「ユニクロ」のロゴ
Image by: FASHIONSNAP
ファーストリテイリングは2023年8月期通期において、欧州地域をはじめとする海外ユニクロ事業の大幅な増収増益を見込む。2023年8月期はグローバルで年間310店舗の出店を計画。2022年8月期通期決算説明会に登壇した柳井正代表取締役会長兼社長は「海外には1585店舗、国内809店舗の2倍近い数のユニクロがある。こうした状況を踏まえ、これまで以上にグローバルに力を入れていく。北米・欧州で継続的に事業拡大できる基盤が整った。中国・東南アジアに匹敵する数の店舗を出店していく」と話す。また、新規出店を加速させるだけではなく、本社機能のグローバル化を進めるなど"世界で稼ぐ"企業として構造転換を図る。
欧州ユニクロ事業(ロシアを除く)の2022年8月期の業績は、売上高が約1300億円、営業利益が約150億円、利益率約12%。ブランディングが奏功し、欧州でブランドの認知が拡大したことで過去最高の売上、営業利益を達成した。エアリズム、ブラトップ、ラウンジウェア、ヒートテック、インナーなど生活に密着した商品を拡充し、新規顧客層が拡大。各国のニーズ、トレンド、気候の変化に合わせた商品を揃え、地域旗艦店を中心に販売が好調だったという。2023年8月期は上期、下期、通期ともに大幅な増収増益の見通し。今後大都市の好立地にユニクロの世界観を表現できる大型店を出店する方針で、2023年8月期は5店舗を新規出店する計画だ。
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グローバル競争に勝ち抜く強力な本部機能の構築を目指し、本社機能の変革にも着手した。日本だけでなく米国にもグローバルヘッドクオーター(GHQ)を立ち上げ、商品開発や顧客体験の変革、これらを支えるIT機能などをスピーディーに構築していく。海外事業のCEO、COO、各機能のトップはGHQの一員として、グローバルの課題解決を実行する働き方、役割へと変革。世界各国の優秀な人材を欧州に受け入れ、現場・現物を知り、実践を通じて成長させる狙い。各国で経営者および優秀な販売員を育成することで、世界で愛されるブランドとして価値を高めていく。「グループ全体でグローバルで成長するために、ローカルの力を強化する取り組みを進めている。東京の本部が全ての意思決定をするのではなく、各国のトップや各機能の責任者がそれぞれの現場で的確な情報のもと、即断・即決・即実行で課題解決をする。GHQの経営陣は世界中を移動し、あらゆる現場に入り共に経営していく体制へと変えていく」(柳井会長)。
このほか、ロンドンにもユニクロの商品開発チームを立ち上げ、欧州の顧客の声をダイレクトに取り込む体制を構築する。GHQと連携を図りながら、グローバルでヒットする商品の開発に取り組む。このほか、リペアスタジオなど、欧州での好事例はグローバルで積極的に採用していくという。サプライチェーンの改革においては、ラストワンマイルを含めた配送の内製化、24時間以内の配送を目指しており、最終的には大都市全てで自社配送を実現させるという。実店舗においては「買い物の場」から「お客様への情報発信の場」へと変化させ、新たな体験価値の創出に取り組む。
柳井会長は「パンデミックや国家間の対立の時代において、次に求められるのは、世界中の人々が快適で安心できる"普通の暮らし"を実現する時代。価格が安いだけの商品、見た目だけで質が伴わない商品、華美な贅沢品を追い求める時代は過去のものとなった。今後は、日々の暮らしをより豊かにする実質的な価値の伴った商品が求められる時代であり、ファーストリテイリングでは安心できる服のインフラを世界の人々に届けていく」とコメント。商品の値上げについても言及し、「今は非常に経済がひどい状況だが、消費者は適正な値段が付けられた良いものを選んでおり、安いだけの商品は売れないのではないかと考えている。価格を据え置く企業もあるが、円安で原料高の状況下でそれは難しい。売上は好調で、値上げによる売り上げへの大きな影響は今のところないと捉えている」と話した。
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