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資生堂22年下期に戦略的投資で通期予想を下方修正 上期は日本と中国が苦戦

資生堂公式サイトより

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資生堂22年下期に戦略的投資で通期予想を下方修正 上期は日本と中国が苦戦

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 資生堂が2022年12月期第2四半期(2022年1〜6月)の連結決算(国際会計基準)を発表した。売上高が市場回復が遅れる日本やロックダウンの影響を受けた中国が苦戦し前年同期比の0.4%減の4933億9900万円。コア営業利益が同23.9%減の175億3900万円、営業利益が169億7900万円(前年同期は211億7900万円の赤字)の黒字、親会社の所有者に帰属する四半期利益が162億4600万円(前年同期は281億1300万円の赤字)の黒字だった。なおコア営業利益は、営業利益から構造改革に伴う費用・減損損失等、非経常的な要因により発生した損益(非経常項目)を除いて算出。

 地域別では、日本事業において「クレ・ド・ポー ボーテ(Clé de Peau Beauté)」や「SHISEIDO」などへの戦略的投資を継続するなどでブランド価値向上、サンケア商材に革新的な技術を搭載するなどのイノベーションによる愛用者基盤の拡大に取り組んだが、マスク着用の常態化や幅広い分野での値上げに伴う節約志向の高まりなどを受けた。結果、売上高は同17.4%減の1157億円、事業譲渡影響を除く実質ベースでは同2.3%減だった。コア営業損失は売上減による差益減、パーソナルケア事業譲渡に伴う減益のほか、ブランド価値の強化および需要喚起に向けたマーケティング投資などにより、 前年に対し155億円悪化の74億円。

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 中国事業では、戦略的投資の継続でEコマース売上は成長。中でも「ナーズ(NARS)」がシェアを拡大した。一方で新型コロナウイルスの感染再拡大による上海を中心としたロックダウンに伴い来店客数減少、サプライチェーンの混乱等の影響を大きく受け、売上高は同19.7%減の1157億円(現地通貨ベースで同29.3%減)だった。事業譲渡影響を除く実質ベースでは同14.2%減。コア営業損失は、売上減による差益減、マーケティング投資の継続などにより前年に対し43億円悪化の20億円だった。

 アジアパシフィック事業では、アジア全体でEコマースにおけるシェアを拡大したことで、売上高は同2.8%増の314億円(現地通貨ベースで同5.1%減、事業譲渡影響を除く実質ベースでは同9.1%増)、コア営業利益は同48.3%増の24億円となった。米州事業はナーズのEコマースの成長や、プロモーションを強化したクレ・ド・ポー ボーテの好調で売上高が同9.5%増の590億円(現地通貨ベースで同3.7%減、事業譲渡影響を除く実質ベースでは同10.9%増)、コア営業利益が前年に対し56億円改善の37億円と黒字に転換した。 欧州事業はクレ・ド・ポー ボーテ、ナーズに加え、「ナルシソ ロドリゲス(narciso rodriguez)」などのプレステージブランドが好調に推移。売上高は同8.4%増の557億円(現地通貨ベースで同4.8%増、事業譲渡影響を除く実質ベースでは同4.5%増)、コア営業利益は前年に対し26億円改善の26億円と黒字に転換した。 

 そのほかトラベルリテール事業は、売上高が同35.1%増の779億円(現地通貨ベースで同19.8%増、事業譲渡影響を除く実質ベースでは同18.3%増)。コア営業利益は同95.2%増の170億円。プロフェッショナル事業は売上高が同8.1%増の78億円(現地通貨ベースで同2.3%増)、コア営業利益が同60.7%増の12億円だった。 

 資生堂の代表取締役社長CEOの魚谷雅彦氏は、「過去3年にわたりコロナと戦う中で、厳しい判断をするような構造改革を世界中で進め、不採算事業などを見直してきた。同時に各年度ごとの損益を守るため、売上減少の中、マーケティング費用やほか経費を削減してきた。ただこのまま続けることは、縮小均衡に陥るのではと強い危機感を持っており、ここで一度流れを止めて、戦略的投資を拡大し、攻めの経営に転換することが必須だと考える。それは事業と組織、人材を活性化させることだ」と語る。

 その中で下期の戦略として、ブランド価値の強化のためのマーケティングおよび、イノベーションに対して追加投資50億、人材資本のための社員エンゲージメント向上に対し50億、合わせて100億円の投資を実行する。「コロナ禍で世界中で健康や免疫などが見直される中、背景にあるサイエンス、処方への技術に関心が高まっている。それは基礎研究に力を入れてきた資生堂の強みであり、そういったことを広告などでコミュニケーションしていく。またピープル・ファーストを経営理念とする中で、この状況を乗り越えるために人材資本への投資を行うことで、社員のエンゲージメントを高める」とした。さらに今後、世界中の社員が共に研修できる、グローバルセンターを東京に作る構想も打ち出し、D&I推進と同時に、オフィス環境の整備など働き方の改革も推進する。

 上記のように、マーケティングや人材への投資を行うことから、通期の連結業績予想を下方修正した。修正後は売上高が1兆700億円(前回予想1兆750億円)、コア営業利益が400億円(同620億円)、親会社の所有者に帰属する当期利益が255億円(同440億円)を見込む。

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