この記事はVICE Germanyに掲載された記事です。
ADVERTISING
7月、写真家のティム・ブルーニングは〈Rock & Wrestling〉というアマチュアレスラーによる激ヤバショー会場に足を運んだ。20年年前から年に1回、ドイツ・ハンブルグ郊外のザンクト・パウリで開催されているイベントだ。
会場では地元のレスラーが、古き良き時代のロックンロールをBGMに試合を行う。対戦相手は事前に集まり試合の準備をする。お互い昔からの顔なじみであり、ファンも毎年同じ顔ぶれだ。もはや彼らにとって、恒例の地元行事である。
イベントは2日間にわたって行われる。ブルーニングが目撃した試合について聞いた。
──このイベントへのみんなのモチベーションについて教えてください。
ティム・ブルーニング:楽しいからです。自分のキャラを考え、キャラの過去を練り上げることは、レスラーにとって喜びなんだと思います。コスチュームも非常に精巧です。
レスラーたちはイベントの前に一緒にトレーニングします。綿密に計画を立て、戦いのためのストーリーを練るんです。それぞれのキャラの関係性、友人か敵か、なんかも決めておきます。
──お気に入りのコスチュームは?
答えられないですね、難しい質問だ。でも巨大なルーニー・ロブスターや、ロボットのベントーは忘れられません。
──いちばん見応えがあった試合は?
アンナ・レキシコヴァ対ウンベルト・グッチ医師戦はすごかったです。面白い構成でした。イタリア人の美容外科医、ウンベルト・グッチ医師が、アンナ・レキシコヴァの豊胸手術のために彼女の脂肪を吸引するんです。でもうまくいかない。彼女の胸は破裂してしまい、ドロドロしたものが周囲に飛び散ります。
アンナ・レキシコヴァが痛みに叫ぶなか、メタルがかかり、ストロボが点滅する。すると突然アンナがメスを医師に突き立てます。医師も反撃しますが、最終的に手術台に医師を乗せて、手術台を破壊する。勝者はアンナです。本当に壮観だったし、壮絶でした。
──優勝者っていうのはいるんですか?
はい。観客に全レスラーのリストとカードが配られます。あとはレフェリーや〈レスリング・アンセム〉の歌手にも投票できます。そう、イベントにはオリジナルのアンセムがあるんですよ。優勝したのはセイレーンのアイリーンとフルート・キッドでした。
──イベントの写真撮影でいちばん大変だったのは?
カメラを守るのが大変でしたね。ビール、血のり、ドロドロしたもの、偽のMDMAなんかを浴び続けて、イベントが終わる頃にはカメラ2台が壊れました。
──ええと、「偽のMDMA」というのは?
試合中、フルート・キッドがボコボコにされるんですけど、そのとき消化器で〈MDMA〉という名の小麦粉とペンキ(だといいんですけど)を敵にぶっ放したんです。すると敵は突然互いにメロメロになってしまって、戦う気が失せてしまった。結局フルート・キッドが勝ちました。
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【VICE Japan】の過去記事
RANKING TOP 10
アクセスランキング
銀行やメディアとのもたれ合いが元凶? 鹿児島「山形屋」再生計画が苦境