京黒紋付染めから黒染めリサイクルの京都紋付へ リウェア「K」に熱視線
イベント「Earth hacksマルシェ」ブース出展の様子(左から荒川優馬取締役、荒川徹社長)
Image by: FASHIONSNAP
イベント「Earth hacksマルシェ」ブース出展の様子(左から荒川優馬取締役、荒川徹社長)
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京黒紋付染めから黒染めリサイクルの京都紋付へ リウェア「K」に熱視線
イベント「Earth hacksマルシェ」ブース出展の様子(左から荒川優馬取締役、荒川徹社長)
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アパレル業界でも「SDGs」が叫ばれる今、京都紋付が展開するリウェアブランド「K」に熱い視線が注がれている。シミや汚れで着られなくなった古着に黒染めを施し再生させるというKの取り組みは百貨店やブランドからも好感を得て、提携先は3年で200店舗に拡大。事業単体の売り上げも3倍に伸びたという。
京都紋付は、正礼装の着物である黒紋付に特化した染色事業を京都で100年以上にわたり手掛ける老舗企業。着物の染め直しや染め替えを行う中で「洋装にも対応してほしい」という要望が多く、環境保全団体WWFが提案する衣服の再活用プロジェクト「PANDA BLACK」で事業化し、その後「クロフィネ(KUROFINE)」として本格的にリサイクル事業をスタートした。サービスの窓口を担う提携先を増やすことで利用者増を狙うという構想はあったが、インフラが整わず、また「染め直しをしていたら新品の商品が売れなくなってしまう」という小売店やブランド側の考えから、提携先が見つかない模索の時期が続いた。
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現在の名称「K」に変更したのは、コロナ禍の2020年9月6日、“クロの日”だった。このタイミングでのリニューアルは「偶然だった」(荒川徹社長の息子で取締役の荒川優真氏)そうだが、新型コロナウイルス感染拡大を機にサステナビリティへの意識が高まった環境下は追い風となり、サステナ経営が求められる企業からの需要は急拡大。提携先が大幅に増え、現在はセカンドストリートに加えて、クリーニングショップからアーバンリサーチやフェリシモ、三越伊勢丹ホールディングスといった著名な企業まで名を連ね、200店舗規模になった。2018年時点で月約500着程度だった受注枚数は月約1200着に増加。新品の染め加工との受注比率はこれまで7対3だったが逆転した。黒一色に特化しているため、ロットに振り回されず対応できる点も事業の強みとなっている。
主な利用者層は40代〜50代で、男女比は半々。利用者側が衣類を発送する作業が必要となるため利用ハードルの高さが課題となっていたが、提携先の拡大に伴い、申し込みフォームへの送客が増えた。伝統技術を用いた染色への評価は高く、リピーターは6〜7割と想定よりも高い水準で推移。深黒の色味に惚れて、古着だけではなく染め替え目的で新品を送る利用者もいるといい、荒川氏はたしかな手応えを感じている。アパレル業界のサステナブルな取り組みと言えば、オーガニックコットンや再生素材などの使用もサステナビリティに含まれるが、実際に“どれだけサステナブルなのか”、一般消費者に伝えて正しく理解してもらうのは難しい。Kは「黒染めで衣服を生まれ変わらせる」という明快さと、染めの作業をすべて京都紋付が行うためイニシャルコストをほとんどかけずに窓口を担うだけでサステナビリティを打ち出せる手軽さが魅力だとし、荒川氏は提携先の拡大を期待する。
今後は染めの加工サービスに加えて、染め替えを想定した「2度楽しめる」アパレルアイテムの提案を進めていく。合繊繊維など使用素材によっては深黒に染まらないという特徴を活かし、黒染めした後に新しいデザインで同じ服を楽しめる製品の開発を協業で拡大させていきたい考えだ。
伝統産業である黒紋付の染め事業は、呉服業界のさらなる縮小で苦境にあえぐが、「Kの黒染めの技術が評価されているのはこれまでの歴史があったからこそ」と荒川氏。「リウェア」の概念を広めるためにKの認知拡大を引き続き進め、将来的な目標として「コンビニのような身近な店舗でも利用できるようにして、“黒染めで衣服を生まれ変わらせる”ことを当たり前の世界にしていきたい」と話した。
認知拡大の取り組みの一環として、博報堂と三井物産が手を組み立ち上げた脱炭素社会を推進する共創型プラットフォーム「Earth hacks」が開催しているイベント「Earth hacksマルシェ」に参加。会場では黒染めしたサンプルを見ることができる。開催期間は7月28日まで。
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