昭和女子大学 環境デザイン科の学生による発表の様子
Image by: FASHIONSNAP
大丸松坂屋百貨店が、ショールーミングスペース「明日見世」を通じて産学連携プロジェクトを実施した。ジェンダーフリーなコスメブランド「イロイク(IROIKU)」と、昭和女子大学の環境デザイン科の学生と連携。同科に所属する学生が、イロイクのブランディング課題に対して仮説や調査を通じて検証し、最終発表を行った。
2021年に大丸東京店4階にオープンした明日見世は、コロナ禍で「新しいリアル店舗のあり方を模索する」ため、リアルでの販売機会が少ないD2Cブランドを集積。あえて”売らず”にテスターを気軽に試せる場を作り、テーマに沿って3ヶ月ごとに展開ブランドを入れ替え、常に新鮮な売り場を創出する。今回、売り場で顧客から得た意見をブランド側にフィードバックするといった、出店後の可能性を生み出すことも目的とした事業であることを踏まえ、出店者(ブランド)と、地域社会(大学)との連携でさらに新しい出会いや可能性を生むとして取り組みが実現した。
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イロイクはオリジナル化粧品ブランド「デルメッド」などを展開する三省製薬から2022年4月に誕生。スキンケアと肌のトーンアップを同時に叶える“色づき美容液“「IROIKU スキンチューンナップ セラム」を販売している。シンプルなデザインや、肌本来が持つ自然で健やかな印象の肌に導くといった処方で、ジェンダーフリーなコンセプトを訴求。明日見世には6月から9月まで出店し、百貨店のイベントなどリアルな接点を拡大している。
今回の連携プロジェクトでは、イロイクの「ジェンダーフリーをどうやったら深く伝えられるか」というコンセプトに対して、学生たちがZ世代に該当する本人たちの視点を交えた調査結果などを通じて課題解決のための施策を立案した。
発表会には大学1〜4年生の21人が参加し、4グループに分かれて施策を披露。あるグループはInstagramのストーリーズのアンケート機能を使って「普段使っている美容液の価格」や「新しい美容液に挑戦する際の予算」などを調査した上で、回答結果を元に価格を設定したミニセットの販売を提案した。別のグループは同世代の間で「ホテルステイ」が流行していることから、ホテルにアメニティとして導入する例を発表。リサーチ段階でのアンケートや友人・知人たちへのヒアリングから、ホテルでは同性での宿泊の場合はスキンケアを含めた物の貸し借りが多く、普段使っていない商品を試すマインドが自然と発生すると考察した。また、ホテルステイを「Vlog(Video Blog)」でSNSに発信する人も多いと考え、実際の投稿を想定したイメージムービーも提出。若年層の消費行動およびSNS利用方法のリアルな例を披露した。
三省製薬からは、代表取締役社長の陣内宏行氏や取締役 マーケティング部部長の藤井章夫氏のほか、イロイクのチームメンバーが参加。陣内社長は「SNSの使い方やそれに合わせた商品、販売方法は我々からは出てこないアイデアばかりで大変参考になりました。どういった商品であれば欲しいと思っていただけるのか、値段やデザイン、使っている人のイメージの解像度が高まり今すぐにでも社内で検討したい施策ばかりでした」と発表を評価した。また、藤井マーケティング部長は、「実際にミニセットの販売についてはお客さまからも要望をいただいていて、今回大学生の皆さんからもそういったアイデアが出たことでニーズを実感しています。情報がリアルかつ具体的で、今後のポップアップの出店先やコンテンツの参考にさせていただきます」とブランディングに活用する意欲を見せた。
明日見世の廣澤健太プロジェクトマネージャーは、「学生さんたちのリアルな視点は、私たちにとっても非常に参考になりました。特に買い物に関するアンケート結果は、今後のブランド誘致や売り場の発信方法に活かしていきます」と言い、ブランドやターゲット当事者などとの連携について継続したい考えを示した。
■明日見世:公式サイト
昭和女子大学 環境デザイン科の学生による発表の様子
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学生が制作した販促物やイベント開催イメージ模型
学生がアンケート結果をもとに制作したデザインサンプル
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