■ネット通販最大手のアマゾンは先週、ニューヨークに自動決済技術の「ジャスト・ウォークアウト(Just Walk Out)」を導入した注目のリアル店舗をオープンした。
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ニューヨーク・マンハッタンに12日、オープンしたのは2店舗目となる「スターバックス・ピックアップ・ウィズ・アマゾン・ゴー(Starbuck Pickup with Amazon Go)」だ。
ニューヨーク市内で10店舗目となるアマゾンゴーの新店はミッドタウン・ウエストサイドにある52階建てニューヨーク・タイムズ・ビル (The New York Times Building)の1階部分。
2019年9月までディーン&デルーカがあった場所(420 8th Ave New York NY 10018)で、8番街と40丁目のコーナーとなっている。
3,100平方フィート(約87坪)となる店の入り口近くにスターバックス・ピックアップのカウンターがあり、その横にはレジなし決済システム「ジャスト・ウォークアウト(Just Walk Out」ゲートが設置されている。
ジャスト・ウォークアウトのゲートではアマゾン・アプリのインストア・コードからQRコードを表示させスキャンする。もしくは生体認証の「アマゾン・ワン(Amazon One)」に事前に登録しておけば手のひらをかざすことでゲートが開くのだ。
またゲートでクレジットカードを挿し込むことでもアマゾンにアカウントがなくても入店できるようになっている。
ゲートを通るとサラダやサンドイッチ、スナック類が置かれているアマゾン・ゴーのエリアで、反対側はイートインスペースでテーブルや椅子などがある。
つまり飲み物はスターバックスのアプリを介して注文しながら、食べ物はジャスト・ウォークアウトを通ってアマゾン・アプリでお会計とするのだ。
なおスターバックス・ピックアップは主にアプリでの注文を推奨しているが、その場でもレジ会計が可能。
スターバックス・ピックアップ・ウィズ・アマゾン・ゴーが他のアマゾン・ゴーと最も異なる点はゲート内にイートイン・スペースとなるカフェテリアがあることだろう。
イートイン・スペースのあるアマゾン・ゴーの多くはゲートの外にカフェテリアを設置している。スターバックスと提携した店舗ではゲート内にカフェテリアがあることで、注文や決済せずに陳列されていある食品をそのまま食べれるということになる。
カフェテリア内でコーヒーを飲んでいる途中、お腹が空いてきたら焼きたてのパンなどをそのまま手にとって会計なしに即座にありつけるのだ。
アマゾンは昨年11月、ミッドタウンの59丁目沿いでパーク・アベニューとレキシントン・アベニューの間に1号店をオープンした。スターバックスとのコラボを含めアマゾンゴーは現在、27店舗となっている。
アマゾンは14日、ニューヨークでは初となる自社開発のスーパーマーケット「アマゾン・フレッシュ(Amazon Fresh)」をオープンした。
36店舗目となるアマゾン・フレッシュはジョンFケネディ国際空港から近いオーシャンサイド地区にオープンしたのだ。
アマゾン・フレッシュは「サウス・ショア・プラザ/オーシャンサイド・プラザ(South Shore Plaza/Oceanside Plaza)」内のワルドバームズ・スーパーマーケット跡地(3620 Long Beach Road, Oceanside NY 11572)内にある。
ジョンFケネディ国際空港から車で30分程度(約10マイル:約16キロメートル)となる同ショッピングセンターにはベッドバス&ビヨンドやステープルズ、コールズ、マーシャルズが入店している。
大通りを挟んだ真向かいにはストップ&ショップがあり、ロングビーチロード沿いで車で2分の距離にはトレーダージョーズもある。コストコも5分程度とほど近い。
47,000平方フィート(約1,300坪)となるアマゾン・フレッシュはジャスト・ウォークアウトとフルサービスレジを併せ持つハイブリッド型だ。
アマゾン・フレッシュはニューヨーク1号店以外に南カリフォルニアに15店舗、ワシントン州シアトル周辺に4店舗、イリノイ州シカゴ郊外に8店舗、バージニア州に5店舗、メリーランド州1店舗、ペンシルベニア州1店舗、ワシントンDCに1店舗の合計35店舗を展開。
ハイブリッド型アマゾン・フレッシュはロサンゼルス郊外に7店舗、シカゴ郊外に4店舗、シアトル周辺に2店舗、バージニア州に4店舗、そしてニューヨーク最新店の18店舗となっている。
ハイブリッド型は、昨年11月にオープンした20店目のシカゴ郊外ウエストモント店から連続して出店。
一方、ハイテクのスマートカート「ダッシュカート(Amazon Dash Cart)」のあるアマゾン・フレッシュは昨年8月にオープンしたメリーランド州チェビー・チェイス店(18店目)以降はオープンしていない。
なおワシントンDCのローガン・サークル店とシアトル市内のキャピトル・ヒル店(アマゾンゴー・グローサリーから店舗名を変更した19店目)のチェックアウトはジャスト・ウォークアウトのみでフルサービスのレジはない。
ハイブリッド型アマゾン・フレッシュは、売り場へのエントランスゲートが2つある。フルサービスのレジを通って従来どおりの買い物を行う「トラディショナル・ショッピング(Traditional Shoppingu)」用のゲートと「スキャンして入店(Scan to Enter)」と掲げられたジャスト・ウォークアウト用ののゲートだ。
トラディショナル・ショッピング用ゲートではそのまま入店できる一方、ジャスト・ウォークアウト用ゲートではアプリにクレジットカード(デビットカード)、手のひらの3種類で入店する。
アプリはアマゾン・ゴーの入店と同様にアマゾン・アプリから利用者アカウントと紐付いたQRコードを表示させ、スキャンして入店する。カード入店はゲートでカード挿入(もしくはタップ)して入店する。
生体認証デバイス「アマゾン・ワン(Amazon One)」による入店は、事前にクレジットカードと手のひらを登録しておくことで、入店用QRコードの代わりに手のひらでゲートがオープンするのだ。
ジャスト・ウォークアウトで入店した場合、売り場を出る際も出口ゲートでは入り口ゲートと同じ方式で通ることになる。
なおジャスト・ウォークアウトを導入しているハイブリッド型には他のアマゾン・フレッシュにあるスマートカートの「アマゾン・ダッシュカート(Amazon Dash Cart)」は置いていない。
コロナ明けのニューヨーク流通視察では、ディスカウントスーパーのリドルなど必見となるお店がマンハッタン近辺に増えており忙しい日程になりそうだ。
トップ画像:NYミッドタウン59丁目沿いでパーク・アベニューとレキシントン・アベニューの間に昨年11月にオープンしたスターバックス・ピックアップ・ウィズ・アマゾンゴー1号店。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。コロナ後の日本からの流通視察は、情報格差によってデジタル強者とデジタル弱者に分かれることになります。デジタル弱者はいわゆる売り場での見学を中心にした研修。デジタル強者はストアアプリを使ったワークショップ型になるのです。ニューヨーク視察では、コンサルタントやコーディネーターなど講師役のデジタル格差により研修内容が大きく乖離することになります。同時にスマートフォンを頻繁に使っている若い人が参加する視察では、講師のIT音痴ぶりが晒されることになるのです。なぜならアプリを使えないことが明確になるからです。視察に限らず仕事で重要になるのは時間。アプリの操作や解説で、もたついていたらそれだけで限られた時間が大きくロスします。それこそ売り場を見て回る時間さえなくなってしまうのです。したがって講師役はストアアプリの使い方に慣れておく必要があるのです。例えばアマゾン・フレッシュでもQRコードや手のひらのスキャニング入店だけでなく、アプリ上でセールの確認ができなければなりません。
日本の流通誌を読むと、ストアアプリの記事が全くなく、アナログな部分が根強く残る業界であることがわかります。自動車に移行する時代にいまだに速い馬を信奉する記事があったりします。馬車使いが講師役で視察したら、Z世代の参加者はなんといいますかね?
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