髪型や髪色の規制を緩くしたり、変化が少しずつ広がってきている印象。人手不足で看護師の採用が難化する中、病院を選んでもらうために多様性や自由さのアピールは欠かせなくなっていると思います」と、看護師を取り巻く環境の変化を挙げる。緊張感が伴う医療現場で精神的な負担も大きい中、日々の大半を着用して過ごす看護服のデザイン・着心地はモチベーションやメンタルヘルスに影響を与える重要な要素となっている。優秀な人材を確保し、定着させるための働き方改革は今後加速しそうだ。
(左)11の「ふしぎなナース文化」、(右)病院利用者400名に対し行った、「ふしぎなナース文化」に関するアンケート
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