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再上陸するアメリカンイーグルとフォーエバー21とエディー・バウアーを並べて考えてみた

再上陸するアメリカンイーグルとフォーエバー21とエディー・バウアーを並べて考えてみた

繊維業界記者・ライター兼広報アドバイザー
南 充浩

撤退した海外ブランドの再上陸が今年、3つ発表された。

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エディー・バウアーとフォーエバー21、それとアメリカンイーグルである。

このうち、エディー・バウアーとフォーエバー21はライセンス生産である。それと共通しているところはマスターライセンスを伊藤忠商事が取得している点にもある。

一方のアメリカンイーグルは米国本社直轄となる。

さて、この3ブランドの再上陸については様々な意見があるが、直轄で再上陸するアメリカンイーグルと、ライセンス生産となる2ブランドとでは少し意味合いが違うのかなと感じている。

まず、アメリカンイーグルだが、需要が大きいかどうかはちょっと怪しいのではないだろうか。ただ、北米での業績が好調なことから、本社としては「前回は日本の現地の訳の分からない企業に任せて失敗したが、我々が直営すれば北米同様に売れる」と考えているのではないかと推測している。

あくまでも個人的には、アメリカンイーグルの前回の商品ラインナップを見ていると、メンズでいえば、GAPっぽいベーシックなTシャツ、ポロシャツ、ジーンズ、チノパンばかりで、今の日本市場にこれが必要とされているとは全く思えなかった。

レディースでは少しちがうのかもしれないが。

アメリカンイーグルにせよ、オールドネイビーにせよ、GAPにせよアバクロンビー&フィッチにしろ、あの手の商品が北米では好まれるのだろう。この辺りは国民性の違いではないかと思う。

日本だとあんなに似たようなブランドは1つか2つで十分ではないかと当方は思っている。

で、エディー・バウアーとフォーエバー21だが、ライセンス生産に対する賛否両論が業界にはある。これに限らず、ライセンス生産に対しては否定的な意見も多い。

たしかに「本場の味が薄れる」とか「別物」という意見も理解はできるのだが、現在のZARAのように世界統一基準だと、どうしても日本人の体型に合わない寸法だとかデザイン企画だとかが増えてしまって売れにくくなる。また使用素材や縫製仕様も日本人好みでない場合が多い。

ライセンス生産によって、たしかに味は薄まるかもしれないが、これらのデメリットは解消される。その意味においては当方は今回のライセンス生産をそれなりに評価している。

前と同じ統一企画を持って再上陸したところで同じ轍を踏むだけのことでしかない。

さて、今回の2ブランドだが、エディー・バウアーは水甚という岐阜のカジュアルメーカーがライセンス生産と店舗運営を担当し、フォーエバー21はアダストリアが担当する。

この違いについて、多少の懸念はある。

物作りに関しては岐阜の老舗カジュアルメーカーである水甚の物作りはそれなりの水準に達しているだろうから品質面では何の心配もない。

近年は他ブランドでECにせよ、直営店運営にせよ、水甚自体でやっているから、その分以前よりはいくらか手慣れているだろうが、店舗運営という点についてはいまだに心もとない部分が残っている。

一方のアダストリアだが、店舗運営にはすさまじいノウハウが蓄積されている。この点については水甚よりもはるかに上である。またECに関しても多大な実績がある。

不測の事態が起きることを除けば、15店舗とECで100億円というフォーエバー21の目標は十二分に達成可能だろうと見ている。

一方、エディー・バウアーの直営店展開は結構スローペースでの拡大とならざるを得ないのではないか。

さて、伊藤忠商事がなぜこの2ブランドを取得して再上陸させたかについて考えてみたいが、外野から見ていると、「圧倒的に良くも悪くも知名度だけは高いブランド」だからだろう。

毎日毎日、業界メディアで新ブランドのデビューが報じられるが、正直なところブランド名が覚えられない。もしかすると、これは単なる当方の老化なのかもしれないが、訳の分からないカタカナの羅列を逐一覚えることができない。また、ブランドコンセプトも似たり寄ったりが多く、正直なところ「この新ブランド要る?」と感じることが多い。

しかし、エディー・バウアーにせよフォーエバー21にせよ、知名度だけは高いから、再上陸するとなると、これほどあちこちのメディアも報道してくれるし、受け取る消費者側も知っているブランド名だから耳に残りやすい。

それだけで、確実に「売れる」とは言えないが、少なくとも訳の分からない新ブランドを売り込むよりは、ずっと売り込みやすい。

消費者も1度か2度くらいなら試しに買ってみようかという気になりやすい。

そうなると、販促や広報という点においてはかなりのアドバンテージがあることになる。それだけで何億円分の効果がある。

もちろん知名度が高い分悪い評価も受けるブランドだが「知られていないことは存在しないのも同然」なので、やっぱり存在感は発揮しやすいという大きなメリットがある。

伊藤忠商事ほどの大企業になると、今更チマチマと零細ブランドを立ち上げたところで業績には何の寄与もない。さらにいえば、巨額の資金を投じてビッグブランドを立ち上げるのも随分とリスキーである。近年の例でいえば、三陽商会が突然立ち上げた映画ブランドなんて格好の反面教師といえる。

となると、すでにして知名度の高いエディー・バウアーとフォーエバー21を取得すればかなりの高効率である。

伊藤忠商事はそんなふうに考えたのではないかと推測している。

別段、中の人に取材したわけではないので、あくまでも当方という外野の推測にすぎないのだが。

アメリカンイーグルは高い確率で苦戦、エディー・バウアーは直営店売上高拡大に中長期的な時間が必要、フォーエバー21は不測の事態さえなければ中期的目標は達成できる、そんな風に予想するが、当たるも八卦当たらぬも八卦ということで。(笑)

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